6年間の一貫した教育によって、総合的な学力を培うことを目的に設立された公立中高一貫校。近年受検倍率は低下傾向にあるものの4倍を超える学校が多く、狭き門であることは変わりません。まずは公立中高一貫校の現状や大学合格実績、私立校との違いについて見ていきます。
都立は中学募集のみ、中高一貫校は増加の傾向
公立中高一貫校は1999年から全国で設立されるようになりました。設置者が学科の種類や教育内容を決めることができるため、従来の公立校よりも教育の自由度が高いのが特徴で、次世代のリーダーを育むことを目標に掲げています。
公立中高一貫校(都立、県立、市立、区立を含む)は、東京に11校、神奈川に5校、埼玉に4校、千葉に3校あります。高校募集を行わない「中等教育学校(完全型)」と、高校から新たに入学してくる生徒のいる「併設型」に分かれますが、都立は2023年度に白鷗が高校募集を停止し、中学募集のみとなりました。埼玉、千葉では中高一貫校が新設されるなど、6年を通じた一貫教育を行う学校が増えています。
私立校はどうなの?
首都圏には私立の中学校が約300校あります。公立中高一貫校と同じ、高校の募集停止を行う学校が増加傾向にあり、6年間で継続的なカリキュラムを実践し、特色ある教育に取り組んでいます。
東京都
学校名 | 募集状況 |
---|---|
都立桜修館中等教育学校 | 中学募集のみ |
都立大泉高等学校附属中学校 | 2022年度に高校募集を停止、中学募集のみ |
都立小石川中等教育学校 | 中学募集のみ |
都立立川国際中等教育学校 | 2022年度に附属小学校を開校、小学・中学募集あり |
都立白鷗高等学校附属中学校 | 2023年度に高校募集を停止、中学募集のみ |
都立富士高等学校附属中学校 | 2021年度に高校募集を停止、中学募集のみ |
都立三鷹中等教育学校 | 中学募集のみ |
都立南多摩中等教育学校 | 中学募集のみ |
都立武蔵高等学校附属中学校 | 2021年度に高校募集を停止、中学募集のみ |
都立両国高等学校附属中学校 | 2022年度に高校募集を停止、中学募集のみ |
千代田区立九段中等教育学校 | 中学募集のみ |
神奈川県
学校名 | 募集状況 |
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県立相模原中等教育学校 | 中学募集のみ |
県立平塚中等教育学校 | 中学募集のみ |
川崎市立川崎高等学校附属中学校 | 2021年度に全日制高校・普通科の募集を停止 |
横浜市立南高等学校附属中学校 | 中学・高校募集あり |
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校 | 中学・高校募集あり |
埼玉県
学校名 | 募集状況 |
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県立伊奈学園中学校 | 伊奈学園総合高等学校に併設、中学・高校募集あり |
さいたま市立浦和中学校 | 中学・高校募集あり |
さいたま市立大宮国際中等教育学校 | 中学募集のみ |
川口市立高等学校附属中学校 | 2021年度開校、中学・高校募集あり |
千葉県
学校名 | 募集状況 |
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県立千葉中学校 | 中学・高校募集あり |
県立東葛飾中学校 | 中学・高校募集あり |
千葉市立稲毛国際中等教育学校 | 2022年度開校 |
都立中の受検倍率は私立中の水準に近づく傾向
2023年度受検では、都立10校の平均受検倍率は4.22倍でした。2022年度の4.40倍、2021年度の4.66倍と比較すると低下傾向で、私立中高一貫校の難関・人気校の倍率に近づきつつあります。しかし、公立中高一貫校の受検の特徴である適性検査の問題は、年を追うごとに洗練され難易度は上がっているため、激戦が続いていることに変わりはありません。
東京都(一般募集枠)
学校名 | 募集定員 | 受検者数 | 受検倍率 |
都立桜修館中等教育 | 160名 | 809名 | 5.06 |
都立大泉高等学校附属 | 160名 | 700名 | 4.38 |
都立小石川中等教育 | 160名 | 685名 | 4.28 |
都立立川国際中等教育 | 130名 | 475名 | 3.65 |
都立白鷗高等学校附属 | 166名 | 694名 | 4.18 |
都立富士高等学校附属 | 160名 | 554名 | 3.46 |
都立三鷹中等教育 | 160名 | 887名 | 5.54 |
都立南多摩中等教育 | 160名 | 647名 | 4.04 |
都立武蔵高等学校附属 | 160名 | 453名 | 2.83 |
