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第21回留学率で見れば、日本人留学生は減っていない2014年10月02日 公開
この10年ほど、日本から海外に留学する人が減り続けています。そのことを取り上げて「日本の若者は内向きになった」「日本の孤立化が進むのではないか」と指摘する「有識者」もいるようです。はたしてそれは本当でしょうか。
上のグラフは、今年(平成26年)3月に文部科学省が発表した、日本人の海外留学者数の推移です。日本人留学者数は、1980年代半ばから右肩上がりで増え、平成16年(2004年)に82945人と過去最高の数を記録。ところがその後、急激に減少して、2011年には57501人になりました。
わずか7年で30%以上も減少したのですから、ずいぶんと急激な落ち込みようです。こんなグラフを見せられたら、「日本の若者がチャレンジしなくなった」とか「留学経験が学業や仕事で活かされない日本社会全体が内向きになってきたのでは?」と、不安に感じても無理はなさそうです。
日本人留学生の絶対数が急激に減少したことは確かなのですが、ただ、若者の数自体が減少していることも影響していそうです。そこで、総務省の人口推計から、18歳~29歳の人口を拾い出して、日本人留学者数のデータと合わせて「留学率」を出してみました。それが下の表です。
1990年から2005年までは5年おきの数値、それ以降は2008年、2010年、2011年の数値と、飛び飛びになっていますが、おおよその傾向はわかると思います。
おや? 1990年代と比べると、21世紀になってからはかなり増えているじゃありませんか。確かに、2005年と2008年(ともに0.4%以上)に比べれば、2010年以降は0.36%と減少していますが、それでも2000年と同じ。1995年の33%増、1990年と比較すれば2.7倍に増えています。
また、留学先が以前とは変わってきたことも見逃せません。MBA WORLDというサイトがまとめた日本人留学生の主な留学先に関するデータを見ると、2002年から2011年にかけて大きく人数を減らしたのはアメリカ(54%減)とイギリス(40%減)だけです。
オーストラリアとドイツは2011年こそ少し減ったものの、2010年まではほぼ一定。逆に、カナダ、フランスは少し増加し、中国、台湾、韓国、ニュージーランドへの留学生は、大幅に増えているのです。特に注目したいのが「その他」の国の留学者数。1741人から3237人へと、約1.86倍もの増加です。
いまだに1000人の若者のうち3人以上が海外へ留学しており、その数は1990年代までよりも多い。留学先も、以前の米英偏重から、さまざまな国へと徐々に散らばりつつある。この事実だけをとってみれば、日本の若者はむしろ「外向き」になっていると言ったほうがよさそうな気がします。
少なくとも、留学者数の減少だけを取り上げて、「日本の若者は内向きになった」と判断するのは早計でしょう。みなさんは、どう思われますか?
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