inter-edu’s eye
佼成学園女子中学高等学校は、第2回でご紹介したとおり、受験生にとって受けやすく、実力を活かしやすい多様な入試を行います。この、受験生にとって「やさしい」入試システムには、同校のどんな「想い」が込められているのでしょうか。今回は、教頭の江川先生の入試、そして受験生に対する熱い想いと、そこから生まれた新たな取り組みについてお届けします。
公立併願受験者へのやさしさ
~『入試答案分析』~
『PISA型入試(2月1日)』で新たな取り組み
インターエデュ(以下、エデュ):公立中高一貫校との併願が多い『PISA型入試(2月1日)』受験者に対し、新たに答案分析を配布することにしたのはなぜですか?
教頭 江川昭夫先生(以下、江川先生):この取り組みには、本来あるべき勉強や学習、教育のスタンスが映し出されています。試験を受けたら、一度「ここはできている・できていない」と、結果を振り返ることが大切。そこで、公立中高一貫校受検を控える受験者に答案分析を配布することにしたのです。2月2日に配布し、2月3日の受検に活かしてもらいます。
エデュ:他校であまり例のないなか、どんな想いで踏み切られたのですか?
江川先生:本校に『PISA型入試』を導入したときから、ずっと受験生を見てきて、ある傾向に気づいたのです。それは、たとえ間違っていても、しっかりと解答を導き出そうとする姿勢です。答案づくりに対するその前向きな想いに、エールをお返しする気持ちで踏み切りましたね。
受験生に提供されるものとは?
中学入試日程表
エデュ:『入試答案分析』の結果は、具体的にどのような形で示されるのですか?
江川先生:大問ごとに本人の得点と全受験生の平均値を記し、レーダーチャートでより明確に表します。誰でも一目で得手・不得手が読み取れるでしょう。さらに、それぞれの項目の解答に対するコメントを添えます。
エデュ:コメントはどのような内容なのですか?
江川先生:簡単にいうと「励まし」です。本来必要なのは、採点に対する細かい振り返りのコメント。ですが、公立中高一貫校入試を翌日に控えた受験生に必要なのは、次なる勝負に向けての自信につながる、前向きな一言なのです。点数が低い受験生にも、あらためてがんばってもらえるよう工夫を凝らしたコメントをおくります。ここは、わたしたちの力の見せどころ。このコメントで、受験生の背中をやさしく押してあげられたらと思っています。
すべての受験者へのやさしさ
~『特待制度』『得意科目重視』~
エデュ:入学金と6年間の授業料などが免除になる『特待制度』が充実していますが、その特徴を教えてください。
江川先生:対象の入試が複数回にわたり実施されるため、受けやすいのが特徴です。一方で、第1回目と第2回目以降では特待基準が変わるので、早めに受けることをおすすめします。
エデュ:『特待制度』以外に、入試全体の注目ポイントや受験対策はありますか?
江川先生:基本問題が多く、「5割取得」が合格基準です。また、得意とする1科目を点数2倍で算出する「得意科目重視」の制度を今年度より導入します。得意分野を重視するのは、本校に元からある「得意科目があると、他科目もそれについていく」という考え方に準じています。
佼成学園女子だけの難関大学合格メソッド
~英語が他科目を引き上げる~
「英語が得意になると他科目も伸びていく」という考えを持ち、英語教育に力を入れている同校は、その英語運用能力や留学の実績、学力の伸長などが評価され、昨年「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に選ばれました。生徒たちは、英語をがんばることで他科目の成績もグングンと伸ばし、難関大学合格へと道を切り開いています。これは、同校特有のメソッドといえます。
「何か1つでも『やってみよう!』とチャレンジする気持ちのある子は、本校に入ると伸びると思う」と語る江川先生。「わたしたちは、本校に入学したみなさんを、難関大学合格へのストーリーに導きます。もちろん、それは公立中高一貫校が第一志望という方に対しても同じです」と、受験生に力強いメッセージを送ります。
編集後記
お子さまにとって、中学受験は人生における最初の一大イベントといっても過言ではありません。そのような機会において、「入試」を通してお子さまにやさしさを提供したり、自信を与えたりできる学校は、それほど多くないはず。また、お得な2月1日の入試以降もPISA型での受験を随時募集するとのことです。「何かやってみたい!」という志の高いお子さまには、ピッタリの成長舞台となるでしょう。