城北中学校・高等学校城北中学校・高等学校 × 関西大倉中学校・高等学校関西大倉中学校・高等学校

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東西の進学校による対談が実現 保護者に知ってもらいたい私学の魅力

inter-edu’s eye

教育業界の今を知る指標のひとつとして、東大・京大・医学部医学科への進学実績が注目され続けています。日本国内最難関と呼ばれるそれらの大学に多くの卒業生を送り出してきた関東・関西の進学校による対談が実現しました。一言では表せない私学教育の奥深さについて、指導現場の視点からご紹介します。

“できる生徒”の育て方には理由がある

お話を聞かせていただいたのは、城北中学校・高等学校(以下、城北)の清水団先生と、関西大倉中学校・高等学校(以下、関西大倉)の松村健司先生です。互いに数学教諭であることから意気投合し、現在の教育環境を俯瞰した対談に花が咲きました。

お話しいただいた先生プロフィール

清水団 先生

清水団 先生

城北で教頭を務める清水団先生は、全校を主導して早期から先進的なICT環境導入に尽力してきました。

松村健司 先生

松村健司 先生

関西大倉で入試広報部部長を務める松村健司先生は、学校の魅力を広めるべく全国で精力的な広報活動を行っています。

1 両校の教育理念と意外な共通点

清水先生:

城北という名の付いた学校は全国に多々ありますが、中高一貫の男子校といえば本校が唯一の存在です。現在の都立戸山高等学校で校長を務めた創立者の深井鑑一郎先生は「社会に有為なる人材の育成」に力を注ぎ、教育目標に「人間形成と大学進学」を掲げてきました。生徒数が多いこともあり、校舎スペースに余裕ができるように造られているため、生徒たちが部活動に集中できる環境が整っています。

松村先生:

以前から城北と多くの共通点があると感じており、今回の対談を楽しみにしていました。関西大倉は共学校ですが、前身の関西商工学校が大倉財閥(大倉喜八郎)の大阪大倉商業学校と合併した当時から近年まで男子校として続いてきました。教育目標として「知・徳・体」のバランスが取れた総合的な人格を備えた生徒を育てています。大規模な学校という意味合いでは、クラス数が40以上ある点は城北と同じですね。

清水先生:

学校説明会では運動部について質問されることが多いのですが、実際には理科系の文化部もとても充実しているので、どんな生徒でも自身の興味・関心で選んだ部活動に打ち込みながら勉強と両立できる学校文化があることをお伝えしています。

熱心に活動している城北サッカー部
熱心に活動している城北サッカー部
展示物で受験生の心を鷲掴みにする鉄道研究部
展示物で受験生の心を鷲掴みにする鉄道研究部

松村先生:

部活動に消極的な進学校もありますが、関西大倉は向上心を高めつつ友情を育める人間教育の一環として、部活動への参加を推奨しています。その結果、生徒たちが全国レベルで毎年活躍するようになり、今となっては「関倉は文武両道」と言われるまでになったことが素直に嬉しいです。

大迫力の踊りで全国に名を馳せる関西大倉のダンス部
大迫力の踊りで全国に名を馳せる関西大倉のダンス部
2013年の創立当時から高い評価を得てきた和太鼓部
2013年の創立当時から高い評価を得てきた和太鼓部

清水先生:

城北の雰囲気を一言で表すなら、自由で伸びやかな男子校というもので、私たち教員もそうした環境要因を十分に理解したうえで指導を行ってきました。城北らしさの一例として校則を挙げると、髪の長さに制限はありません。だからといって極端な髪型にする生徒がいないのは、学校という社会の一員として帰属意識を持っているからだと考えています。

松村先生:

関西大倉でも自由な空気感は男子校時代からありましたが、共学化したタイミングから一層風通しが良くなったと感じています。キャンパスが豊かな自然に囲まれており、通学時に鳥のさえずりを聞いたり、四季の草花に癒されたりするなど、都会では体験できない開放的な環境がおおらかな校風に影響しています。

2 受験校選びの参考にしたい
私学独自のカリキュラム

清水先生:

総合学習の時間では「情報」に注力しており、専門的な知識を備えた教員の指導を受けた集大成として、中学修了式で自由研究の発表会を行っています。研究テーマは生徒が自ら考え決定します。驚かされるほど多様性に富んだ内容を取り上げており、デジタルデバイスの扱いもままならなかった新入生が独創力を発揮するといった成長の成果が見られました。

ペアワークで意見を交わし合う情報の授業
ペアワークで意見を交わし合う情報の授業

松村先生:

校舎をリニューアルした際にICT環境を改善し、タブレットを使ったアクティブラーニングが本格始動しました。中学1・2年の国語の授業は、新しい図書館で行っています。授業例として、「読書家」と「作家」の時間を設けて読み書き両方の能力を伸ばすという新しい知的学習が始まっています。

知の基地として生まれ変わった図書館
知の基地として生まれ変わった図書館

清水先生:

城北では中1〜高1の各学年に「イングリッシュ・シャワー」という国内留学プログラムを用意しました。参加希望者が英語だけを使う3日間の学校生活を過ごし、最終日は少人数でプレゼンテーションを行うという内容です。オーストラリア海外語学研修や3か月ターム留学にも多数の参加者がおり、国際交流の経験が英語学習のモチベーションに繋がっています。いずれの取り組みも生徒自身が考えて行動することが学習活動の最終目標としています。

