【中学受験の小論文対策】「聞く」「書き出す」「組み立てる」が苦手克服のコツ

中学受験「国語」では記述させる問題を出題する学校も多くあります。ご家庭で作文や小論文対策をするためには、何から始めたらよいのでしょうか。教育家の小川大介先生にお聞きしました。さらに「個別指導塾の選び方」へのお答えも必見です!

【お悩み】自宅でできる小論文対策はありますか?

【お悩み】自宅でできる小論文対策はありますか?

小学校5年生男子のお母さまのお悩み

小川先生、いつも参考にさせていただいております。
息子は、四谷大塚の「進学くらぶ」で在宅学習を進めていて、教科の学習は目標偏差値を順調に推移しています。

志望校の国語では、文章を読んだうえで「あなたの考え」を200字程度で問う小論文問題が毎年出ています。息子は口頭では考えがあがってくるのですが、作文の体裁をとるとなるとハードルが高くなり、時間だけが経過しています。あまり作文対策ばかりに時間を取られると4教科が回らなくなるのも悩みです。
自宅でできる、小論文問題の対策方法をお教えください。
また、個別指導を受けるべき判断基準も重ねてうかがいたいです。

【小川先生の回答】モデルケースを研究して、文章の組み立て方を練習しましょう

言わせることですでに半分できている

ご相談内容から、ご家庭の勉強の手伝い方、お子さんの努力とも非常に優れているように感じます。また「口頭では考えがあがってくるのですが」とおっしゃっているので、お子さんがどのように考えているのかを聞いてあげていますよね。実はこの時点で、もう作文対策の半分ができています。

作文モデルの研究とメモ活用で練習を

しかしながら、言えるのに書けない、その理由は以下のようなことが考えられます。

1.お子さんのタイプ

お子さんは真面目にコツコツ積み上げて基本を反復練習して固めながら成績をとってきた、堅実タイプの子ではないかと思います。
そういったタイプの場合、何をどのように書くのかが見えていないと書きたくない、怖いと思ってなかなか手が進みません。そうした状態で、200字というサイズで、頭の中で思ったことを書くということが難しいのではと思います。堅実さゆえに書けないのです。

2.作文の組み立てのモデルケースをまだよく分かっていない

まずは3~4本の作文を例にして作文のモデルケースを考えてみましょう。
一緒に読んで、最初はこんなことが書いてあって、ここで理由を入れて自分の体験を入れて、思いや結論を言っているね」「結論を言うときは、お題の言葉を入れると書きやすいんだねといったように順を追って研究していくのです。

そのようにしてモデルケースがある程度分かった状態で問題にとりかかってみましょう。その際は、「どう思った?」「それはどういう理由なの?」と聞きながら、口で言わせてお母さんがメモをしてあげるなどして、作文の材料となることを書き出します。
それをお子さんに渡して、これをどういう順番で書こうと思うかを考えさせてみてください。ここでモデルケースを思い起こすと、組み立て方が考えられるはずです。メモを並び替えて、さらに整理したメモを作ってもいいですね。
そして最後にそのメモを見ながら200字の作文を書いてみる、という練習を何度かされたらいいと思います。それほどかからずに書けるようになるのではないでしょうか。

個別指導はいかに「わが子の立場に立ってくれるか」で見極めを

個別指導については、親御さんの関わりでも思うように手が進まないときに、人の力を借りてみるという1つの手段としてありだと思います。ただ適切な支援をしてくれそうかどうかの見極めが必要です。

相談に行った際、確認すべきポイントは3つあります。

・お子さんはこういうことで困っているんですね、とわが子のことを言ってくれる
・お子さんにはこういう指導ができるという見通しを説明してくれる
・どんな教材で勉強するかを相談させてくれる

これらの条件が揃っていたらいいと思います。

残念ながら多くの個別指導は、やることを勝手に決めてきたり、過去の成功事例は話してもわが子に沿った話はしてくれなかったり、子どもの立場に立った相談ではなく、弱点部分だけを言ってきたりするところがあります。これでは集団塾と変わりありません。

自分の子を理解して伸ばそうとしてくれるか、一緒に相談しながら学習計画を立てようという姿勢があるかというところで判断されたらいいと思います。

今すでに半分はできているわけですから、自信を持って頑張ってください。

今回の回答者:小川 大介(おがわ だいすけ)先生

小川 大介(おがわ だいす)先生

教育家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。
京大法を卒業後、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。メディア取材も多く、YouTubeチャンネル『小川大介の「見守る子育て研究所」』も公開中。