inter-edu’s eye
佼成学園女子中学高等学校(以下、佼成女子)は、設立理念である「国際社会で平和構築に貢献できる人材の育成」を実現するべく、2014年にSGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定を受ける以前から、留学やネイティブ教員による実践的な英語教育が推進されてきました。「英語の佼成」として知られる佼成女子の、英語力の向上を強く後押しするさまざまな取り組みについて、先生方からいただいたコメントをご紹介します。
2018年度合格状況速報! ≫英語力向上のための取り組みは?
二木 宏明先生
教務部長で数学科教論。英検対策を担当しており、年2回実施している英検まつりを取りまとめています。
本校ではネイティブの教員が5名常駐しており、中学では授業以外にも、ホームルーム、朝読書(好きな洋書を読みます)、部活動など、さまざまな活動に参加し、生徒と英語でコミュニケーションをとっています。生徒たちも、ネイティブ教員に物怖じせず話しかけています。
また、少しでも英語の環境に浸ることが英語力向上につながると考えています。生徒一人ひとりの興味関心のポイントが多様化しているので、例えば校内施設にも英語標示をつけたり、高校留学コースの生徒による朝の英語スピーチを全校に放送したり、英語新聞を発行したりするなどの取り組みを行っています。
現在、高校2年特進文理クラスのTさんは、中学入学後に英検5級からチャレンジして、今年は準1級を取得しました。真面目で努力家のTさんは中学時代、英語習熟度のトップクラス(アドバンストクラス)で学びました。
中学生の英語授業は、少人数の習熟度クラス別に分かれているので、個別対応ができるのが強みです。毎学期、インタビューテスト、プレゼンテーション、スピーチコンテストなど全員が人前で英語を話す機会を設けています。Tさんはとても積極的で英語の吸収力が抜群、今では留学経験がないにもかかわらず、ネイティブ教員と対等にコミュニケーションをとれるようになりました。高校卒業後は海外大学の進学を強く希望しています。
イマージョン教育の目的と特色は?
山室 佳子先生
英語科主任として、中学イマージョン教育の開発に尽力しています。
現在、教育改革の主軸になっている「アクティブラーニング」「英語四技能の育成」に対応するのがイマージョン教育です。本校では2000年からイマージョン教育を進めてまいりました。中学生の日常生活の中で、できるだけ長く英語に触れてもらおうと、一週間の約3分の1を英語関連(英語、英会話、音楽、美術)の授業に充てるカリキュラム編成をしていますが、特に四技能のなかでもスピーキング、リスニングの能力向上に努めています。
本校のイマージョン教育では、英語に興味や関心を持ってもらうために、音楽と美術の授業からもアプローチをしています。「音楽や美術のような実技教科は好きだから、もっとネイティブの先生と会話したくなった」と話す生徒がいます。英語の授業以外の視点からも、英語教育の可能性が広がっているということですね。
また、英検結果を分析しても、リスニングの得点が明らかに向上しているといった結果が出ました。これはイマージョン教育の成果と言えるでしょう。
生きた英語を学ぶ海外留学の結果は?
佐藤 啓先生
中学生の中期留学担当として、留学現地の引率をしながら、生徒が安心して過ごせるサポートを行っています。
昨年度からスタートした中学中期留学には、総勢16名が参加しました。中期留学によって、英語力向上はもちろんですが、もっと英語を学びたいという英語に対する意欲も向上したようです。中学時代に英検2級の勉強が難しく、合格できないかもしれないと悩んでいた生徒は、帰国後に高得点で2級に合格しました。とりわけ、リスニングとスピーキングの出来がよかったと喜んでいたことを覚えています。
また、全体的に自分に自信が持てるようになったようです。2か月間親元から離れて生活することにより、今までいかに親に甘えて生活していたかに気づき、家事手伝いを積極的にやるようになった生徒がいました。ある生徒は、高校で今まで自信がなくやったことのなかったクラスリーダーの立候補に勇気を出してチャレンジしたようです。
英語力の向上以外にも、人格面で大きく成長できるチャンスを活用している様子が多く見受けられましたね。
英語カリキュラムの特長
中学1年から3年まで、英検対策の授業コマ数を確保しており、かつ英語経験者と未経験者の習熟度別でクラスを2分割。中学2年以降の英会話では、習熟度別にクラスを3分割しています。さらに講習によって、ネイティブ教員主体の指導も実施します。
音楽・美術のイマージョン教育と総合の時間を含めると、中学の3年間で計29コマの英語関連授業を確保しています(公立校は計12コマ)。
英検取得率
今までにも紹介してきた「英検まつり(2016年掲載の記事)」や特別なカリキュラムを重ねてきたことで、明らかに英検取得率が高まっています。中学3年による英検3級以上の取得率は、全国平均36.1%に比べて2倍を上回る78.6%※、さらに高校3年生による英検準2級以上の取得率は、全国平均36.4%に比べて2倍近い69.7%※となっています。
(※2016年度)
英語入試
英語のインタビュー形式(100点)による入試で、英検3級から2級程度のレベル感が合格ラインになっています。
習熟度別の英語授業により、もともと英語能力が高い生徒も安心して授業に臨むことができる体制が整っているので安心です。
編集者から見たポイント
多角的に進められている佼成女子の英語教育。さらなる向上を目指すべく、現在ではICT化を進めています。電子黒板を全教室に設置し、教員は全員iPadを持ち、授業や校務での活用をスタート。今後は生徒も一人1台タブレット端末を持ち、英検まつりをはじめ、英語教育を中心にICTを活用するプログラムを検討中だそうです。ICT化によってどのような効果がもたらされるか、今後の展開にも大注目です!