ネイティブ講師と少人数のグループで3日間を過ごすイングリッシュシャワー
ネイティブ講師と少人数のグループで3日間を過ごすイングリッシュシャワー

松村先生:

関西大倉では国際的な価値観を醸成する教材を採用しました。その結果として生徒の積極性が高まり、年々英語の学力が向上しています。また、希望者で海外とのオンラインディスカッション授業をきっかけに、英語が母国語ではない海外高校生との交流も行っており、海外現地に訪れる交流活動が始まりました。今後はカリフォルニアの名門大学UCバークレーへの短期留学を計画しており、生徒の可能性が大きく広がります。

タブレットを存分に活用する国際教育の授業
タブレットを存分に活用する国際教育の授業

在校生に聞いた印象に残っている学習内容

城北中学3年生 Yくん

会社経営をゲーム感覚で学べる「スプリングスクール2024」では、事業者として経営する楽しさを実感できて、将来の夢にしようという気持ちが強まりました。来校した東大生から研究内容を直接聞ける「情報for all by all」では、初めて大学生と直接コミュニケーションを取る体験がとても新鮮でした。

関西大倉中学3年生 Mさん

フロリダやメキシコなど外国の生徒と一緒に授業を受ける機会があり、私たちが日本文化を伝えつつ相手の文化を尊重するといった貴重な体験ができました。バディとして一緒に授業を受けたりする中で、言語以外でも意思疎通を取ることの難しさを実感しました。

3 進学校として生徒を支える指導体制

清水先生:

城北では医学部や東大に限らず、あらゆる進路を実現してもらうために柔軟な対応を心がけています。自習室の用意や学校開放時間の延長をしたほか、個別指導に近い形で特別講座を開講し、さらに、多くの夏期・冬期講座も設定し、個々が成長できるような環境を準備しました。もちろん気持ちだけで合格を勝ち取ることはできませんから、医学部専門予備校によるセミナーや高大連携を結んでいる順天堂大学での実習体験などを実施しています。

普段の学校生活から身につける自律的な学習習慣
普段の学校生活から身につける自律的な学習習慣

松村先生:

大学進学後の学びに触れてしっかりとした目標を持つことが進路実現に大きく影響します。大学見学や説明会に参加するだけでは十分とは言えず、国公立大の教授に来校していただき、講義に参加するという取り組みを導入しました。進学専門の職員を配置して進学フォローを提供していますが、合格が受験勉強の目的ではありません。将来のために主体的な考えを持って進学先を選んでもらいたいと願っています。

学習定着度を計る目的で毎日小テストを実施
学習定着度を計る目的で毎日小テストを実施

清水先生:

最難関大学への合格は生徒が進んで努力した結果だと思います。私たち教員は、生徒一人ひとりに対してどんな道を目指しているのかを親身になって聞き、個々に合わせてサポートするようにしています。とりわけ近年は現役志向が強まり、確実に受かる大学しか受験しない傾向がありますから、生徒と教員のコミュニケーションがますます重要になってきました。

松村先生:

確かに、指定校推薦を狙って上位校をチャレンジしないケースが増えたように思います。私たちは実績としての合格数を求めているわけではありません。そして、進学先を押し付けるわけでもありません。「学校が必要とする実績数を背負わせない」という教育現場の気持ちが生徒にも伝わり、信頼関係が築けているところもあります。

4 保護者に知ってもらいたい
両校の本当の魅力

清水先生:

保護者や受験生からは、男子校の城北を「貴重な6年間を過ごす場所」として選んでいただいています。23区内の学校では珍しく十分な広さのキャンパスを持っており、人工芝のグラウンドや複数の理科実験室など、充実した設備・施設を生徒たちに還元しています。また主体性も重視しており、彼ら自身の企画で2回目となる文化部フェスタを開催しました。ぜひとも学校説明会に足を運んでいただき、私学の良さ、城北の良さを知ってもらいたいと思います。

城北の新たな顔になった人工芝のグラウンド
城北の新たな顔になった人工芝のグラウンド

松村先生:

関西大倉は実業界で活躍された方々によって創立された、実学志向の歴史ある学校です。恵まれた自然環境と新世代の学び方に対応した施設を活用し、世界に向けて情報発信をしています。進学校の良いところは、自律的に勉強できる生徒が多いという点です。周囲から良い刺激を受けながら成長できる6年間を想像してみてください。そこでは一生付き合える友だちとの出会いがあるでしょう。保護者の皆さまも学校説明会に参加して、わが子がこれから通うことになる学校を自分の目で確かめてみてください。

関西大倉の規模の大きさが一目で分かるキャンパスプラザ
関西大倉の規模の大きさが一目で分かるキャンパスプラザ

編集後記

進学校でありながら合格実績を目的としない、生徒第一主義を掲げる両校の熱い思いをお伝えしました。中学受験への期待が高まり続ける今、インターエデュは城北と関西大倉の最新情報を発信し続けていきます。両校が見せる今後の躍進にご注目ください。