都立両国高等学校附属 | 160名 | 744名 | 4.65 |
千代田区立九段中等教育 | A 80名 | 186名 | 2.33 |
B 80名 | 376名 | 4.70 |
※各自治体、学校等の公式サイトを参考にインターエデュ・ドットコムにて作成
※九段中等教育はAは千代田区民、Bは千代田区外の都民
神奈川県
学校名 | 募集定員 | 受検者数 | 受検倍率 |
県立相模原中等教育 | 160名 | 935名 | 5.84 |
県立平塚中等教育 | 160名 | 725名 | 4.53 |
川崎市立川崎高等学校附属 | 120名 | 564名 | 4.70 |
横浜市立南高等学校附属 | 160名 | 836名 | 5.23 |
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属 | 80名 | 446名 | 5.58 |
※各自治体、学校等の公式サイトを参考にインターエデュ・ドットコムにて作成
埼玉県
学校名 | 募集定員 | 1次試験 | 2次試験 | ||
受検者数 | 受検倍率 | 受検者数 | 受検倍率 | ||
県立伊奈学園 | 80名 | 361名 | 4.51 | 175名 | 2.18 |
さいたま市立浦和 | 80名 | 625名 | 7.81 | 153名 | 1.91 |
さいたま市立大宮国際 | 160名 | 671名 | 4.19 | 325名 | 2.03 |
川口市立高等学校附属 | 80名 | 407名 | 5.08 | 188名 | 2.35 |
※各自治体、学校等の公式サイトを参考にインターエデュ・ドットコムにて作成
千葉県
学校名 | 募集定員 | 1次試験 | 2次試験 | ||
受検者数 | 受検倍率 | 受検者数 | 受検倍率 | ||
県立千葉 | 80名 | 564名 | 7.1 | 305名 | 3.8 |
県立東葛飾 | 80名 | 774名 | 9.7 | 308名 | 3.9 |
千葉市立稲毛国際中等教育 | 160名 | 831名 | 5.2 | 304名 | 1.9 |
※各自治体、学校等の公式サイトを参考にインターエデュ・ドットコムにて作成
難関大学に多数の合格者、実績の高さも人気の理由
公立中高一貫校からは毎年、難関大学に多くの生徒が合格しています。高い合格実績も人気の理由一つです。また、都立は2023年度までに全校が中等教育学校へ移行しました。中学校と高校の指導内容が統一されカリキュラムの充実が図られることで、今後さらに合格実績を伸ばすことも期待されています。
私立校はどうなの?
難関大学への合格を目指し、特別進学コースを設けて実績を上げている学校もあれば、将来の職業選択につながる体験学習に力を入れて取り組んでいる学校もあります。生徒一人ひとりの個性に応じた進路を探すことができるでしょう。
2023年度 東京都立・区立中高一貫校 難関大学合格状況(現役生)
学校名 | 東京大学 | 京都大学 | 一橋大学 | 東京工業大学 | 早稲田大学 | 慶應義塾大学 | 上智大学 | 東京理科大学 |
都立桜修館中等教育 | 1名 | 5名 | 6名 | 2名 | 62名 | 37名 | 20名 | 40名 |
都立大泉高等学校附属 | 2名 | ─ | 3名 | 3名 | 44名 | 17名 | 24名 | 38名 |
都立小石川中等教育 | 15名 | 1名 | 11名 | 6名 | 75名 | 40名 | 60名 | 45名 |
都立立川国際中等教育 | 3名 | 2名 | 1名 | 1名 | 38名 | 13名 | 33名 | 30名 |
都立白鷗高等学校附属 | 1名 | 1名 | 2名 | 2名 | 20名 | 13名 | 16名 | 27名 |
都立富士高等学校附属 | 2名 | 1名 | 3名 | 7名 | 50名 | 18名 | 12名 | 19名 |
都立三鷹中等教育 | 5名 | ─ | 1名 | ─ | 36名 | 23名 | 35名 | 40名 |
都立南多摩中等教育 | 1名 | 1名 | 1名 | 3名 | 10名 | 13名 | 7名 | 13名 |
都立武蔵高等学校附属 | 8名 | 2名 | 10名 | 6名 | 59名 | 33名 | 40名 | 37名 |
都立両国高等学校附属 | 5名 | 1名 | 3名 | 2名 | 37名 | 34名 | 24名 | 50名 |
千代田区立九段中等教育 | 1名 | 1名 | 1名 | 3名 | 36名 | 12名 | 37名 | 13名 |
※学校サイトを参考にインターエデュ・ドットコムにて作成
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