志望校目指して一心に勉強しても偏差値が届きません。どうサポートしたら?

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.26

Q.志望校目指して一心に勉強しても偏差値が届きません。どうサポートしたら?

6年になった一人っ子の娘ですが、4年のとき、女子校に行きたいと言い出し、大手の進学塾に通っています。仲のよい友達のお姉さまがその女子校(お嬢様学校として有名な学校です)に通っていて、妹であるお友達とうちの子は、そのお姉様に憧れています。そのお宅は、うちよりだいぶ裕福なご家庭で、お母さまは、妹さんと仲がいいうちの子にもとても親切にしてくださっています。「一生懸命に勉強して一緒に合格しよう」みたいな感じです。

ただ、ずっと娘の塾のテストの点を見ていて、その学校はちょっと無理ではないかと思います。偏差値で15以上差があります。最初はこんなに頑張っているのだからそのうち成績が上がるのではと思っていたのですが、5年の2学期ごろからピタッと止まってしまいました。塾の先生は、これくらいの差なら今からがんばればなんとかなる、とはげましてくださいます。でも、娘のその学校に行きたいという熱意に負けてのことではないかと思ってしまっています。

うちの子はとてもまじめです。さぼる、やる気がなくてと嘆いておられるお宅が多い中、親が何も言わなくても机に向かって毎日こつこつ勉強しています。正直、誰に似たんだろうと思うほど、小学生のうちからこれでいいんだろうかと思うほど机に向かっている時間が長いです。

本人の希望ですから、親としては最大限のサポートはしたいとは思います。ただ、本当にこのままでいいのかどうか、このまま偏差値があがらなくて受験してもし不合格になったら大変なことになるのではなどと思い始めると夜も眠れません。主人に相談しても、たかが中学受験、落ちたら公立にいけばいいと言うだけです。

だらだらと書いて申し訳ありませんが、中学受験自体はしていいのですが、目標を偏差値の高いその学校だけに絞らないで、もう少し余裕を持たせたいと思います。ただ、そう思っているのが私だけで、その気になっている娘に、どう話したらいいのかわからず、おおたさんにお伺いできればと思います。あんなに夢を抱いている娘の気持ちを損なわない言い方ってあるのでしょうか? 母親のくせにだらしなくて申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。(REIKO)

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A.「だめかもしれないから」ではなく、「せっかくだからいろいろな学校も」と視野を広げるアドバイスをしてみては?

娘さんすごいですね。自分から受験したいと言い出しただけでなく、自分から机に向かってコツコツ勉強ができるのですね。それだけでも才能だと思います。現時点での偏差値では、憧れの志望校に届いていないとのことですが、塾の先生が「なんとかなる」とおっしゃってくださっているのであれば、諦めることはないと思います。

もし毎日前向きにコツコツと勉強をされていながら、なかなか成績が伸びていないのであれば、勉強のやり方が間違っている可能性もあります。そのあたりは塾の先生とよくご相談されるとよろしいかと思います。

ただし、どんなに優秀な子がどんなに努力をしても、望み通りの結果にならないこともあるのが中学受験。お母さまがおっしゃるように、目標を憧れの学校だけに絞らず、いろいろな学校について知ることもいいのではないかと思います。憧れの学校を第一志望としながら、ほかの学校についても知ることは、決して矛盾しません。

「だめかもしれないから、他も・・・」という言い方ではなくて、「せっかくだからいろいろな学校についても調べてみよう。知らない学校がまだまだあるから、もっといい学校が見つかるかもよ」というように、視野を広げる意味で伝えてみたらいかがでしょうか。それも娘さんの可能性を広げるために親ができる、重要なサポートの一つだと思います。

「絶対にあの学校に行きたい!」と強い意志をもつことは中学受験に望む上で必須です。同時に、旦那様の言う通り「たかが中学受験」というのも真実です。たかが中学受験に一生懸命になれること自体が尊いのです。そのうえで、結果は結果。

どんな結果であれそれを受け入れる覚悟をもつことも、さらに尊いことだと思います。中学受験を、家族みんなが成長できる機会として、とらえてみてください。

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