育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.31
Q.サピックス生ですが成績は落ちる一方でやる気なし。受験はやめるべきですか?
小6の息子は、中学受験する予定ですが、成績は落ちる一方です。
いま、サピックスに通っているのですが、偏差値は39におちました、やる気がなく、塾のクラスが下がっても、気にしません。
学校にも行きたくない、学校にいくと、先生に叱られる、疲れるし、と言います。また、テレビは見たいし、ゲームで遊びたいし、ふざけるし、親のいう事は聞かないし…、
こんな状態では、受験は辞めた方がよいでしょうか?(Y・E)
A.親としての試練の一つと受けとめて、受験は一度脇に置いて、学校のことや、息子さんの気持ちに注目してみましょう
成績が落ちる一方とのこと。クラスが下がっても気にしないというある意味でのタフネスは悪いことばかりだとは思いませんが、やる気がないというのは気になりますね。といって、受験生みんながやる気満々かというとそんなこともないとは思うのですけれど。
逆に、本当はやる気があるし、本心ではとっても焦っているんだけど、そうみせないようなポーズをしていることも考えられます。本当のところはわかりません。
いただいたご相談の文面からして、いちばん気になることは、息子さんが学校に行きたくないと言っていることです。受験勉強へのやる気云々の前に、学校生活に何か問題があるという可能性はないのでしょうか。先生との関係あるいはいじめなど、学校生活がうまくいっていないことで気持ちが不安定になっているという可能性がないか、気になります。
受験勉強のことが心配なお母さまの気持ちはもちろんですが、その前に、息子さんの気持ちに注目してみてください。受験のことは一度脇に置いておいて、息子さんとゆっくり話してみる。もしくは学校のお友達の保護者を通じて、息子さんの学校での様子を聞いてみるなど。もしそれで「あれ?」と思うようなことがあれば、担任やスクールカウンセラーに相談してみてください。
特段問題がないようであれば、一安心です。そのうえで、「やる気があるようには見えないんだけど、中学受験するんだよね。そのままでいいのかな?」と、受験生としての自覚を促すようなコミュニケーションをしてみてもいいかもしれません。しかしこればっかりは、うまくいくかどうかはわかりません。逆効果になることもあります。あるいは塾の先生に相談してみるのもいいかもしれません。親が言うより、効果が期待できます。
いずれにしても、「やる気を出せ」と言われて、やる気が出るなら、誰だって苦労しませんよね。大人だってどうしてもやる気が出ないことありますからね。そういうもどかしい経験をするのも、親としての試練の一つです。中学受験を通して、親が成長する機会を得ていると考えてみてください。
「やる気がないんだったら中学受験なんてやめてしまいなさい!」というのはできれば言わないほうがいいでしょう。やる気が出ない子どもを見て心が折れてしまっているのは親のほうなのです。親の心が折れてしまったからといって、それを子どものせいにして、「やめちゃいなさい」というのはフェアではありません。
よろしければ拙著『もし中学受験で心が折れそうになったら』をお読みください。