DVDや二次元コードで古今東西の名曲が楽しめる
今年、とてもユニークな図鑑が2冊発売され評判になっています。いずれも小学館の図鑑NEOシリーズで、2月発刊の『図鑑NEOアート 図解はじめての絵画』と、11月発刊の『図鑑NEO 音楽DVDつき』。子ども用にと購入した方が、「子どもに渡す前に自分が夢中になった」「クオリティの高さに驚いた」と驚きの感想を寄せています。早速手にとってみたのですが、ずっしりと重く机の上において、じっくり見ていくイメージ。価格は絵画が2,700円、音楽が2,400円(税抜き)と書籍としては高額ですが、中身は価格以上! 子どもも大人も堪能できる内容なのです。
まず、11月発刊の『図鑑NEO 音楽DVDつき』。70分のDVDがついていたので、図鑑を読みはじめる前に観てみました。ドラえもんとのび太のガイドで、欧米だけでなく世界中の音楽や楽器のこと、コンサートホールのこと、歌が苦手な子にうまく歌うコツを教えるレッスンなど盛りだくさん。大人も飽きさせない内容で、就学前のキッズも楽しめる面白さでした。
本体の図鑑のほうは、第1章「音楽の歴史」、第2章「世界の音楽」、第3章「世界の楽器」と面白コラムで、音楽や楽器に関する知識がさまざまな角度から学べるようになっています。中でも圧巻は、第3章の「世界の楽器」。気鳴楽器、体鳴楽器、膜鳴楽器、弦鳴楽器、電鳴楽器という5つのパートに分かれているのですが、これ、音の出るしくみによる仲間分けなんだとか。気鳴楽器の中にはトランペットやパイプオルガンがあり、弦鳴楽器はギターやピアノなど。そんな分類知らなかったという方のほうが多いのでは?
しかも紹介されている楽器の演奏は、ページにある二次元コードで聴いたり動画を見たりすることができます。誰でも知っているメジャーな楽器から大人も知らないマイナーな楽器まで、世界中の演奏が全部あわせて300分以上! その中には、伝説のヴァイオリン、ストラディヴァリウスの音色もあります。さらに図鑑のカバー裏には、ストラディヴァリウスの原寸大の写真が掲載されています。
というわけで、大人でも専門家でなければ知らない知識が満載の音楽の図鑑。一気に読み終えることなどできない圧倒的な情報量ですが、子ども向けだから総ふりがな付き。子どもたちは年齢に応じて関心をもつところが違ってくるでしょう。ずっと楽しみ続けることができそうです。
約360点の名画の鑑賞法がわかる
続いて『図鑑NEOアート 図解はじめての絵画』。おえかきが大好きな幼児期にこの図鑑を見たら、想像力の翼が大きく広がっていくのでは?と想像しました。何せ、世界と日本の名画約360点が、大きい図版で掲載されています(中には原寸大で掲載されているものも)。印刷のクオリティの高さや、作者だけでなくサイズや所蔵先などの情報も記載されている点は、大人の鑑賞用としても十分です。
絵画って素敵と思っても、本音では鑑賞の仕方がわからない…という親御さんも多いと思いますが、この図鑑を見ていれば、いつのまにか絵画の楽しみ方が深まってくると思います。お子さまと一緒に読み進んでいけば、親子一緒にいっぱしの美術愛好家になれそうです。
第1章「何が描かれているのか」、第2章「どう表現しているのか」、第3章「絵画をもっとよく知ろう」、第4章「素材と技法」、第5章「美術館へ行こう」という構成の中で、子ども向けのわかりやすい誘導で古今東西の名画の味わい方が解説されています。たとえば、「モナリザ」や「ひまわり」などの名画はどこに注目したらいいのか、鳥獣戯画などの絵巻物は、どういうふうに見たら面白いのか、光などの見えないものはどう描くかなどなど。これまで、なんとなくすごいと思っていた名画が、なぜすごいのかわかった気になれました。
何万年も前に人類が洞窟に描いた絵から、宗教画、肖像画、浮世絵、現代アートまで、ありとあらゆる絵画が掲載されているので、パラパラとめくっていくだけで、こんな絵が描けるなんて人間の想像力ってすごい!表現力って素晴らしい!と感心することしきり。
