官民の調査報告から知っ得情報をピックアップ データで知る「塾・受験・教育現場」
変化が激しい教育界。受験、塾、教育全般から知っ得調査データをお知らせ。
第26回人口の多い地域ほど学習塾にかける費用は増加2014年11月06日 公開
平成24年度「子供の学習費調査」(文部科学省)に、子どもが居住する地域の人口規模別にみた学習費データがありました。数字をつらつらと眺めていたところ、興味深いことが判明しました。
下記は、市町村の人口規模別にみた、小中学生が年間に使う学習塾費用をグラフにしたものです。私立の小中学校についてはデータが存在しないので、公立の小中学校のデータをグラフ化しました。
小学生、中学生ともに、学習塾にかける費用の平均は、人口規模が大きくなるほど急激に増えていることがわかります。公立の小中学校に通う生徒全体の平均は、この連載の第2回でレポートした通り、小学生が13万6000円、中学生が24万9000円ですが、この平均値を上回っているのは、小学生では「指定都市・特別区」に居住する人だけ、中学生では「人口15万人以上」よりも大きな市区町村に住んでいる場合だけです。人口規模で、相当に大きな差があるんですね。
また、年間1万円以上の学習塾費を支出している家庭の割合も、下記のように、人口規模が大きくなるほど増加します。
●小学生の場合、
・5万人未満=34.5%
・5万人以上15万人未満=36.8%
・15万人以上=44.3%
・指定都市・特別区=48.6%
●中学生の場合、
・5万人未満=57.8%
・5万人以上15万人未満=66.6%
・15万人以上=71.7%
・指定都市・特別区=81.2%
都市部ほど学習塾の数が多く、学校外で学習する環境が整っていることが、いちばんの要因でしょうが、所得も多く、家計に余裕があることも影響していそうです。
ところが、学校の授業や行事に使われる「学校教育費」を見ると、まったく逆の現象が。小学生の場合、6万4000円(5万人未満)、5万7000円(5万人以上15万人未満)、5万4000円(15万人以上)、4万9000円(指定都市・特別区)といった具合に、人口規模が大きくなるほど、金額が少しずつ減ります。中学生の場合もまったく同じで、14万4000円(5万人未満)から12万2000円(指定都市・特別区)へと、金額が少なくなります。教科書費・教科書以外の図書費(中学生)や学用品・実験実習材料費(小中学生)、通学費(小学生)などが少し安くなるようです。
人口の多い市区町村に住んでいる子どものほうが学習塾に通う傾向にある、友達が塾に通っていることが多いため勉強のモチベーションも高まる、しかも、学校教育費は少し安い。学習塾費用の増加が子どもの教育費全体を押し上げることは確かですが、公立小中学校の生徒が受験のために学習塾に通う場合、学習塾選択の自由度が高いことその他、さまざまな面で、都市部のほうが有利なのですね。
データで知る 「塾・受験・教育現場」 アーカイブ
- 2015年5月28日第54回 消費支出は12か月連続で減少する中、教育費は増加
- 2015年5月21日第53回 約7割の子どもは親と同じ仕事に就きたくないと思っている
- 2015年5月14日第52回 親の約半数は子どもの全教育資金を把握していない
- 2015年5月7日第51回 子どもの生活スキル獲得に親の小言は百害あって一利なし
- 2015年4月30日第50回 東大生調査:「なにがなんでも東大」は6割!
- 2015年4月23日第49回 夏期講習はどこで? 選択の決め手はやはり体験授業
- 2015年4月16日第48回 東大生の母親は専業主婦が有利ってホント?
