【最終回:過去問の使い方次第で合格できる 】受験のプロ教師が算数の学習法を伝授

これまで受験のプロ教師・州崎真弘先生が、エデュナビ読者の皆さまへ算数の学習法の学習法を紹介してきましたが、最終回は「過去問の使い方」です。いつ頃から取り組むべきなのか、第一志望校に受かる子は過去問をどのように使っているのか、など “州崎流過去問の取り組み方”をご紹介します。

過去問は6年生の春から使い倒せ!

過去問は6年生の春から使い倒せ!

志望校の過去問に取り掛かる時期についてさまざまな意見がありますが、過去問は6年生の春までに用意しておき、いつでも始められるようにするべきだと僕は考えています。その理由の1つは、過去問は志望校合格へのロードマップだからです。受験校の入試問題の出題傾向が分かる唯一の参考書であり、合格まで導いてくれる最高の問題集といえます。したがって、早くから過去問を使うべきだと考えています。

そこには入試問題を攻略するためのさまざまな情報が詰まっていて、出題量(数)、時間配分、問題の難易度や合格最低点の入試データなどを知ることで対策を練ることができます。例えば、スピードタイプなのか、じっくり時間がかけられる思考型か、そのハイブリッド型なのか、と出題傾向を事前に知っておくことでその後の受験勉強に役立ちます。

なお過去問の役割は一度解いてからが本番です。一度だけ解いて「何点だったから、合格だ」や「今年なら合格点取れた」で終わらないことです!
本来、過去問の分析を含めた演習には相当な時間を要します。設問ごとに傾向をよく見て、その後の勉強で活かしていくのです。早くから受験校のレベルや問われ方を知っておかないとそれができません。したがって、過去問を腕試しとして直前期に使うことはあまりおすすめできないのです。

志望校合格の可能性を少しでも上げたいのであれば、少しでも早い段階、できればひと通り受験範囲の授業が終わる5年生の終わりあたりから準備に取り掛かり、6年生の春から徐々に使っていくべきです。

過去問を徹底して分析し、勉強に役立てることで算数の得点は確実に変わり、グッと伸びます。仮に合否判定でCやD判定をもらったからといって志望校を諦める必要は全くありません。現に、過去問を使いこなすことで、すぐ算数の得点が1割、多くて2割、変わる子もいます。ぜひ、受験日まで粘って取り組んでほしいと思います!

第一志望校に受かる子は、過去問をここまで使い込む!

実際に、どのように活用すると良いのかについて、主な点を紹介していきます。詳細は、拙著『中学受験は算数で受かる』で説明しているのでご覧ください。では、見ていきます。

せめて5年分、できれば10年分潰しておく

書店などで売られている過去問を見ると、中学によって掲載年度がバラバラで、7、8年分ある学校もあれば、少ないところだと3年分という学校もあります。
さすがに3年分では全然足りません。第3志望以下なら、ギリギリセーフという感じです。
しかし、本命校なら全く足りません。
最低5年分、個人的には最低10年分、できれば20年分は欲しいと思っています。
その理由は、これまで僕が指導してきた生徒で、20年分の過去問をやり尽くして不合格になった子はいないからです。もちろん、算数だけでなく受験科目すべてがそうですが、さすがにそれほどの分量になれば、十分な演習教材にもなります。これだけの大変な量をただこなしたのではなく、やり尽くしたのです! 
つまり、ただの丸つけで終わらせず、過去問のエキスを吸い尽くすほどやりきったということです。

過去問を1年分につき、5~10回解き直す

さらに、解けた問題も含めて、すべて解き直しを繰り返して、過去問を脳に染み込ませていきましょう。繰り返すのは、1年分につき、5~10回です。これをやり遂げると合格への道が見えてきます。塾での勉強も忙しいはずですが、この過去問対策の時間は必ずどこかで必要です。10年分を何度も繰り返せば、求められるレベル幅と出題サイクルが見えてきます。