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「恕の精神(思いやりの心)」を実践できる女性の育成を目指している神田女学園中学校・高等学校では、ボランティア活動が非常に盛んです。今回は、本年度からスタートしたプロジェクト「まちチョコ」の活動内容に迫りました!
チョコレートでボランティアを行う「まちチョコ」とは?
「まちチョコ」は、チョコレートを通してフェアトレードを広めていく活動です。フェアトレードとは、生産者の生活改善を目指し、発展途上国の原料や製品を適正な価格で取引すること。チョコレートの原料であるカカオ産業は児童労働という大きな問題を抱えているのですが、この現状を多くの人に知ってもらうためにさまざまな大学で行われている「まちチョコ」活動を、神田女学園中学校・高等学校でも今年度からスタートしたのです。中学生・高校生が参加するのは、全国で初めての試みです。
「まちチョコ」を行っている東京経済大学の先生と学生を招いてフェアトレードについて講義をしてもらったり、実際にカカオからチョコレートを作る体験をするなどして、「まちチョコ」への理解を深めてきました。
力作ぞろいのパッケージコンテスト
9月に行われた文化祭では、パッケージコンテストを開催。たくさんの応募作品の中から投票で選ばれたパッケージを使用し、12月のクリスマスコンサートで実際にチョコレートを販売する予定です。
今後は、交流のある商店街の方々に協力していただき、街でチョコレートを販売したり、「まちチョコ」を行っている大学生の活動に参加するなど、学校外での活動を増やしていく予定です。
ボランティアを通して変わっていく生徒たち
今回お話をうかがった畠祐美子先生が、ボランティアを通して生徒が大きく成長した印象的なエピソードを教えてくださいました。
「ご両親のお体が不自由で、家庭で手話を使っている生徒がいました。彼女は内向的だったのですが、ボランティアをきっかけにどんどん活動的になっていき、遺児の心のケアを行う『レインボーハウス』へ1人で取材に出かけ、その成果を全校生徒の前で発表しました。また新聞社主催の手話スピーチコンテストの全国大会で、自分の経験を踏まえ障害者に理解を求めた主張を発表するまでになりました」
このエピソードにもあるように、「まちチョコ」も「活動をして終わり」ではなく、その活動内容を発表する機会が設けられています。
「学年集会でプレゼンを行う機会を多く生徒に与えています。さまざまなジャンルのプレゼンをし合うことで、子どもたちの興味の幅が広がっていると感じます。今後もアンテナを伸ばしていき、生徒自身の企画やアイデアを取り入れた活動ができればいいと思っています。
また、ボランティア活動をする上で、お金の支援だけでなく、こころの支援も大事にしていってもらいたいですね」
ボランティア委員会の生徒たちにインタビュー!
「ボランティアをする機会があったのに何もしてこなかった自分を変えたくて、ボランティア委員会に入りました。活動を通して、人にやさしくなったと感じます。将来は、世界中の人たちと協力して、平等で平和な世界の実現を目指す仕事に就きたいと思っています」(高校2年生)
「まちチョコ活動を通して、自分がどれだけ恵まれているかを知りました。もともと英語関係の仕事に就きたいと思っていたのですが、ボランティアを通して人の役に立つことに喜びを感じ、その達成感から国際的に必要とされる仕事に興味が出てきています」(高校2年生)
ボランティア活動には50年以上の歴史あり!
「まちチョコ」のほかにも、ボランティア委員会を中心に、あしなが育英募金や地域活動など、1年を通してさまざまなボランティアを行っています。特に児童養護施設「心泉学園」への訪問は50年以上続いており、活動の基軸となっています。
今年は「自ら喜んで活動できる ヒューマニストであれ!」を目標に掲げ、「まちチョコ」と「チャリティーコンサート」の2つの活動を新たに企画。「チャリティーコンサート」は9月の文化祭後に行われ、入場料が東日本大震災による地震・津波遺児の心をケアする「レインボーハウス」の建設を応援するために寄付されました。生徒の企画による1時間あまりのショーは大成功をおさめ、見事目標額を超えるお金も集まりました。