育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.6
Q.公立中高一貫校志望です。早めに専門の塾に転塾すべきでしょうか?
息子には、公立中高一貫校を受験させるつもりでおります。
ただ、小学3年生の夏から現在4年生まで、日能研に通塾させているのですが、そこは、私立専門の日能研でユリウスがない教室なので、4年生中には中高一貫校受験対策の塾に転塾を検討中です。
息子は日能研ではg・wの下のクラスです。学校の成績は悪くありませんが、日能研のテストをみるととんでもなく悪く感じてしまいます。でも、テスト問題も難しいのでそんなには気にしていません。ただ、中高一貫校の適正検査は特殊なので、早いうちに対策を取りたいと思っています。何より基本が元となるのでしょうが。
息子は少し恥ずかしがりやなので、転塾すると、まず環境に慣れることが大変だと思います。今の日能研も嫌がって行ってるわけでもなく、行きたがってるわけでもありません。当たり前のこととして行っている感じです。
息子の性格を考えると5年生での転塾になると、塾での友だち作りが難しくなるような気がして、できるだけ早い方がよいと思うのですが、ユリウスの中高一貫の対策は6年生の後半からと日能研のスタッフの方に聞いたので、今のまま日能研に通わせるのか、のちのちの中高一貫対策のため、早めに転塾するほうが良いのか、アドバイスをいただきたいと思います。(baby9)
A.4年生までの勉強は公立も私立も同じ。受験は公立単願にするのかなど、焦らずに考えを整理してみてください
公立中高一貫校を目指して小3から通塾されているのですね。公立中高一貫校単願なら、5年生くらいから対策を始めるのが多いのですが、珍しいですね。そして公立中高一貫校志望でありながら、日能研に通うというのも世の中一般の感覚からすると珍しいですね。
日能研で公立中高一貫校の適性検査対策をすることの是非をここで語るつもりはありません。しかし以下の3点で、お母さまのお考えを整理してみてはいかがかと思います。
1点目は、公立中高一貫校だろうが私立中高一貫校だろうが、求められる力は根本的に同じであるということです。特に4年生くらいまでにやっておかなければいけないことはほとんど差がありません。ですから今、日能研でやっていることも決して無駄にはなりません。
2点目は、本当に最後まで公立中高一貫校単願で行くのかということです。公立中高一貫校を受検するチャンスは1度しかありません。最初は公立中高一貫校狙いで中学受験勉強をはじめても、結局私立も受けてみようということになるケースはよくあります。それであれば、何も最初から公立中高一貫校にターゲットを絞った塾に通う必要はないということです。
3点目に、公立中高一貫校対策に強い塾というのは、あります。でも、そういう塾への入塾は5年生からでも遅くないと聞きます。前述したように、4年生までにすべきことは公立対策だろうが私立対策だろうが変わりませんから。
というわけで、「公立中高一貫校を狙うなら今すぐ転塾」とは私は思いません。もう少し落ち着いて、いろいろな塾の話を聞いてみてはいかがでしょうか。転塾はまったく否定しませんが、焦りは禁物です。
ご相談の内容を拝見すると、お母さまの場合、中学受験事情について、まだちょっと情報不足のような気がします。拙著『間違いだらけの中学受験』や『進学塾という選択』をお読みいただければ、概要はおわかりになるのではないかと思います。