inter-edu’s eye
7月18日から3年生全体が、学校初のオーストラリア語学研修に臨みました。帰国した生徒たちに研修の感想を聞くと、これまでの英語学習の成果や、オーストラリアの人々、自然、文化に触れて感激したことなどを嬉しそうに語ってくれました。
世界に通用する英会話力、日本人としての教養を磨いた3年間
八王子中学校では、「国際社会で活躍する人材を育てる(連載第2回にて特集)」という教育方針のもと、英語でのコミュニケーション力を育てるのはもちろん、日本人としての教養を身につけることにも力を入れてきました。
生徒は1年生で忍者体験や畳作り体験を行い、2年生で日本文化を英語で説明できるまでになり、3年生ではネイティブの先生から難易度の高い英文解釈を学びます。生徒たちはこうした段階を経て、オーストラリア研修への興味を高めていくのです。
現地校への通学、ホームステイでオーストラリアを体感
90名の生徒は、グループごとに6つの現地校に通学します。午前は英語のレッスンを受け、午後は現地校の生徒と一緒に授業を受けました。生徒は一家庭に一人ホームステイし、週末はホストファミリーと一緒に過ごします。
生徒たちは「日本人としての自覚と英語力の向上」「国際的な考え方や視野を身につける」ということを意識して、10日間の濃密なプログラムに取り組みました。
生徒インタビュー「どんどん英語に慣れていくのを実感しました」
外国系の大学に興味が湧きました
私は2歳から英会話を習っていたため英語への抵抗は少ないほうだと思いますが、それでも初めは聞き取るだけで精一杯でした。でも少しずつ話せるようになり、帰国するころにはジョークを言えるまでになりました。オーストラリアで一番長い川「マレーリバー」で羊のレースを見て、現地の子たちと大興奮したことは本当にいい思い出です。
帰国後はさらに英語に興味が湧き、外国語系の大学を調べています。
自分の気持ちが伝わるのがうれしかったです
ホームステイ先のお母さんは、通学した現地校の先生だったので心強かったですね。オーストラリアでは、どんなときも自分の意思表示が求められます。僕も欲しいものは頑張って英語で伝え、会話が通じ、コミュニケーションがとれた時は感激でした。学校の授業では、分からない言葉が多くて辞書で調べながら受けていたのですが、授業後に先生がフォローしてくれたので内容をきちんと理解することができました。
英語への怖さが楽しさに変わりました!
ホームステイ先では羊や豚、鶏を飼っていたので、卵を回収するお手伝いをしたのが楽しかったです。学校では技術の授業を受けました。鉄を溶かして加工するという本格的な内容で驚きました。現地の子たちはたくさん質問してきてくれるので、私も一生懸命答えました。
研修前は英語に自信がなかったのですが、今は英語に対する恐怖心が少なくなった気がします。
登校初日に体育館で紹介され、 緊張した様子の生徒たち |
天気が良いため、屋外で英語の授業。 パートナーを紹介しあう |
現地のアボリジニに伝統楽器の 演奏を教わる |
先生から見た海外研修を通しての生徒たちの成長
10泊12日の研修を通して、自らの成長を強く実感した生徒たち。先生の目からは、どのように映っていたのでしょうか。
「一番感じたことは、生徒が英語を話すことへのハードルが低くなっていったことですね。日本では文法から入りがちですが、オーストラリアではまず相手の意思を受け止め、そのうえで自分の意思を伝えなければなりません。とにかく話すこと、間違えることを恐れないという気持ちが養われたと思います。
また、生徒たちが過ごしたのは牧場が広がる農村部。敷地は東京ドーム10個分という家ばかりで、羊・馬やペットとのんびり過ごすんです。日本ではなかなか見られない天の川も見ることができました。こうした日本とは異なる生活も生徒たちに感じて欲しかったことの一つです。研修では携帯電話の持ち込みを禁止したのですが、『携帯電話のない生活もいいですね』という生徒の言葉を聞き、このルールは次の学年にも引き継ぎたいと思いました」と3年生担任の吉村先生。
生徒の中には、各々の事情で不参加の生徒もおり、研修期間中は学校で授業を受けていました。
「残念ながら参加できなかった生徒は、最後の日に食堂で“オムライスパーティー”を行い、盛り上がったそうです。全員が笑顔で研修期間を終わることができたのでよかったと思います」
編集者が見たポイント
取材した生徒さんたちからは、「英語を話すことが楽しい」という気持ちがひしひしと伝わってきました。大人になってから英語に対する抵抗をなくすことは容易なことではありませんが、中学生で海外を経験することで英語の楽しさを知り、「将来留学したい」「外国語をもっと勉強したい」と八王子中学校から世界に目を向ける生徒が、これからもたくさん出てくるのではないでしょうか。