「本番に強い子」にするために、親ができること(2ページ目)

親の自律神経も大切。無理をしないこと!

本書で紹介されている自律神経の整え方は、どれも簡単なものばかりです。

たとえば、第1章の「自律神経を整える『生活習慣』」には、「少しずつこまめに水を飲む」「夜はスマホの電源を落とす」「玄関と靴を大切にする」など13個のアドバイス。

続いて第2章「自律神経を整える『肺活』の心得」では、「1:2の呼吸法」「エア風船トレーニング」など6つ、第3章「自律神経を整える『腸活』の基本」には、「食物繊維をしっかり摂る」「よく噛んでゆっくり食べる」など6つ。第4章の「自律神経を整える簡単ストレッチ」では「いつでもどこでもスクワット」「腸の体操」など6つ。最後の第5章「いざというときの『即効術』」には、「階段を上り下りする」「ガムを噛む」「首をほぐす」「好きな匂いをかぐ」など15個が挙げられています。

小林先生は、全部やるべきと書いておられるわけではありません。親子でできそうなものをセレクトしてやってみようというのが主旨です。ただ、早めに習慣化すれば負担感がなくなること、そして緊張したり不安にかられたりしたとき、「これをやれば大丈夫」という方法をいくつか持っておくと心の大きな財産になると書いておられます。

最後に、やることリストを作らないといけないほど忙しい小学生を持つ親御さんに、肝に銘じていただきたいメッセージは、以下のとおりです。

わが子のメンタルについて心配している親御さんにお願いしたいのは、「理想論は捨ててください」ということです。(P.50より)

お父さんもお母さんも無理をしてはいけません。(P.51より)

子どもの心は「親の“合わせ鏡”」なのだから、ご自身の自律神経のことも忘れないでくださいね。

本番に強い子になる自律神経の整え方

著/小林弘幸、小学館刊、1,540円(税込)

本番に強い子になる自律神経の整え方

トップアスリートやアーティスト、文化人の「メンタル指導」にも携わる自律神経研究の第一人者が、悩める子どもと親御さんたちの「体・技・心」の包括的な改善策を初指導! 自律神経が整えば、こんな悩みの改善が期待できます! ・普段は解ける問題なのに、テストではうっかりミス、・練習ではいい記録が出るのに、大会になるとイマイチ、・人前で、うまく話したり、振る舞ったりできない、・音楽やアート、ダンスなどの発表会で緊張して失敗…etc. 簡単かつ自身が実践して効果を確認した方法を、厳選して紹介!

本書でも詳しく紹介していますが、国の調査に対して「学校に行きたくない」と答えた子は約4割にものぼっています。登校しても、授業や部活に集中できない子が増えており、コロナ禍、コロナ後の「子どもたちの心の問題」が明るみになり始めています。その原因は「自律神経の乱れ」にあると報告されています。子どもたちがコロナ後の活発な日常を取り戻すためには、自律神経を整えることが急務です。自律神経を整えることは、受験や大会、発表会などで最大限に能力を発揮することにつながるだけでなく、「コロナうつ」から子どもたちを守るためにも重要なことです。長引くコロナ禍の影響による「なんとなく不調」な状態から抜け出すためにも、コロナ禍、コロナ後の勉強、スポーツ、音楽、アート、仕事などに、はつらつと取り組むためにも、名医の提案する方法を具体的に実践し、自律神経を整えていきましょう!(編集者からのおすすめ情報より)

著者:小林弘幸(こばやし ひろゆき)さん
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任する。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した「腸のスペシャリスト」としても知られ、腸内環境を整える味噌汁や自律神経を整える呼吸法やストレッチを考案するなど、健康な体と心を作るためのさまざまな方法を提案している。