新しい才能を発掘する「第5回青い鳥文庫小説賞」で、中学受験をテーマにした作品が銀賞を受賞しました。タイトルは『受験精が来た!』。現在、講談社の子育てサイト「コクリコ」で連載されています。ファンタジー要素を取り入れ中学受験を楽しく描いた作品は、受験生のご家族にぴったり。勉強の合間の息抜きに親子で楽しんではいかがでしょうか?
普通の女の子が妖精と一緒に難関校を目指す物語
『受験精が来た!』は小学6年生の「遠山 希望」が主人公の物語です。焼き鳥屋の娘として育った主人公は、憧れの男の子が中学受験をすると知り、同じ学校を目指して受験勉強をスタートします。勉強の仕方のがわからない、時間もない、お金もない、受けた塾のテスト結果も最悪…。そのような状況から、通塾しないで偏差値71の難関校を目指します。
無謀ともいえる挑戦を始めた主人公のもとに、受験の妖精「受験精」という男の子が現れます。中学受験に失敗し、高校受験でリベンジしようとする直前に志半ばで未来を絶たれてしまった受験精。自身の経験を糧に、主人公が入試本番を迎えるまでサポートします。
受験に関するアドバイスが満載
物語は中学受験の一般的なタイムラインに沿って進んでいきます。第1話では、受験精が模試の結果を見て、漢字のとめ・はね・はらいが不十分で失点していることを指摘する場面がありました。受験をするお子さまなら誰しも塾の先生や両親から指摘された経験があるのではないでしょうか。
「きちんとはねたつもり」という主人公に、受験精は中学入試における漢字は「見せびらかし」の気持ちが大切だと伝えます。フィギュアスケートの選手が審査員に演技を見せているつもりで「点をうちましたよ」「はねていますよ」と分かるように書くことが大切だと説明するのです。
普段から「とめ・はね・はらいをしないともったいないでしょ」「点数を取りこぼしているよ」というアドバイスで耳にタコができているお子さまにとって、受験精のアドバイスは我が身のことのように響くことでしょう。
ほかにも「早い時期から過去問に取り組んで意味があるの?」という主人公の疑問に、受験精が自分なりの考えを伝える場面があります。学力がついていないのに過去問を解くことに意味があるのか、そもそも過去問をどうとらえるべきなのか、受験精は自分の言葉で説明します。それらの言葉は、小学6年生の主人公を納得させられるのでしょうか。詳しくは第3話に描かれています。
小説と一緒に連載されている中学受験コラムも必見!
子育て情報サイト「コクリコ」では、『受験精が来た!』と併せて、著者である真田 涼さんによる中学受験コラムを連載しています。小説の中で描かれている、受験直前期から前受け校の受験(本命校の前に実力を測るお試し受験)、入試本番、合格発表それぞれのタイミングで押さえておきたい内容が、コラム形式で紹介されています。これから受験を迎えるご家族にとって心の準備になる有益な情報が見つかることでしょう。
小説の内容は小学生のお子さま向けにファンタジーの要素を取り入れており、コラムは現役東大生の声を参考にした、よりリアルな内容になっています。親子一緒に二つの連載を読んで、受験本番に備えてはいかがでしょうか。
リアルレポート「現役東大生35人に聞きました! わたしの中学受験」(コクリコ)
『受験精が来た!』
著/真田 涼 講談社刊 第5回青い鳥文庫小説賞銀賞受賞作品
これまで全く受験に興味のなかった小学6年生の女の子が、いきなり現れた毒舌のイケメン妖精・受験精の助けを借りながら第一志望校合格を目指すお話。小学生が笑って楽しめる中学受験をテーマにした小説です。
著者:真田 涼(さなだ りょう)さん
小説家、臨床心理士・公認心理師
公認心理師協会 理事
RinDa臨床心理士ルーム 代表
長男長女2児の親