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インタビュー企画

入試問題の傾向、知識よりも「文章を正しく読み込む力」「因果関係の理解」

男女御三家、入試問題の傾向が変化?

男子御三家の入試では、小学生には少々厳しいのでは…と思うような、いわゆる「とんがった」知識を要求される問題は皆無でした。
一方、その場でしっかりと読みこんで、試行錯誤し、手を動かして答えを導き出すタイプの問題が多く、その出来が合否を分けました。
武蔵の入試は、全体的に難度を下げています。学校が求める生徒像が変化したのかも…という想像もしています。

女子御三家のうち女子学院や雙葉は、受験問題集や塾テキストに入っているようなスタンダードな問題が多く出題されました。言い換えれば、最難関を受ける受験生にとっては「やさしめ」だったということにはなります。
「あなたはコロナ禍にも負けずに、努力を続けてきましたか?」という学校からのメッセージなのかもしれません。

一方、難度が上がったのは、桜蔭の算数です。試験が終わった後に受験生が悲鳴を上げたほどです。第1問目の四則計算も受験生を悩ませた問題でした。多量な処理を正確に素早くできる力を見る、いわば“桜蔭らしさ”を感じさせる問題と言えるでしょう。

入試問題の傾向、知識よりも「文章を正しく読み込む力」「因果関係の理解」

「何を勉強してきたか」よりも「どのように勉強してきたか」が問われる入試に

昨今難関校では、知識量を重視する勉強ではなく、「なぜそうなるのか」、「こうだったらどうなるのか」という「因果関係」を意識して勉強をしてきたかを問う入試です。

物事の表面を、サッとすくい取って記憶する学習ではなく、本質を納得感を持って理解する学習がより大切になってきました。
男子最難関中学の入試では、数十年にわたり、このような因果関係重視の問題を出し続けてきました。今後、このタイプの問題はいろいろな学校に広がっていくはずです。

因果関係重視は中堅校にも?

大学合格共通テストにおいて、「思考力」・「判断力」・「表現力」は大きなテーマになっています。入学してきた生徒たちを、6年後には大学に送り出す中学校としては、このテーマに合う学習をしてきた子どもたちに来てもらいたいと考えます。

その萌芽は、すでに見られます。最難関校以外でも、算数や理科において「リード文が長い問題」や、「長い会話文から始まる問題」が増えています。
必要とされる知識量は減った一方で、現象と原因をつなぐ理解が大切になっています。

因果関係重視は中堅校にも?

2022年の入試問題の傾向は?

今年、問題が大きく易化した学校は振り戻しがありそうです。
また、問題文を読み取る力は、ますます大切になってきます。
ときには、詳細な「取り扱い説明書」を読み解いていくような、丁寧な読み方も必要になってくると予想されます。

西村 則康

中学受験専門プロ家庭教師「名門指導会」代表、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員、塾ソムリエ
西村 則康(にしむら のりやす)

40年以上、中学受験指導を一筋に活動し、開成、麻布、桜蔭中学などの最難関中学に2,500人以上を導く。
受験学習を、暗記や単なる作業だけのものにせず、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で切り込んでいく授業は親からの信頼も厚い。『御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方』(アスコム)、『中学受験は親が9割 最新版』(青春出版社)、『難関校合格のすごい勉強習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)など著書多数。