育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.59
Q.中学受験を考え始めましたが、何から考えていいのか方向性を見失っています。
「中学受験するなら小4から準備(勉強)」という世の中で言われている時期に入り、息子の通塾を考えております。
ですが、全くノウハウがありません。
お恥ずかしながら、何から考えてどう向き合っていったらいいのか方向性を見失っている親です。
息子の中学受験を思い立ったのは、通うはずの市立中学が荒れに荒れた上に最近事件があり、勉強もままならない状態であることを知ったからです。
中学受験があると分かってから受験をしてもしなくても市立には行かれる、という安心感も手伝って、息子に受験させたいと考えるようになりました。
ですが、公立の中高一貫がいいのか? 私立がいいのか?
急に思い立ったせいもあり、全く知識がなく、先日入塾を考えている塾へ学力検査の試験を受けに行きました。
結果はかなり悪く「基礎もできてないじゃん・・・。」と。
夫婦共働きのため、今まできちんと宿題やテストの結果に目を通して一緒に勉強してこなかったことが悔やまれます。
それでも息子を説得し「中学受験しようよ」というと「頑張る」と言ってくれてはいます。
考えが甘いかもしれませんが、これからまだ頑張れば中学受験も夢ではないのでは?と思ってしまうのです。
公立中高一貫と、私立では受験対策が全く異なるため、通塾するにもどちらかに絞る必要があるかと思うのですが、公立中高一貫を目指すなら小5からでも大丈夫、と塾から言われました。
ただ、私立を目指すとなるとこれから通塾が必要かと思います。
息子のレベルに合った私立を目指して勉強しても良いと思う反面、やはり公立中高にも魅力を感じます。
受験経験をするだけでもと思うのですが、受験するからにはちゃんと受かるつもりで勉強して欲しいとも思います。
あまり考えがまとまりませんが、公立中高一貫と私立、どちらを目指していけばいいのでしょうか?
親はどのような心構えでいれば良いのでしょうか?
A.まずは何のために中学受験をするのか、 理由を真剣に考えましょう。
中学受験を始めるに当たって、何をしていいのかわからない。私立中高一貫校を目指すべきなのか、公立中高一貫校を目指すべきなのかも決まらない。
そんな状況ですね。
初めてのテストでの成績がよろしくなかったということは気にすることはないと思います。これから時間は十分にあります。
中学受験を思い立ったきっかけは、地元の公立中学が荒れているからということですよね。
とにかく地元の公立中学を避けることができればいいというのなら、私立中学をターゲットにしたほうがいいでしょう。
公立中高一貫校は1校しか受けることができず、しかもどこも高倍率で、対策したからといって合格できるかどうかはまったくわからないからです。
私立であればさまざまな学力レベルの学校を併願できます。しかも現在は、数字の上では中学入試もほぼ全入時代です。
私立中学の募集定員と受験者数がほぼ同じなのです。学校を選ばなければどこかには入れるという計算になります。
公立中高一貫校を目指すなら小5からでも大丈夫というのは、ちょっと語弊があります。
それは最低限の基礎学力を家庭で付けている前提での話です。
小5からでも間に合うことは間に合いますが、せっかく今から中学受験を意識したのであれば、塾には通わないにしても、家庭での学習習慣を身に付け、基礎学力を高めておくことは、今のうちからやっておいたほうがいいでしょう。
となると、結局、通えるのであれば塾に通ってしまったほうが、目的を達成しやすいということはあります。
…と、いろいろと観点はあるのですが、私立一貫校を目指すにしても、公立一貫校を目指すにしても、中途半端な気持ちではいい結果にはならないでしょう。
せっかく中学受験を志すのなら、焦らずに、まずは何のために中学受験をするのか、地元公立中学回避以外の理由も真剣に考えたほうがいいと思います。
拙著でいえば、
『中学受験という選択』(日本経済新聞出版社)、
『進路で迷ったら中高一貫校を選びなさい』(ダイヤモンド社)、
『親が後悔しない、子供に失敗させない 中学受験塾の選び方』
(ダイヤモンド社)
あたりをお読みになると、全体像がつかめると思います。