inter-edu’s eye
2014年より、文部科学省からSGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定された佼成学園女子中学高等学校(以下、佼成女子)。今春4月に就任した新校長・宍戸 崇哲先生が、人材育成にかける思いや、女子校ならではの教育について大いに語ってくださいました。
SGH全国高校生フォーラムで文部科学大臣賞受賞! ≫五つの実践をもとにした人材育成
本校では、他者の役に立てる人間の育成を実践するためには、単に知識を獲得するだけでなく、心を鍛えることも大切だと考えています。その第一歩として、実践目標「五つの実践」を掲げています。この中で、私が一番大切だと思うのは5番目の「思いやりの実践」です。異文化の中で海外の方々と目的を達成しなければならないとき、自分の考えを押し通したらうまくいくものもうまくいきません。相手の立場になって共感し、お互いに理解し合うことが重要なんです。共感するという行為を突き詰めていくと、「思いやりの実践」につながると私は考えます。
何気ない学校生活での日々の実践が、社会で活躍する人材を育成するためにとても重要になる。この考えをもとに、教育活動を進めていきたいと思っています。
また、本校は行事や部活動が盛んです。生徒が学校生活で起こるさまざまな諍い(いさかい)について、話し合い、相手を思いやることで、こじれていた人間関係がうまくいくようになったりすると、自分一人では越えられなかった壁を越えて、従来の限界を突破した成果が得られるんですよ。海外に出ることだけがグローバル教育ではなく、日本で培った問題解決能力や調整力、表現力、そして人間力が、いずれ外の世界に出たとき役に立つんです。
佼成女子が誇るグローバル教育プログラム
SGH指定校である本校は、3つの柱を立ててグローバル教育を進めています。スーパーグローバルクラス(特進文理コース)、特進留学コース、進学コースです。
スーパーグローバルクラス(特進文理コース)
このクラスでは、まず高校1年次に国際知識を広く学びます。生徒はほかにも、日本文化を理解する機会に触れながら、グループワークで問題解決能力を養ったり、青山学院大学、恵泉女学園大学、上智大学などと連携したワークショップに参加して、2年次から海外でさまざまな体験をします。
タイフィールドワーク
山岳民族カレン族の村でのホームステイやNGO施設訪問、スラム街の訪問を通して、現代タイの諸問題について学びます。また、名門タマサート大学での英語研修に参加します。
ロンドン大学研修
ロンドン大学SOAS校にて、タイフィールドワークで体験した社会問題について教授たちとディスカッションし、英語の研究論文を作成します。帰国後は研究成果を発表します。
国際文化・特設英語
グループワーク、プレゼンテーション、ディベート等を通して国際知識を身につけながら、外部専門講師と学園教員とのチームティーチングで4技能型英語力を向上させます。
特進留学コース
このコースの特長は、「日本一ケアがしっかりしている留学制度」と他校から驚かれるほど手厚いサポートがあることです。担任や学校スタッフが、1年の長期留学中に生徒のようすを確認するため複数回の面談を実施するほか、留学中の全生徒を集めて合宿を行います。
ニュージーランド長期留学
約1年間、現地の高校に通いながらホストファミリーと生活し、異文化を体験しながら英語力を磨きます。また、先住民のマオリ族と移民の人々との関わり方から異文化理解を深めます。
シドニー大学研修
オーストラリアのシドニー大学で、SGHの研究テーマに沿った講義や、大学生とのディスカッションなどで学習を深め、論文を作成。帰国後は英語で留学の成果を発表します。
SGE・日本文化論
クラス全体で困難に立ち向かうための人間関係づくりを行ったり、海外に日本文化を紹介するために、ディベートやプレゼンテーションによる学習を行います。
進学コース
このコースでは、希望者が海外に渡り、交流プログラムやホームステイを経験します。また、コースの全員が英国での修学旅行に参加。異なる文化環境を肌身で感じます。SGHは学校全体で取り組むべきものであり、全ての生徒にグローバルなプログラムの機会を与えたいですね。
日本スリランカ青少年交流(希望者)
日本と異なる民族・文化・宗教の青少年たちと、スリランカでのホームステイなどを通して交流しながら異文化理解を深めます。また、世界遺産の宝庫であるスリランカの歴史と文化を学びます。
中国青少年交流サマーキャンプ(希望者)
スリランカプログラム参加者を中心に選抜された生徒は、一般財団法人日本国際協力センター(JICE)の協力のもと、世界各国から集まった青年たちと異文化交流を行います。
英国修学旅行(全員)・英国短期留学(希望者)
ロンドン・コッツウォルズ地方に行き、全員が4泊5日のホームステイを体験。希望者は、そのままブライトンへ移動し、3週間のホームステイ生活を送りながら現地の語学学校に通学します。
女子の適性を活かす指導
本校では、品位を高める女子教育に力をいれていきたいと思っています。また、女性が持つ粘り強さを活かして、女子校ならではの丁寧な学習指導を行います。
今は「グローバルの佼成」として認知されていますが、これにとどまらず、基礎学力をしっかり身につけさせ、さらに理数系教育に力を入れます。女子校としての情操教育を大切にしながら、生徒の個性を伸ばして、社会で役に立つ人材を育てていきたいと思っています。
編集者から見たポイント
留学=海外に行って英語に触れる、ではなく、その先の人材育成を見据えた佼成女子のグローバル教育。「2020年の教育改革では、おそらく欧米化の流れが強まるので、本校で学んだ生徒はアドバンテージを取れるはずです。」と、宍戸校長は太鼓判を押します。
グローバル教育に興味のある保護者の方は、国際教育についての知識が豊富な宍戸校長の熱いメッセージを、学校説明会で聞いてみてはいかがでしょうか。