【第2回:能率の上がる家庭学習のコツ】受験のプロ教師が算数の学習法を伝授(2ページ目)

宿題が終わらない2つのパターンとは?

家庭学習で一番時間が取られるのは、何といっても「塾の宿題」ではないでしょうか。
宿題をするのに親子で四苦八苦して、何とかやり遂げて日々を送っているご家庭はかなりの数あると思います。

もしも、塾からの宿題が多すぎて手に負えないと感じている場合、次の2パターンが考えられます。
1つは、本当に量が多い場合。2つ目は、お子さんの宿題のこなし方が遅すぎる場合です。

1つ目、「宿題が多くこなせない場合」は、ある程度見切る必要があります。
そもそも、全て解く必要があるものだとは限りません。
子どものレベルに合わない問題、例えば簡単すぎたり、難しすぎたり、特殊すぎたりするのであれば、いずれかを割愛すべきでしょう。
信用できる先生であれば、優先順位をつけてもらうよう、お願いしてください。
優先すべきは、授業で習ったことを理解するために、同レベルの問題を解くことです。

2つ目、客観的に見て宿題がそれほど多くないのであれば、「取り組むスピードが単純に遅い可能性」があります。
解くスピードが遅いときは、塾で習った通りに解いていないことが多いです。授業の内容をよく理解していないため、我流で解こうとしているのです。
こうした場合は、授業の受け方にも問題があるはずです。
そして、どうしても分からない問題が多い場合は、担当の先生に現状を伝えて分量を絞ってもらうべきです。

<実例>復習中心に切り替え、上位校を狙えるようになった!

数年前に教えた生徒の話です。4年生の女の子だったのですが、途中入塾で、しかも授業の雰囲気にも呑まれていて、いつも授業で遅れをとっていました。
当然、毎回の復習テストの成績も芳しくなく、宿題も答えを丸写ししていたり、白紙だったりと、投げやりになっていました。ほかの先生からは「分からなかったら質問しなさいね!」と言って、「頑張れ! 頑張れ!」と背中を押されていたのですが、それだけでは質問に来るわけもなく、頑張ろうにも頑張りきれない状況でした。

算数担当の僕は「宿題は頑張れるならやってきてもいいけど、無理なら授業の復習だけしておいで。その代わり、これを解いておいで」と言って、3年生のプリント教材をこっそり与えました。もちろん、塾には内緒です。当該範囲の宿題を無理やりさせるなんて、何の意味もないという確信があったからです。

これを1年間、続けさせてどんな結果になるのか経験上、目に見えていました。3年生の教材といってもその授業に関するもので、彼女なら手が届くレベルのものです。その子ができるレベルからさせたほうが自信につながり、確実に勉強が進みます。

すると白紙や答えの丸写しをすることはなくなり、宿題も何とか取り組めるようになりました。勢いがつくとすごいもので、4年生の宿題は、授業を聞いて自分でわかる範囲のものはキッチリやりきってくるようになりました。

4年生といえばほとんどの生徒が大人にやらされているようなものですが、彼女はその時点で「自分で勉強するようになる」という強力な武器を手に入れたのです。5年生になる頃には、すでに上位校を狙うクラスにいました。
確かに、出された宿題をすべてできることはすごいことだと思います。しかし、たとえすべてできなくても、自分のリズムで必要なものだけをやり続けていくことも十分有効な方法なのです。

さて、ここまで「過密スケジュールの見直し」と「塾の宿題のやり方」について説明しました。
このほか、点検してほしい項目は5つあります。それぞれの内容について興味のある方は、拙著『中学受験は算数で受かる』をご覧ください。

第3回は成績UPに役立つ「参考書・問題集の選び方」についてお話します。

州崎 真弘先生のプロフィール

中学受験算数/数学講師、受験Lab 代表。授業一本で生徒と向き合い、型にはまらない授業スタイル・生徒を引き付ける独特の口調での解答へのアプローチは、ほかの講師と一線を画し、内容はもちろん、楽しさと厳しさで振り向かせる授業を展開する。『州崎先生の授業は休みたくない』と常に高い人気と支持を集める。開成中、灘中をはじめとすると難関中学志望者、医学部受験を目指す大学受験生を中心に、キャリアアップを目指す社会人や大学生まで、28年以上で指導した生徒は4800名を超えている。現在は受験Lab代表として、中学受験の算数Web講座・オンライン授業・リモート個別指導・添削指導の他、保護者向け受験コンサルティングなど、トータルな受験指導者として活動している。

『中学受験は算数で受かる』

すばる舎・刊、1,540円(税込み)
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中学受験をするために、塾通いをしているものの、勉強量の多さに圧倒され、宿題も手つかず、復習も中途半端で知識が定着しないお子さまに向けて、効率的で成績が伸びる学び方を指南。受験の要である「算数」の学び方を軸に、家庭での勉強法や塾の活用法、過去問の解き方など、中学受験のプロ・州崎真弘先生が「受かる勉強」のコツを具体的に教えます。

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