京華中学・高等学校/獨協中学校・高等学校/日本大学豊山高等学校・中学校
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日本国内だけにとどまらず、世界全体の情勢が目まぐるしく変化し続ける現代社会。その急激な潮流に立ち向かうための能力や姿勢を養うことができる私学への期待感が、近年ピークを迎えつつあるように見えます。実際に私学を卒業した社会人、なかでも独特な存在として語られることが多い「男子校」OBによる対談を通して、私学・男女別学校ならではの有為性についてご紹介します。
対談で語っていただいたのは、京華中学・高等学校OBの坂さん、獨協中学校・高等学校OBの相場さん、日本大学豊山高等学校・中学校OBの水野さん。いずれも母校を卒業して約10年、30歳前後の社会人の皆さんです。
中高一貫でしかも男子校と言えば、誰しもが部活動や委員会活動に熱中した青春時代を過ごしているイメージを持つことでしょう。実際の男子校生活が一般的なイメージ通りなのか、OBの皆さんに語り合っていただきました。
何事にも熱中して取り組んだ日々
坂さん
今は営業職として都内全域を走り回っていますが、中高時代は陸上部に所属して週6日間の練習にフルコミット(全力対応)した毎日を過ごしていました。ブロック予選会を勝ち上がって東京都大会に出場できたのは、少しずつ達成できる目標を設定して着実にこなしてきたからだと考えています。ちょっとした成功体験の積み重ねを大切する習慣は、営業職に就いた今でも大切にしています。
相場さん
部活動の思い出を挙げるなら、私が所属したアーチェリー部は当時まだ競技人口が少なくて、大規模な大会への出場を狙っていました。その過程では小学生時代に意識していなかった先輩・後輩といった人間関係を学べました。学校行事を思い返せば、沖縄修学旅行に参加したのが深く印象に残っています。30代を過ぎれば同年代の仲間と何日も寝起きを共にする機会はありませんから、貴重な思い出となって心に刻まれています。
水野さん
僕の場合は生徒会会長と書道部の活動を両立していました。チャレンジしてみたいと思ったことを後押ししてくれる先生方のおかげで、失敗を恐れない鋼の精神に鍛えられました。豊山祭(文化祭)を成功させた達成感を味わいましたし、高校卒業式は卒業生代表として答辞を述べさせてもらい、学校生活に頭から浸かっていました。なかでも、体育祭は豊山女子(日大付属で唯一の女子校)の校舎に隣接するグラウンドで、男子校生らしく楽しみましたね。
男子校に持たれがちな先入観は心配ご無用
坂さん
男子校には恋愛観の話が付き物ですが、本人たちは「もてたい」という意識自体がないので、そうなると部活動と勉強に集中するのみです。勉強に苦手意識がありましたが、学力を底上げしてくれる先生方の伴走がとてもありがたかったです。これは私学の良さとして保護者の皆さんに知ってもらいたいです!中高生の承認欲求をくすぐるような競わせ方があって、いつの間にか勉強面で自信を持てるようになっていました。
相場さん
学校生活の大部分は授業時間のはずなんですが、獨協中高の思い出は休み時間や放課後のことばかりです。男子同士が当時興味のあった些細な事柄を熱く語り合いました。もしも久しぶりにみんなと会えたとしても同じ感覚で盛り上がる自信はあります。大学受験モードに入って勉強を教え合ったことも、互いに協力して高め合おうという気持ちが絆に変わっていきました。
水野さん
男子校生は出会いがないと思われがちですが、実を言えば、妻との出会いは母校に通っていたおかげです。付属校全体の行事で知り合い、結婚に至りました。人生は何が起こるか分からないのが面白いじゃないでしょうか。元は恥ずかしがり屋だった性格も、男子校での生活を通して社交的な性格に変化していったと思っています。
坂さん
まったくその通りですね。みんなが自然体でありのままの気持ちをさらけ出して過ごしていました。男子校の良さは、自分を大きく見せたり格好つけたりしないところかもしれません。
相場さん
そう言われたら確かに、中学受験時に「男女別学」といった要素で受験校を気にする男子小学生はいないんじゃないでしょうか。むしろ保護者の意向が大きいでしょうね。
水野さん
男子校は同性に認められる存在になりたいという欲求の方が大きくなるので、大きな行事では目立ってやろうという気持ちが人一倍強い生徒が多かったです。周囲の期待や家族の応援も後押しして、新しい自分らしさを発見できたのかもしれません。
入学当初に感じた驚きと発見
坂さん
楽しい学校生活を過ごしたい気持ちで京華中高に入学しましたが、環境が異なる者同士が集まる環境になったことで、同級生から学ぶ要素がたくさんありました。いろんな個性を持った仲間に囲まれて過ごした経験が社会人になった今でも活かされていると強く感じます。
相場さん
中学生にとって歳が離れた高校生の存在が、精神面の成長には大きな影響があったと思います。会話の目線は違っても、同性として考えたり話したりする内容の共通点から、コミュニケーションの方法を学べました。先生方からもその点で6年間しっかりお世話になりましたし、中高一貫校という環境には間違いなくメリットがあります。
水野さん
日大豊山に入学したての頃は、生活マナーや部活動でお手本となる凛とした高校生に威厳を感じていました。3年後には同じような存在になりたいといった憧れを持ちながら、少しでも近づけるように目標にしていました。
社会人として活躍する3名にとって、人格形成や対人能力で大きな影響を受けたという男子校時代。卒業して社会に出た大人だからこそ見えてくる母校の良さや他校との違いがあるはずです。この場でしか聞けない本音の数々を聞かせていただきました。
社会人の視点から見た母校の魅力
坂さん
仕事をしながら実感するのは、京華中高は「面倒見の良さ」が抜群だったということです。社会人になったら、そんなに優しく諭してくれるようなことはありませんから、母校のありがたさと言うか、先生方が見せてくれた「教育のプロフェッショナル」としての仕事ぶりをはっきり思い出せます。
相場さん
まさにその通りで、私学だからこそ手厚く面倒を見てくれた点にとても共感できます。例えば、大学受験期の国語や英語の作文問題は客観的な視点から添削してもらう必要があるのですが、いつも多忙な先生が生徒一人ひとりに添削の時間を割いてくださるのは簡単なことではないと思います。
水野さん
先生方や仲間と過ごした学校生活があまりにも充実しすぎて、今では日大関連の仕事に就いたほど愛校心があります。6年間が人生や仕事の指針になっているくらいですから、共学校や公立校に通っていたら、これほど強い気持ちは持てなかったかもしれません。
男子校に通って良かったと思うこと
坂さん
愛校心については同じ気持ちですね。毎日が楽しかったですし、人生の勉強になりました。また、社会人を経験した先生の授業からは同年代から得られない気づきをいただきました。受験生や保護者の皆さんには、男子校は意外なほど多様性にあふれていると知ってほしいです。
相場さん
唐突な例えになりますが、女子大はあっても男子大って無いですよね。そう考えれば、男子校に通学するのはとても貴重な経験なのかもしれません。現代でも男子校が評価されているのには理由があるはずで、それを考えてみれば、幅広い受験校選びができるのではないでしょうか。
水野さん
この対談に参加している理由にもなりますが、日大豊山には自分を受け入れてくれる場所、まるで「ふるさと」のような認識を持っています。何よりもそれが私の誇りでもあります。受験生本人の個性を発揮できる学校に出会ってほしいです。