【中学受験】「挑戦」することに、マイナスなんかない。スクールカウンセラーが回答するお悩みQ&A(2ページ目)

お子さんに合った志望校をみつけるために

お子さんの能力を伸ばしてくれる中学校はどのようにしてみつけたらよいでしょうか。
偏差値や学力だけを基準に選ぶのではなく、その中学校の校風がお子さんに合っているかどうかは、非常に重要になってきます。どのような理念・ポリシーを持っているか、部活や課外活動への考え方はどうか。そしてどのような中学校生活を生徒達に望んでいるのかというところも、注目すべきポイントです。

お子さんに合った志望校をみつけるために

公立の中高一貫校を受験する場合は「適性検査」という問題形式になり、単純に学力だけをはかるのではなく、その学校への適性や学校との相性をみる入試になることは、すでに知られているところです。こういった相性を重視する点は、私立の場合も大きく変わりません。

地元の中学校へ進学することができるなか、敢えて受験することを選ぶからには、やはりお子さんがその志望校へ通う目的や意義があるはずなのです。

親子の気持ちが一致していることは強みになる

今回、お子さんと説明会に行かれた際、お二人とも志望校の雰囲気が気に入って決められたとのこと。
お子さんとお母さまがお二人とも気に入ったというのは、とても望ましい状態といえます。

お子さんか親御さんのどちらかだけが気に入って、それでも受験するというケースももちろんありますが、この場合、お子さんの中には親御さんから支持してもらえていない不安や、モヤモヤした気持ちが残ってしまい、受験に挑むために必要な気持ちの入り方が違ってきてしまうことがあるのです。

親子の気持ちが一致していることは強みになる

本人と親御さんの希望が一致していることで、お互いがより安心して受験に挑むことができますから、志望校選びではこういったご家庭内での価値観のすり合わせはとても大事になってきます。

お母さまの立場からは、お子さんがその中学校へ通っている姿を想像したときに違和感がないか、楽しく通えそうかをシミュレーションしてみるとよいですね。親子の間で志望校の捉え方に違いがないかを確認するために、お子さんに志望校のどんなところが気に入ったのか、具体的に聞いてみることもおすすめですよ。

必ずハッピーエンドを迎える中学受験

残るところ、入試本番まであとわずかとなってきました。今一度、この中学受験がお子さんにとってどのような意味づけをすることができ、その価値がどれだけのものであるかを確認していきましょう。

まず、中学受験が成功したか否かについては、試験の合否で決まるものではないということを念頭に置いてください。もし志望校に合格できなかったとしても、決してバッドエンドにはならないのです。目指すところに入れなかったという結果は、辛く悲しいものであることに変わりありませんが、自ら挑戦する道を選び、努力した経験というのは、何ものにも代えがたい一生モノの宝となるのです。

“試験前”のねぎらいが大事

合否にかかわらず、この中学受験をプラスに捉えられるようにするには、試験前から中学受験をすることの意義をお子さんに直接伝えておくことが大切です。そしてたとえ不合格になったとしても、挑戦したことでたくさん成長することが出来たと、<試験前に>ねぎらってあげて欲しいのです。

もし受験するつもりで動いていなかったら、志望校のような中学校があることを知ることもなかったし、学力も今ほど上がらなかったかもしれない。塾で自分と同じように頑張っている仲間の存在も知ることはなく、自分の苦手を克服できた感動や、得意を伸ばせた自信も得ることはなかったかもしれない。
自分と向き合い、自分との闘いで得られた経験すべては、受験に挑むことを決めたから得られた副産物なのです。

挑戦することの素晴らしさは、挑戦した者にしかわかりません。今、お子さんは逃げるでもなく、避けるのでもなく、自ら積極的に前に歩みだそうとしていますよね。その姿を日々ねぎらいながら、お子さんの成長を間近で見届けていきませんか。中学受験がお子さんのためになるかどうかは、本人と家族の“解釈”次第なのです。

鈴木 奈津子 さん

回答者:鈴木 奈津子 さん

東京出身。心理学修士。公認心理師と臨床心理士の資格を持ち、公立小中学校にてスクールカウンセラーとして従事。自治体主催のゲートキーパー養成講座の講師も務める。専門は学校不適応(不登校・登校しぶり)と発達障害への対応。ネットトラブルやセクシャルマイノリティに関する相談等も広く受けている。

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