私立高校入試の基礎知識

私立高校入試の基礎知識

私立高校入試は各校が独自の日程や選抜方法で実施しており、公立高校の入試とは異なる点が多くあります。合格するには、早めに情報収集と入試対策に取り掛かることが大切です。そこでまずは、知っておくと役立つ私立高校入試の 基礎知識から見ていきましょう。

私立入試でも内申は重要!

都立高校の一般入試では、内申点が合否の3割を占め、推薦入試ではさらにウエイトが大きくなります。一方、私立は当日の試験ができれば良いと考えるかもしれませんが、推薦入試や一般入試の優遇制度には「内申基準」があり、私立入試でも内申が重要であることは変わりません。
内申書(調査書)に記載されるのは、各教科の成績、出席日数、部活動の実績、委員会の活動状況などです。教科の成績は定期テストの点数だけでなく、授業態度や課題の提出状況など、学習に取り組む姿勢も評価の対象になります。

内申基準を満たせば合格の可能性が高まる

公立入試の内申の対象は主要5教科(国語・数学・英語・社会・理科)と実技4教科(音楽・技術・美術・保健体育)を合わせた9教科ですが、私立校では3教科(国語・数学・英語)または主要5教科の学校もあります。
また、私立の推薦入試や一般入試の併願優遇では、評定の合計点(内申基準)に加え「全教科に2以下がないこと」などの条件が設定されていることがあり、これを満たせば合格の可能性が高くなります。

英検、部活動で加点されることも

内申基準を満たさない場合でも、部活動や生徒会活動の実績、英検・漢検などの資格によって加点となる学校があります。挑戦してみたい学校があれば中学校の先生に相談してみましょう。
また、中学3年の成績のみが内申書に記載される場合でも、急に成績を上げることは難しいです。1、2年からの学習の積み重ねや、忘れ物、遅刻をしないといった日頃の振る舞いも大事になります。

入試制度の区分を知ろう!

私立入試には推薦入試と一般入試があり、それぞれ単願や併願があります。公立受験の有無や入試日程を確認し、受験のスケジュールを立てましょう。

推薦入試

教科の成績や部活動の実績が各学校の定める推薦基準に達していることが受験の条件です。内申書による審査以外に、面接、作文、適性検査、実技などを実施する学校もあります。「学校推薦」は中学校長の推薦状が必要ですが、「自己推薦」は自分で志望理由書を用意します。

一般入試

基本的に学力検査で合否を決定します。以前は3教科で実施する学校が大半でしたが、上位校を中心に5教科が増加傾向。
これに加え、内申書の提出や面接が必要な学校もあります。調査書などを必要とせず、学力検査の結果のみで合否が決まるのが「フリー受験」で、併願に制約はありません。

併願優遇とは?

併願優遇の「併願」は公立校、もしくはほかの私立校を受けて良いという意味です。
しかし、学校が設定している内申基準、または出願基準をクリアしていることが必須で、併願校の合格が得られなかった場合は必ず入学しなければなりません。また、内申基準を満たしていても、合格が「確約」されないこともあるので注意が必要です。

私立高校入試の疑問Q&A

Q.「事前相談」と「個別相談」は違う?
事前相談は東京・神奈川で12月中旬に実施される、中学校と私立高校の先生同士の相談のことで、合格の見通しが話し合われます。個別相談では、受験生や保護者が直接私立高校の先生と話をします。
Q. 推薦入試で合格するには?
内申点などで「推薦基準」をクリアしていれば、面接や作文だけで合格できる学校もあれば、適性検査を行うこともあります。ほかにも部活動、課外活動の実績など学力以外の面を評価する試験もあります。
Q. 推薦入試で行う適性検査とは?
一般入試の学力検査に比べ試験時間が短めですが、学校によって科目数や問題の傾向が異なります。推薦入試の問題を公開していない学校もあるので、説明会などで質問するようにしましょう。
Q. 単願受験は他校の受験はできない?
第一志望校として受験し合格したら必ず入学するのであれば、第二志望校である他の私立や公立を受験しても問題はありません。ただし、出願条件に他校の受験が制限されている場合があります。
Q. 併願校の入学手続きはいつまでにすればよい?
学校が公表している募集要項に、入学手続きの猶予期間の有無が書かれています。私立の一般入試では、公立の合格発表の翌日まで手続きの延期を認める学校が多いですが、個別に確認しましょう。

東京/東京・神奈川の生徒は「A推薦」を受験

東京都の推薦入試には2種類あり、 A推薦は合格すれば必ずその高校に入学することが条件の「単願推薦」です。私立を第一志 望とする場合、まずはこの入試で受験しましょう。 B推薦は他校を第一志望とした「併願推薦」です。内申基準は単願に比べ高く設 定されているのが一般的。東京と神奈川在住の中学生は受験することができません。 一般入試は基本的に、学力検査の結果で合否を判定します。ただし、東京の私立高校の場合は国・英・数の3教科の学力検査に加え、面接が行われることもあります。中には2教科と面接、作文のみで判定することもありますので、募集要項で詳細を確認するようにしましょう。また、第一志望の公立高校が不合格になった場合、必ず入学することを条件に併願優遇が利用できる学校もあります。

