中学受験ファミリーに伝えたい大切なメッセージ
inter-edu’s eye
「入試当日、期待と不安でいっぱいの受験生とその保護者が共に、護国寺駅の改札を通り抜けて日本大学豊山高等学校・中学校(以下、日大豊山)の校門にたどり着きます。門の外に駆けつけてくれた塾講師に見送られ、親子は校内に足を踏み入れます。保護者が付き添えるのは校舎の中程まで。そこで保護者は、試験会場へと独り立ちの第一歩を踏み出す息子を見送るのです」
これは日大豊山の先生が何度も目にしてきた入試当日の風景です。受験生の保護者の皆さんは、入試本番のシミュレーションをしたことがありますか。試験当日に校門で我が子と別れるのか、校内に待合室が設けられるのか、事前準備に何が必要か、そうした情報を持っているだけで、当日の不安がほんの少し軽減します。受験対策は勉強だけとは限りません。そこで連載最終回では、中学受験に挑戦する家庭へのアドバイスを日大豊山の先生方からうかがいました。
真利久ファルハン先生インタビュー
高校1年生のクラス担任でもある広報部の真利久先生が、受験に必要な心構えや挑戦することの意義について語ってくださいました。
受験は人生で乗り越える壁の1つ
誰もが人生の中で、目標とした壁を乗り越える体験が必要になります。中学受験はこの壁の1つで、我が子がそれを乗り越えるきっかけをあたえるのは親の役目です。入学後、たとえ我が子が「自分で学校を選んだ」と言ったとしても、実際には親が彼の背中をそっと押していたのです。しかし、きっかけは親が提示していても、受験に挑戦するのは子ども自身ですから、親の希望に沿うために勉強させるのではないときちんと伝えてください。自分で選択した環境でうまくいけば、子どもの自己肯定感につながります。
将来を考えた学校選びを
学校を選ぶ際には、現地に足を運び、ぜひ「こんな子に育ってほしい」と思える生徒がいるかどうかをチェックするといいですね。入試当日、本校では在校生が受験生の誘導を手伝います。彼らは受験生をトイレに連れていってあげたり、緊張している受験生をリラックスさせようと声掛けをしたりと、男の先輩としての使命感に燃え、ときに優しさを見せてくれます。公開行事では、こうした生徒の素の姿を見ることができます。
また、学校選びでは10年後・20年後を見据えて、我が子がどんな大人になってほしいのかを一緒に考えてあげてください。たとえば本校は、さまざまな学部を有する総合大学の付属校として、将来の選択肢が豊富にあります。また、生徒数が多いので、多様な生徒の中から気の合う友達を見つけることがきっとできるでしょう。異性がいないので自分を飾ることなく、仲間と一緒に好きな趣味やスポーツに一途になれます。そうして出来た強い結びつきは社会に出ても絆として残り、同級生に医者がいれば弁護士やサラリーマンもいるという、横のつながりを持った男性に成長できるのです。
受験そのものについて夫婦で話し合う機会も大切です。親は誰しも、我が子により良い教育環境を与えたいと願うもの。現在は国や自治体、大学などの助成金があるので、いろいろなご家庭が助成金を活用して子どもを私学に通わせています。
本校では、勉強や部活動に打ち込み、努力を惜しまない生徒にこそ奨学金を利用する価値があるという考えから、あえて特待生入試は設けず、入学後の人間性を見て奨学金制度の利用機会を与えています。
入学後に伸びる生徒の特徴
早い段階から「この学校に行きたい」という想いを持つことは大切です。学校に対して熱い想いを持った生徒のほうが、入学後に大きく伸びていく様子を大勢見てきました。
本校の入試には、2020年1月31日(金)までに複数回出願し受験した場合、合格判定の際に考慮する優遇措置があります。もしも1・2回目が残念な結果になっても諦めないでほしいですね。そんな願いがあって、後半の募集人員を増やしたんですよ。みんなを教員と在校生一同が待っているので頑張ってください!
上沢花子先生インタビュー
広報部の上沢花子先生が、普段から心がけておきたいことや、受験勉強中の我が子への声掛けについて語ってくださいました。
受験生に伝えてはいけないメッセージ
大学付属校の中学受験を考えるとき、"入学後は大学へのレールが敷かれている"と考えるのは間違いです。ですから、受験生に「合格したら大学に行けるから」「いま頑張れば高校受験がなくなって楽になるから」と励ましてはいけません。合格はゴールではなく、入学してからも勉強しなければいけないし、自分を高める覚悟と努力が必要なことには変わりありません。常に目標を持って挑戦することで、家族や仲間と一緒に、次の壁を乗り越えるための自信と力をつけることができるのです。
日本大学の学部を確認する ≫親子関係を見つめ直すきっかけ
家族一体で受験に立ち向かうことで、子どもは親がどんな思いでいるかを知ることができ、親子の絆が深まります。前向きな言葉ならどんな伝え方でも通じますから、我が子が頑張っていることを認め、褒めて励ましてあげてください。自分の居場所はここにあると感じられると、子どもは安心し、全力で挑戦することができるものです。
生活習慣と情報収集の大切さ
入試当日は忘れ物をしないようにするために、普段からお子さん自身の責任で支度をする習慣をつけさせましょう。先回りして、子どもの面倒を見すぎてはいませんか。受験に挑戦することは、生活面での自立・成長にもつながります。
当然のことですが、試験会場には時間にゆとりをもって向かってください。受験日が近づいたら学校サイトをチェックするといいですよ。本校では、交通機関の遅延や災害が発生した場合の連絡事項も学校サイトでお伝えしています。
編集者から見たポイント
日大豊山の入試当日、校内の控室にいる保護者は、何も手につかないようすで試験が終わるのを待っているそうです。入試での合格が最終ゴールでないように、入学後も我が子への心配は尽きません。真利久先生や上沢先生が、学校で生徒がいきいきと活躍している様子を保護者に伝えると「家ではあまり話してくれないから」と、保護者の方はとてもよろこんで安心してくださるのだそう。生徒はもちろん、保護者の気持ちも理解し、家庭にも寄り添ってくれる「男子教育のプロ」としての先生たちが揃っている学校が日大豊山です。
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