聖学院中学校・高等学校×女子聖学院中学校高等学校
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男子校の聖学院中学校・高等学校(以下、聖学院)と女子校の女子聖学院中学校高等学校(以下、女子聖学院)。隣り合った敷地にはありますが、文化祭など特別な学校行事を除き、学校活動は別々ということが多いそうです。そんな両校ですが、2021年よりSDGsという共通目的のもと、男女協同での活動を行っています。今回そのプロジェクトに精力的に取り組む両校の生徒と先生にお話を聞きました。両校生徒による相乗効果でどんな活動になっているのでしょうか。
学校法人聖学院では駒込に校舎がある聖学院、女子聖学院、聖学院小学校における連携および発展的な教育を目指すため、2021年に教育デザイン開発センターが発足し、その一つの活動として、ESD・SDGs教育を実施しています。そして男女聖学院共同の課外授業としてSDGsプロジェクトを設置し、中学3年生から高校2年生までの有志で参加する生徒たちとともに取り組んでいます。
小学生・中高生向けのSDGsイベント開催と学内外のステークホルダーへの発表がゴールです。
1年目は防災、2年目以降は環境エコ活動をテーマにしており、今年はエネルギー、フードロス削減、菜園コンポスト、資源活用の4チームで活動しています。
活動期間は1年間。メンバー募集は両校とも毎年5月に行っており、聖学院では高校のGlobal Innovation Classのゼミとして参加している生徒もいます。継続的に参加する生徒も多くいて、今回インタビューする4名の生徒も継続して参加しています。
8月の中間発表に向けて準備を進める中、各チームのリーダーを務める4名にそれぞれの取り組みをうかがいました。
<聖学院高等学校>
エネルギーチームリーダー(参加3年目)
R.K.さん(高校2年生)
CO₂問題に取り組むチーム。学校内のCO₂削減を目指し節電意識向上のための啓蒙活動や、太陽光発電の活用に取り組んでいる。プロジェクトに取り組む中で行動力が養われ、社会勉強にもなっていると語る。
資源活用チームリーダー(参加2年目)
W.K.さん(高校1年生)
パーム油が使われていない石鹸の使用を啓蒙している。廃油から作られた液体石鹸を固形石鹸に作り替え、記念祭やSDGsデーなどで配布した。人を否定しやすい性格だったが、活動を通じて多角的な視点で物事を捉えられるようになったとのこと。
<女子聖学院高等学校>
フードロス削減チームリーダー(参加4年目)
I.F.さん(高校2年生)
生徒の家庭から不要な食品を集め子ども食堂に配布するほか、生ゴミ削減を啓蒙する活動として、生ゴミを出さずに調理するクッキングバトルを企画。参加当初にくらべ積極性が増し、自分が楽しまないと楽しさは伝わらないことに気づいた。
菜園コンポストチームリーダー(参加2年目)
M.R.さん(高校2年生)
菜園活動と学内で出た生ごみを堆肥にするコンポスト活動を行っている。土は学内のプランターに活用しているほか、SDGsデーや自由研究フェスタなどでも配布した。プロジェクトでは説明することが多いため、人に説明する時、何より自分が理解していなければいけないと感じた。
SDGsプロジェクトでそれぞれのチームに参加しようと思ったきっかけを教えてください。
R.K.さん
エネルギーチームは節電を呼びかけたり、ソーラーパネルを設置したりしていますがイベントを開催するわけではないので活動としては地味です。その分、電気代や発電量など数値が出るので成果が分かりやすい。今年で3年目ですが、自分たちで行ってきた達成感を感じられるので、継続して参加しています。
I.F.さん
フードロスは一番身近な問題だと思いました。活動を続けていると、食品ロスは結局、人の問題だということに気づきました。それによって活動自体も学校から地域など規模も大きくなり、やるべきことも増えて大変ですが、苦しさが自分の糧になっていると思っています。
M.R.さん
植物を植えたり、SDGsデーで聖学院小学校の子どもたちと関われたりすることが楽しそうだと思い参加しました。みんなが集まれる、交流を通して菜園体験やSDGsの知識を深めることを目的とした「コミュニティの庭」を昨年度から計画しており、今年、ようやく実行段階になるので続けて参加しています。
W.K.さん
石鹸で環境を良くできることに驚きました。先輩から「チームに参加したらいろいろ教えてあげるよ」と言われたのが参加のきっかけです。でも僕たちのチームは参加人数が少なくて、継続することで人数問題も改善したいと思い今年も続けています。
プロジェクトを進める中で難しい場面もあったと思います。
