inter-edu’s eye
まもなく創立100年を迎える女子美術大学付属高等学校・中学校。伝統ある美術系大学の付属校ですが、その一方で大学受験に必要な普通科目の学習はどうなっているのか、不安になる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、美術が得意だからこそ、普通科目の学力が伸びることもあるそうです。女子美だからできる普通科目教育について、髙城先生と横江先生にお話をうかがいました。
- 髙城先生 主幹教諭 教務部主任 数学科教員
- 横江先生 教諭 英語科教員
形にする力があらゆる学力を伸ばす
表現することで新たに吸収できる知識
インターエデュ(以下、エデュ):美術を学ぶことは、普通科目の学習にどのように結びついているのですか?
髙城先生:我が校の生徒は、美術学習によって、常に思ったことを形にしているので、普通科目でも実生活と結びつけて形にする力を持っています。たとえば、不等式のxの範囲を量としてイメージしたり、三角関数の曲線を紙で再現したりします。美術以外の科目でも、自分なりの表現方法を見つけて関心を持つことで、苦手な科目を克服してしまう生徒もいます。
横江先生:英語では、模範解答以外の表現も教えるようにしています。生徒も授業後に、こういう表現をしたいけど、どう言えばいいのかと積極的に質問をしてきます。
学びたい気持ちに真剣に向き合う
エデュ:美術の作品制作があると、普通科目を勉強する時間が取れないこともあるかと思いますが、どのようなサポートをしていますか?
髙城先生:学校の定めた基準以下の成績だった生徒が補習を受ける制度もありますし、中間テストや期末テストの前には成績を上げるための補習も行っています。また、もっとレベルの高い学習をしたい生徒向けの夏期講習も開いています。
横江先生:生徒は何かを伝えたいという想いが強いので、英語教育では、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を測るオンラインテスト「GTEC」を受けさせています。ライティングが得意な生徒が多いので、点数も伸びています。
エデュ:生徒が美術系ではない進路を希望した場合、どのような対応をしていますか?
横江先生:お医者さまや普通科目の教師になりたいなど美術系以外の進路を希望する生徒も約1割います。学科選択コースもあるので、大学入試に必要な科目を学ぶことができます。その生徒らしい道を歩んで欲しいというのが全教員の想いなので、さまざまな進路をフォローする体制を整えています。
ほとんどの生徒が第一志望に進学
エデュ:生徒は、勉強と作品制作をどのように両立させているのですか?
髙城先生:生徒たちは、限られた時間の中でも勉強に集中できる瞬発力持っています。作品の提出日は試験前が多いのですが、作品もテスト勉強も手を抜きません。みんなが結果を残しているので、できないという言い訳をしないのです。
横江先生:ほとんどの生徒が第一志望の進学先に現役で合格しています。好きなことがある生徒は、実現する力を持っているのです。
全力で取り組む女子美祭
生徒たちが豊かな表現力を遺憾なく発揮するのが、10月に行われる女子美祭です。女子美祭に出展するためには、審査に合格しなければならず、その過程で生徒たちは、短時間で効果的に相手を説得するプレゼンテーションの方法や期限内に資料を準備する習慣なども身につけます。
「社会で活躍しているある卒業生が、女子美祭でやっていたことを今でもやっているだけだと話してくれたことがあります。日々の作品制作を全力で楽しみながら学び、勉強も頑張って自分らしい道に進むことができるというのが、女子美の自慢できることだと思います」と先生。学校生活で一生懸命やっていることが、すべてキャリア教育につながっているのですね。
編集者から見たポイント
女子美の教育方針は、美術系だからといって普通科目をおろそかにすることを許さないというものです。むしろ好きなことを全力で学んでいるからこそ、その他の勉強も頑張れるガッツが身に付くのだと納得しました。
勉強と作品制作、両方に全力で取り組む生徒たちの姿を見ることのできる女子美祭にぜひ足を運んでみてください。
イベント名 | 開催日 | 時間 | 備考 |
---|---|---|---|
女子美祭 (予約・上履き不要) |
10月25日(土) 26日(日) |
10:00~17:00 |
※ミニ説明会あり 26日(日) |