- 2015年4月9日第47回 東大生の父親の職業--管理職が群を抜いて多かった
- 2015年4月2日第46回 小学生がなりたい職業。男女とも医師が安定的な人気
- 2015年3月26日第45回 「勉強方法の工夫」は経済的ハンディを乗り越える
- 2015年3月19日第44回 子どもの気持ちがよく分かるお父さん、お母さんが増加
- 2015年3月12日第43回 現役東大生の65%は小学生のとき塾通いしていた
- 2015年3月5日第42回 親子で進路や勉強について話し合う家庭の子は学力が高い
- 2015年2月26日第41回 学力向上のためにまず必要なのは規則正しい生活です
- 2015年2月19日第40回 試験直後に後悔する子ほど次の試験で「やる気」になる
- 2015年2月12日第39回 子どもの頃の体験活動は読書の効果を飛躍的に高める
- 2015年2月5日第38回 子どもの頃の読書は人を前向きにし、社会性を高める
- 2015年1月29日第37回 【習い事】親世代は「書道」、子供世代は「学習塾」が1位
- 2015年1月22日第36回 塾や英会話教室の英語学習は小学校英語より「役立ち感」が強い
- 2015年1月15日第35回 本をよく読む親の子ほど、国語ばかりか算数の点数も高い!
- 2015年1月8日第34回 「絵本の読み聞かせ」は、その後の学力に大きく影響!
- 2014年12月25日第33回 「勉強しなさい!」は、やっぱり効果がなかった
- 2014年12月18日第32回 英語や外国の文化に触れる機会が多いほど好成績
- 2014年12月11日第31回 親の「学問のすゝめ」が子どもの学力を左右する?
- 2014年12月4日第30回 勉強時間よりも「勉強の質」が成績に影響する
- 2014年11月27日第29回 小学生の4割は「上手な勉強の仕方がわからない」
- 2014年11月20日第28回 中学受験&進学率は地価とほぼ連動している
- 2014年11月13日第27回 東京都区部の中学受験&進学率は、やっぱり高かった
- 2014年11月6日第26回 人口の多い地域ほど学習塾にかける費用は増加
- 2014年10月30日第25回 習い事に通う小学生は8割。スポーツがダントツ1位
- 2014年10月23日第24回 学校選択制度の導入は15%程度。広がらない理由とは?
- 2014年10月16日第23回 学習塾で大事なのは指導法。合格実績を重視する保護者は3割
- 2014年10月9日第22回 早寝早起き、よく勉強-子どもたちはまじめになってる?
- 2014年10月2日第21回 留学率で見れば、日本人留学生は減っていない
- 2014年9月25日第20回 進学する学校の制服のセンスは、親も子も重視している
- 2014年9月18日第19回 高校も大学も今以上の入試方法の複雑化は望んでいない
- 2014年9月11日第18回 習い事や学習塾に通わせないと不安に思う親は半数以上
- 2014年9月4日第17回 学校の予習・復習をする小学生が年々増えている!
- 2014年8月28日第16回 全国学力テスト スマホを使う時間が短いほど学力が高い
- 2014年8月21日第15回 中学受験をする? しない? 保護者の検討期間が長期化
- 2014年8月14日第14回 今年から公立学校の土曜授業復活。8割の親たちが歓迎
- 2014年8月7日第13回 中学受験目的の通塾回数は週3回以上が6割
- 2014年7月31日第12回 激増する奨学金受給者。今や大学生の3人にひとりが利用
- 2014年7月24日第11回 公立の中高一貫校の増加で幅広い層に中学受験のチャンス
- 2014年7月17日第10回 国の有識者会議が塾の費用の算出基準などの情報公開を促す
- 2014年7月10日第9回 高校入学から大学卒業までの教育費は1000万円超!
- 2014年7月3日第8回 小中学校の教員も期待するICT。でも、その効果は限定的?
- 2014年6月26日第7回 算数嫌いは小学4年生から増える
- 2014年6月19日第6回 小学生の半数が学習塾に通っている
- 2014年6月12日第5回 子どもふたりの教育費は、世帯年収の40%
- 2014年6月5日第4回 私立中学に通う生徒数1位は東京都、2位は高知県
- 2014年5月29日第3回 高校までの総教育費。公立と私立の差は3倍以上!
- 2014年5月22日第2回 小中学生の学習塾の費用 みんなどれくらいかけている?
- 2014年5月15日第1回 塾の教育はパートやバイトに支えられている