葛飾区の共栄学園中学高等学校(以下、共栄学園)では、英語のコミュニケーション能力を身につけるために、中学3年間で基礎力を徹底的に磨くとともに、伝えたいことをルールに則って自分の言葉で表現することに力を入れています。具体的にはどのような教育を進めているのでしょうか。英語科主任の中島大樹先生にお話をうかがいました。
110項目以上から構成される基礎項目
英語教育の特徴を教えてください。
基礎力をつけるためにどのような工夫をしているのでしょうか。
中島先生
まずは、中学3年間で身につけたい基礎力を英語科独自で約110項目に細分化しました。これは、どの教員がどの教科書で教えても生徒が同じように基礎力を身につけることができるように設定した基準でもあります。この項目を「CanDoリスト」として教員が共有し、授業に活かしています。
理解度を“見える化”する到達度テスト
生徒の理解度はどのようにして測っているのでしょうか。
中島先生
到達度テストを実施して各項目の理解度を測っています。中学3年間の中でも基礎力を磨くには特に中1の時期が大事なので、中1は年3回、中2・3は年1回実施しています。中1は70弱、中2・3は約25の項目があります。
定期テストとの違いはありますか。
中島先生
到達度テストは、項目別に分かれているので、生徒の弱点が分かりやすいという点がメリットだと思います。2度の追試を行うなどして100%できるようになるまで取りこぼしのないように指導しています。
到達度テストを実施してどのような成果が得られていますか。
中島先生
テストの情報はデータ化していますので、全体で苦手な項目については重点的に指導しています。生徒個人に対しても苦手な項目に関して夏期講習などで復習するなどしてサポートしています。
英語を話して楽しむK-sep
コミュニケーション能力を高めるために行っているプログラムはありますか。
中島先生
共栄学園では、中2生を対象に体験型の英語学習プログラム「K-sep」を実施しています。TGG(TokyoGlobal Gateway)に日帰りで行きます。TGGは、実際に海外へ行ったかのように思えるほど環境が整っており、生徒は日本語が通じない中で何とか英語でコミュニケーションを図る経験ができます。
実際に行っていかがでしょうか。
中島先生
行く前は、英語を話すことを不安に思っていた生徒も実際に体験すると「やってよかった」と笑顔で帰ってくることが多いですね。英語を話す環境が整っているので、生徒は物怖じせず積極的に会話ができるようです。また、ある程度基礎が固まったうえで体験するので、これまでの学習が活かされていることを実感できているのだと思います。
発音を意識させるレシテーションコンテスト
校内行事でアウトプットできる場はありますか。
中島先生
発音を意識して集中的にトレーニングできる機会を設けようと「レシテーションコンテスト」を実施しています。30年以上続く伝統行事で、夏休み期間中にあらかじめ録音しておいたネイティブの先生の発音を聞いて練習し、2学期の英会話の授業で一人ひとりの発音をチェックします。クラス予選を経て校内大会を実施し、中3生の優秀者2人は、近隣中学校からそれぞれ2人ずつ選出される代表者とコンテストに参加します。
1対1で学ぶオンライン英会話
今後、アウトプットに関連した取り組みを始める予定はありますか。
中島先生
現在、希望制で行っているオンライン英会話が、2022年度から中3生の「英会話」の授業で必修になります。週1回1コマ25分の英会話です。
希望制から授業に取り入れようとした狙いを教えてください。
中島先生
これまでの英会話の授業は、ネイティブ教員1人に対し、生徒30人で行っていました。ただ、教科書の文を一斉に読むことが多かったので、もっと発話量を増やしたいという思いがあり、中3生全員をオンライン英会話の対象にすることにしました。オンラインなら1対1で自分の言葉で伝えたいことを話せると思います。
これまで希望制で行っていたということですが、成果は感じられましたか。
中島先生
成績が決して良いほうではなかった生徒が、オンライン英会話をきっかけに積極的に学ぶようになり、レシテーションコンテストで優秀者に選ばれたときはうれしかったですね。成績だけでは測れない成果が得られたと実感しました。
今後の展望について教えてください。
中島先生
これまでの大学入試の英語は文法理解が求められましたが、今後は文法を理解したうえで、さらに制限時間内で自分の言葉を使って表現することも求められます。ルールに則って瞬時に発話したり、表現したりするためには、トレーニングが必要です。通常の授業と自宅学習で鍛えていけるよう引き続き取り組んでいきます。
学ばなければならないことが増えていくと思いますが、どのように対応していくのでしょうか。
中島先生
ICTを使って効率良く学んでいく必要があると思います。共栄学園では現在、一部の学年でタブレットを1人1台所有して学習活動に活かしていますが、来年度からは中学全学年に拡大します。また、電子黒板を積極的に使い、分かりやすく効率的に授業を進めています。効率良い授業に加え、英語到達度テストで基礎力を定着させ、K-sep・オンライン英会話・レシテーションコンテストで表現力を身につける。これから求められる力をつける環境は整っていると考えています。
最後にメッセージをお願いします。
中島先生
本校では、4技能の中で特に鍛えにくいスピーキングのスキルを、オンライン英会話で磨いていきます。生徒が伝えたいことを伝えられる機会を作り、コミュニケーション能力の土台となる基礎をここまで重要視して教育している学校はほかにないと自負しています。骨太な英語教育が共栄学園にはあるので、1から英語の基礎を固めていきましょう。
中島先生が作り、英語科の先生方が共有している「CanDoリスト」。どこが分からないのかが分からないと悩みがちな英語も、リストを基に作成した到達度テストで弱点を見つけて克服していけば、生徒の自信につながっていくはずです。生徒一人ひとりに力を尽くそうという先生たちの熱意とそれに応える生徒の関係性こそが共栄学園の魅力ではないでしょうか。
学校説明会児童・保護者対象
- 第3回2021年10月17日(日) 9:00~受付 10:00開始
模擬入試体験会児童対象・説明会保護者対象
※保護者の方は、別室にて説明会を行います。
- 第1回2021年11月23日(火・祝) 9:00~受付 10:00開始
- 第2回2021年12月19日(日) 9:00~受付 10:00開始
- 第3回2022年1月9日(日) 9:00~受付 10:00開始
企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:共栄学園中学高等学校
中島先生
英語によるコミュニケーション能力を高めるために基礎を固めながら、4技能をバランス良く学ぶのが特徴です。意思疎通をするためには、どの言語であってもルールを学んだうえで自分の言葉で表現したり、相手の言わんとしていることを理解したりすることが大切だと考えています。そのルールが英語の基礎力だと捉え、基礎をしっかりと固める教育を進めながらアウトプットできる環境も作っています。