子どもたちがどの絵に関心を持ってくれるのか想像もつきませんが、小さいうちにいろんな絵を見せてあげれば、心と脳に素晴らしい刺激となることでしょう。そして美術館に行ってみたいという気持ちも高まってくると思います。
知性と教養を深めてくれる図鑑をリビングに
音楽と絵画の2冊の図鑑を見て、いちばん驚いたことは、クオリティの高さと情報量の多さでした。質の高い大量の情報を届けることで、未来を担う子どもたちによりよい刺激を与えたいと願う監修者や編集スタッフの熱意を強く感じました。それは、この図鑑を購入した親御さんたちも同じらしく、「いい図鑑を作ってくれてありがとう」という声も多く寄せられているようです。
最近の子どもはよく勉強すると言われますが、その勉強の大半は机の上のドリルだったりします。でも今の子どもたちにもっと大切なことは、さまざまなことに関心を抱き、想像力をはばたかせ、その気持ちを個性豊かに表現することではないでしょうか。教育界で使われている言葉で言えば、「非認知能力」。テストやIQなどの数値では計れない、より深い能力のことです。
非認知能力が高い子どもは、表現力・コミュニケーション力が高く、逆境にへこたれない行動力・人間力があるそうです。日常生活だけでは出会いにくい音楽や絵画に親しむことは、この非認知能力を育むことに大いに貢献してくれます。
音楽と絵画の2冊の図鑑をリビングに常駐させれば、家庭全体の知的レベルもぐっとアップ。難関中学受験にも、とてもよい効果があると思います。
図鑑NEO 音楽 DVDつき
監修/池辺晋一郎、海部陽介、甲地利恵、サカキマンゴー、直川礼緒、常味裕司、ピーター・バラカン、藤村シシン、吉澤 実
小学館刊、価格2,640円(税込)
NEOシリーズ史上初、「音楽」の図鑑が誕生! 今までにない、最高の音楽図鑑が完成しました。音楽の歴史、世界の音楽、約300種の楽器を紹介。スマホ等で演奏音源や動画もたっぷり楽しめます。カバー裏は伝説のヴァイオリン「ストラディヴァリウス」の原寸大ポスター。さらに、特典DVD(約70分)つき。
演奏のようすや楽器写真の多くは、約3年の月日をかけて、この図鑑のためだけに1点1点ていねいに撮り下ろしています。現役で活躍中の演奏者に愛用されている楽器にこだわり、長年にわたって弾き込まれてきた味わい深さまで写真におさめることができました。
また、撮影と同時に楽器にゆかりのあるリズムやメロディーの録音をおこない、その総尺はなんと約300分以上! 誰でもかんたんなスマホ操作で音の聴きくらべができるよう、シンプルなデザインにもこだわりました。
小さなお子様から音楽好きのおとなの方まで、今まで知らなかった音と出会える図鑑です。お気に入りの音を見つけたら、ぜひ本物を聴きにコンサートや演奏会に足を運んでみてください。その楽器を習ってみるのもよいかもしれません。この図鑑が新たな音楽の世界と出会うきっかけになることを願っています。
図鑑NEOアート 図解 はじめての絵画
監修/青柳正規、小学館刊、定価2,970円(税込)
「小学館の図鑑NEO」から新シリーズ「小学館の図鑑NEOアート」が登場! 絵画にはじめて触れる子どもたちに向けて、絵の見方をわかりやすく、楽しくひもときます。
【世界の名画約360点掲載】子どものうちに見ておきたい、日本と世界の名画約360点を掲載。世界トップ水準の印刷技術で、名画がもたらす感動を伝えます。
【子どもが興味をもつテーマで鑑賞】見開きごとに、動物、モンスター、クイズ形式など、子どもの興味をひくテーマで名画を紹介。時代や作者にとらわれない、自由で楽しい絵画の見方を学べます。
【鑑賞ポイントがひと目でわかる】注目すべき部分を拡大したり、イラストで図解したり。解説を読まなくても、鑑賞のポイントがひと目でわかります。
【絵を見るのが楽しくなる全5章立て】第1章「何が描かれているか」、第2章「どのように表現されているか」では、絵に何が、どのように描かれているのか探ります。第3章「絵画をもっとよく知ろう」では、絵を描くとき、見るときの約束事をわかりやすく伝えます。さらに第4章「素材と技法」では画材や技法について、第5章「美術館に行こう」では美術館の役割を紹介します。