R.K.さん
節電は自分事として捉えるのが難しいせいか、プロジェクトの内容が響いてないと感じています。そこで今まではお願いばかりでしたが、今年は自転車発電を体験させることで、みんなの意識を変えたいと思っています。
I.F.さん
私はチームビルディングの難しさです。メンバー個人の熱量の差があり、なかなか参加しない人と継続して参加するメンバーとの間に差ができてしまいがちです。私は今年でこの活動が最後なので継続して活動できるようになんとかしたいと思っています。
M.R.さん
I.F.さんと同様、新メンバーに今の活動を理解してもらうのは最初難しかったですし、継続メンバーとの温度差や知識の違いもあって、考えを一つにまとめるのも大変でした。しかし回を重ねることでその差も縮まってきています。
W.K.さん
一番の課題はメンバーが少なく、また欠席するメンバーもいて、みんなで決めることができないことです。また発表の際のスライド作りが難しく、自分だけが分かるような作り方をしまいがちなので、今は中間発表に向け、各チームからもらったリフレクションを反映して改善しようと思っています。
今後のプロジェクト展望をお聞かせください。
R.K.さん
太陽光発電の発電量はあまり多くないのですが、効率よく発電できるシステムや充電用バッテリーも大容量のものに変更し、菜園コンポストチームと協力して「コミュニティの庭」のスプリンクラーを動かすなど、電力を活用していくことを考えています。
I.F.さん
フードパントリーは男女聖学院生徒がみんなで協力してくれて、昨年は1回目で377個、2回目は222個集まり子ども食堂などに寄付できました。フードロス削減を実際に体験できるクッキングバトルでは、参加した生徒全員のフードロス問題への関心度を上げることができました。
M.R.さん
私は自由研究フェスタなどで特に小学生に向けて啓蒙活動できたことが一番の成果だと思っています。みんな土に対してとても関心を持ってくれました。今後もこうした活動を続けたいし、「コミュニティの庭」も向上させていい庭をつくりたいです。
W.K.さん
SDGsデーに来た小学生の保護者からのアンケートをもらったのですが、とても反応が良かったんです。結局石鹸を買うのは大人でもあるし、子どもを通して伝わったかなと思います。いまは粘土タイプの石鹸を作っています。もっといろいろな人に廃油石鹸のことを周知していきたいです。
SDGsプロジェクトを担当する聖学院の早川太脩先生と女子聖学院の日向貴之先生にお話をうかがいました。
生徒の活動を見てきた率直なご感想をお聞かせください。
早川先生 参加する生徒それぞれ目標としていることを達成するため、よくやっていると思います。クラブ活動とも両立させ、忙しい中でも真剣に取り組んでいる姿は、私から見ても素直にかっこいいと感じるほどです。
日向先生 SDGsは内容によってはどう取り組むか捉えどころが難しいと思いますが、生徒たちはいま自分たちでなんとかしないといけないという危機感を持って取り組んでいますので、熱量が違いますね。
プロジェクトに取り組む生徒の成長はいかがでしょうか。
早川先生 自分がやりたいことに対し、何を用意すればいいのか、どう動いてもらいたいか、そうした伝える力が身についたと感じます。またタスクの優先順位、企画力などは特に継続して参加している生徒に顕著に見られます。反面、仮説を立てた上でこれをやりたい、という根拠作りや押しの力はまだまだですね。これから力をつけて欲しいと思います。
日向先生 活動を通して成長段階がよく分かります。例えば、I.F.さんは初めの頃はなかなか発言しない生徒でしたが、今やチームの中心的な存在です。立場が人を成長させ予想外の力を発揮していることを目の当たりにしています。
今後のプロジェクトの展望を教えてください。
日向先生 2点あります。一つは持続性。継続していくことでこの活動を校内に根付かせていきたい。昨年まで6チームで活動していましたが、4チーム制にしたのも自分たちの活動の可視化や、他のチームの状況を分かるようにすることで継続性を高めたいと考えたからです。 もう一つは外部にどんどん出ていきたい。コンテストなどで評価を受けることだけでなく、地域の方々に活動を知ってもらえる機会をつくっていきたいですね。生徒達の活動をより進化・拡大することにフォーカスしていきたいと考えています。
学校イベント
聖学院中学校・高等学校
入試対策説明会
2024年12月21日(土)
入試対策説明会
2025年1月11日(土)
女子聖学院中学校高等学校
PTAクリスマス礼拝
2024年12月14日(土)
入試直前説明会1
2025年1月11日(土)
入試直前説明会2
2025年1月18日(土)