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inter-edu’s eye
世田谷区の経堂を学びの場としている恵泉女学園中学・高等学校(以下、恵泉)と鷗友学園女子中学高等学校(以下、鷗友)。鷗友の初代理事長である石川志づは恵泉で英語の教師をしていたこともあり、恵泉と鷗友は教育の在り方や、女子教育、園芸教育にかける想いなど、共通点が多くあります。今回はそんな両校の学びについて校長の対談と若手の先生の対談でご紹介します。
まずは、女子教育に対する想いについて恵泉校長の加藤英明先生と鷗友校長の大井正智先生に語っていただきました。
インターエデュ(以下、エデュ):まずは、どのように教育と携わってきたのか、その想いを教えてください。
加藤先生
若い人に聖書の信仰を持ってもらいたいと思い、サラリーマンから教諭になりました。自己肯定感が少ない現代の子どもたちに、これから起こる困難や試練に立ち向かう力をつけてほしいと日々思っています。
エデュ:貴校を一言で表すとどんな学校ですか?
加藤先生
恵泉は制服が無く自由服です。これには「あなたはあなたであってよい」というメッセージが込められています。「神様から与えられている、一つひとつの賜物を十分に活かしてもらいたい」と考えている学校です。
大井先生
鷗友は元気な学校です。気持ちが元気で、子どもたちが「ここにいて良いんだ」という思いを持って生活している学校だと感じています。
女子校離れと言われている昨今ですが、恵泉さんも鷗友も同じ女子校ということで、女子教育に関して使命を持っていますし、協力して女子校をどんどん元気付けていきたいと思っています。
加藤先生
そうですね。創立者である河井道は、女性が世界の平和をつくると考え、1929年に恵泉女学園を創立しました。だから女子教育は本校では欠かすことができません。
大井先生
鷗友学園は1935年の創立です。東京府立第一高等女学校(現:東京都立白鷗高等学校)の同窓会・鷗友会によって、母校創立50周年記念事業の一環として設立されました。女性だけの同窓生で作り上げた学校なんです。女子教育は自分の持っている力を発見する機会を作ってくれます。だから大切にしたいですね。
加藤先生
命と密接なつながりがあり、命の尊さを知っているというところが女性の一番の強みですね。
大井先生
共学では発見できない部分が女子校にはありますね。
エデュ:女子教育を進める中で大切にしていることは何ですか?
大井先生
自己肯定感がとても大切だと考えています。失敗を恐れず、自分で選択して、できる喜びを感じてもらう環境を作っています。
加藤先生
可能性を否定しないことが大事ですね。誰にとっても居場所があることを大事にしています。その生徒の持っている特質や特長を、十分に発揮できるような学びのアドバイスをしています。
エデュ:お互いの学校の印象について教えてください。
加藤先生
鷗友さんは学校改革をして成果を出している学校だと思います。歴史で見ればわが校は姉に当たるのですが、賢い妹にいろいろ教えていただきたいですね。
大井先生
女子校を語るうえで恵泉さんは外せない存在です。以前、合同で観劇会を行ったことはあるのですが、単発だったので今後は何か一緒にできるといいなと思います。
恵泉女学園 中学・高等学校
英語教諭 加藤 優衣 先生
鷗友学園女子中学高等学校
国語教諭 荒井 世里奈 先生
続いては若手教諭の対談が実現。恵泉は英語の加藤先生、鷗友は国語の荒井先生に園芸教育やグローバル教育など両校の特色について聞きました。
エデュ:日ごろからどんなことを心掛けて教壇に立っていますか。
荒井先生
平和を作る人になってほしいと思って教壇に立っています。生徒の可能性を引き出し自己肯定感を高めるように努めています。
加藤(優)先生
生徒が持っている力や可能性を信じて待つことですね。その生徒にとって最善が何なのかを常に考えています。
エデュ:両校に共通する園芸教育について教えてください。
荒井先生
授業で栽培された野菜は調理実習で使われることもあります。また、中学1年生では年間で約60種類の花の名前も覚えます。命にじかに触れ、本物に触れさせることが狙いです。
加藤(優)先生
校内と校外に畑があります。高校生が園芸の授業で収穫した食材を他の教科で使うこともあります。また、花壇設計というプログラムもあります。園芸教育は0から自然の力を借りて、自分の体験を根拠にさまざまなことを学ぶ、意味のあるものだと思っています。皆で協働して学ぶので、どの生徒も楽しく取り組んでいます。
荒井先生
そうですね。楽しそうに取り組んでいます! 園芸の活動を通して、農学や生物学に関心をもつ生徒も多いです。
加藤(優)先生
恵泉は他の学校に比べても、農学部に進む生徒は多いと思います。過去のクラスには農業と経済を学んで農業のコンサルタントとして働いていきたいという夢を持つ生徒がいました。
エデュ:両校のグローバル教育や英語の授業について教えてください。
加藤(優)先生
恵泉のグローバルは必ずしも英語を学ぶということだけではありません。平和を目指すグローバル教育として、自分自身を見つめるところから、徐々に視点を周りに広げていく、そういった教育を行っています。
荒井先生
英語の授業はオールイングリッシュで行っています。中学時代に英語に慣れる耳を育てることを意識して指導しています。
エデュ:2020年の教育改革に向けて行っていることはありますか?