神奈川/書類選考入試では試験日を気にせず受験が可能

学力検査や面接を行わず、 内申点が記載された調査書や出願時に提出される書類のみで合否を決める書類選考入試が特徴的で、県内の半分以上の高校が導入しています。試験日を気にせずに受験できるので、受験生の選択肢が広がります。「併願確約」も神奈川県ならではの制度で、公立を第一志望とする受験生が不合格だったときに必ず入学することを条件に、合格を確約する制度です。出願には各高校が定める成績基準をクリアすることが必要で、基準は推薦入試や専願入試よりも高くなることが多いようです。 神奈川県では2、3年生の2年間の内申が対象となるケースが多いので、早くから受験を意識して学習に取り組み、情報を集めておきましょう。内申点は基本的に5段階評価で、評価対象の教科は学校により異なります。

埼玉/志望校の説明会や相談会への参加が必須

例年多くの学校が1月下旬に入試を実施しており、2月以降は募集枠が少なくなります。推薦入試では単願・併願それぞれの入試で「学校推薦」だけでなく、校長の推薦が不要の「自己推薦」を行っている学校も多いです。内申とは別の成績基準があったり、学校推薦の基準を満たさない場合でも自己推薦で出願ができたりします。
東京や神奈川で行われているような「事前相談」はなく、受験生と保護者が各学校で開催される「個別相談」に参加します。志望する学校が設定している内申の目安を満たしている場合は、通知表やテストの成績を持参して入学の見込みを質問しましょう。埼玉 県では推薦入試でも国語・英語・数学の筆記試験を行う学校がほとんどです。内申だけでなく教科試験の結果も合否を左右します。

千葉/前期が主体で後期を行わない学校も増加

これまで1月中に前期入試、2月中旬に後期入試を実施していましたが、公立高校の入試が2月下旬の試験に一本化されたこともあり、募集定員の大半を前期入試に割り当てる学校が増えています。後期入試は倍率が高く難易度がアップするので、第一志望校は1月中に合格することを目指しましょう。推薦入試では、学校推薦であっても学力検査を実施する学校が増えています。自己推薦や一般入試では、3教科または5教科で学力検査を実施しており、内申基準を満たしていても入試当日の出来によっては不合格となる可能性もあります。ほかにも「スポーツ・部活動推薦」など各学校が多様な推薦入試を設けています。学校説明会や入試フェアなどに足を運び、自分に合った入試方法 で受験ができるように対策を立てましょう。

私立高校選びのQ&A

魅力的な私立高校はたくさんあるけれど、実際に学校を 選ぶときにはどんなことに着目すれば良いか分からない… という方のために、よくある疑問にお答えしていきます。
Q. 伝統校と新設校はどちらが良い?
伝統校、新設校それぞれに良さがあります。伝統校には揺る ぎない教育観と歴史の中で培った確かな教育実績があり、 新設校では時代に即したカリキュラムが準備されています。
Q. 教育内容でチェックすべきことは?
STEAM教育、グローバル教育、探究学習など独自のカリキュラム、力を入れている分野や、補講、習熟度別授業への取り組みなどのサポート体制に注目すると学校の特徴が見えてきます。
Q. 共学と男女別学はどう選ぶ?
自分らしく過ごせる環境を選びましょう。また、学校の成り立ちや教育方針とも関係が深いので、なぜ共学なのか別学なのかという学校の思いを知ると、共感できることがあるかもしれません。
Q. 偏差値はどう考える?
学校の特徴を示す一つの指標ではありますが、これにとらわれて学校の魅力を見過ごしてしまわないようにしましょう。入学後にどんな学びが得られるのかが大切です。
Q. どうやって情報収集する?
ほとんどの学校が学校説明会、学校見学会を実施し、エリアごとの合同イベントにも参加しています。早めの情報収集が鍵となる高校受験。1、2年生のうちから参加しても構いません。
Q. 同じ宗教でなくても良い?
学校は宗教に関わらず、広く生徒を募集しています。キリスト教の礼拝、仏教の行事が活動に組み込まれている学校もありますが、宗教を通じた人間教育を目的としている学校がほとんどです。
Q. 学校説明会参加のポイントは?
受験校が絞れていないときは学校が合同で開くイベントに参加し、さらに詳しく知りたいときはそれぞれの学校に足を伸ばしましょう。先生や先輩と話をすると学校の普段の姿がよく分かります。
Q. 学科・コースはどう選ぶ?
普通科以外にも芸術系、看護系、工業系などさまざまな専門学科があります。普通科の中に国際コース、東大・京大コースなどを置いている学校も。学びたい内容や目指す進学先を考慮して選択しましょう。
Q. 附属校にも違いはある?
大半の生徒が系列大学へ推薦で進学できる純附属校、他大学への進学も選べる半附属校、他大学へ進学する生徒の方が多い半進学校などがあります。系列大学への進学の割合、設置学部などは要確認です。