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第8回小中学校の教員も期待するICT。でも、その効果は限定的?2014年07月03日 公開
コンピュータやタブレット端末、インターネットなどを活用したICT教育。文部科学省の調査(平成25年)によると、小学校、中学校、高校へのコンピュータの普及率は、全国平均で児童生徒6.5人に1台と、それほど多くはありませんが、教室へのLAN整備率は84.4%、光ファイバーやADSLなどの高速インターネット回線の普及率は98.6%、電子黒板の台数はこの5年で4.5倍に増えるなど、急速にICT活用の環境が整いつつあります。
国のICT教育推進に呼応するように、学習塾でも、iPadなどのタブレット端末を使って授業の効率化を図ったり、インターネットを使って自宅でWeb学習を行う「オンライン授業」を採り入れる塾が、首都圏を中心に増えつつあります。
学校にも学習塾にも普及しつつあるICTですが、どの程度、効果があるものなのか、いまひとつ見えない部分があります。しかし、今年、ベネッセ教育総合研究所が全国の小学校・中学校の教員を対象に実施した「ICT を活用した学びのあり方に関する調査」で、その一端が見えてきました。
調査レポートによると、小学校教員の8割、中学校教員の6割がすでにICTを活用した授業に取り組んでいますが、授業の内容をみると、教材をインターネットで集めたり、教材やノートをプロジェクタで映しながら説明したりといったレベルに留まっているケースがほとんど。その一方で、今後もICTを活用したいという意向を持っている教員は、全体の9割を超えます。
ハードの整備状況をみると、「デジタルテレビ」と「実物投影機」(プロジェクタ)は小中学校の7割以上、電子黒板は5割弱と普及が進んでいますが、「子ども用タブレット端末」は 10%未満に留まります。まだまだ十分に環境が整っていない中で、9割の教員がICTを活用していこうとしているわけですから、期待度の高さがうかがえます。
その一方、ICTの具体的な効果に関する意識調査では、興味深いことがわかります。下のグラフをご覧ください。「学習に対する子どもの興味・意欲が高まる」と回答した教員が、小学校で91.9%、中学校で85.6%と、他を圧倒する割合です。
それと対照的に少ないのが、「子どもが自分から進んで行動する事が増える」「子どもが積極的に発言するようになる」「子ども同士の教え合い・学び合いが増える」「授業で子どもが考える機会が増える」といった回答で、いずれも20%以下です。「一人ひとりの能力に合わせた学習の機会が増える」や「子ども自身の気づきや発見が増える」も4割未満と、かなり少ないですね。
ICT教育は、勉強をする気にさせる最初のきっかけ作りにはとても有効ですが、生徒が自ら興味を持ち、主体的に考え、友達と共同で学んでいくためのツールとしては、まだまだ開発途上、効果は限定的。これが、ICTを活用した経験のある教員共通の意見とみていいでしょう。
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