荒井先生
本校では、教育改革が叫ばれる以前から、生徒主体の授業を心掛けてきました。今年度から高校で導入した各自が愛用しているデバイスを持参する「BYOD」によって学びがより深化し、成果の蓄積が進むことを期待しています。
加藤(優)先生
eポートフォリオで自分の学びの記録を残すようにしています。また、それぞれの授業の中で、生徒自身が自分で課題を設定して進めるアクティブラーニングを取り入れています。
最後に入学を考えている受験生や保護者にメッセージをいただきました。
校長
加藤先生
中高6年間は、大学に入るためだけに過ごすのではありません。将来社会に出たときに、「充実した人生を送るために学ぶこと」が大切だと考えています。女子校には個性を伸ばす学びの環境が整っています。
校長
大井先生
鷗友の入試は記述式です。これは学校がめざす教育が表れているからです。それは〇×だけで判断するのではなく△があってもいいという考えです。書く練習をして受験に臨んでください。
恵泉と鷗友も参加する、世田谷・町田私立学校展2018が開催されます。
小田急線・京王線・東急線沿線の私立中学校・高等学校が30校集まる、合同進学相談会・説明会です。両校の魅力を一度に知ることができるので、ぜひ足を運んでみてください。
日時:7月15日(日)10:00〜16:00
場所:渋谷エクセルホテル東急6Fプラネッツルーム
主催/東京私立中学高等学校協会 第8支部
後援/東京私立中学高等学校協会
恵泉女学園 イベント日程
プログラム | 日程 | 備考 |
---|---|---|
第2回学校説明会 | 7月21日(土) 10:00~12:00 |
教育理念・恵泉教育の特色・2018年度入試結果及び2019年度入試についてご説明します。「考える恵泉」の「国語」の事例をご説明します。 生徒による発表、クラブ・課外活動見学があります。 |
授業見学会 | 9月6日(木) 10:00~12:30 |
恵泉女学園中学・高等学校の特徴や授業の見どころを紹介した後、実際の授業を自由に見学できます。 |
鷗友学園 イベント日程
プログラム | 日程 | 備考 |
---|---|---|
オープン キャンパス | 7月7日(土) 9:30〜15:30 |
受験生の皆さんに学校を開放し、自由に見学していただく催しです。 中学生徒会役員・卒業生・在校生の保護者が受験生の皆さんの質問に答えるコーナーや、音楽系クラブのミニコンサートもあります。 |
かもめ祭 | 9月15日(土) 9:30〜16:30 9月16日(日) 9:00〜15:30 |
学園祭実行委員を中心に1年がかりで準備するイベントです。また、入試相談室も開設しております。 在校生一同、皆さんとお会いするのを楽しみにしています。 |
大井先生
恵泉さんには及びませんが、鷗友には83年の歴史があります。その中で培ってきた文化を守りながら、時代の変化にも対応していきたいです。鷗友生にとってのメリットを考えたうえで教育プログラムを取り入れています。