校長の神杉先生に聞く!多様な個性を引き出す城西の教育
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「天分の伸長」「個性の尊重」「自発活動の尊重」という3つの建学の精神のもと、成績によるクラス分けをせず、「個に応じた指導」を重視している城西大学附属城西中学・高等学校(以下、城西)。2018年に始まった中高一貫教育プログラム「JOSAI Future Global Leader Program(以下、JFGLP)」や、2022年度の中学入試で適性検査型入試を従来の「都立共通型」に加え、「大泉型」を実施するなど、改革を続けています。今年度から校長に就任した神杉旨宣先生に改革の成果や新たな取り組みについてお話をうかがいました。
ポテンシャルが高い生徒ばかり!城西の強み
これまでのご経歴をお聞かせください。
神杉校長当時の校長から、城西に来ないかと誘いを受け、戻ってきたのが2006年。2006年からは社会科の教員として教鞭をとり、今年度、校長を拝命しました。城西に戻ってくるまでは、いわゆる進学校から公立の定時制高校まで、さまざまな学校で生徒たちと向き合ってきました。その経験は城西に戻ってきてから、非常に役立っています。いろいろな学校を経験して感じるのは、本校の偏差値帯の子どもたちが、一番ポテンシャルが高いということです。
そのポテンシャルを探すことが、教員の仕事の醍醐味です。生徒のやる気が芽生える瞬間、自分にもできるという自信を得ていく過程を側で見ていることに望外の喜びを感じます。その時期を見逃さずにどこまで指導できるか、それが建学の精神の一つ「天分の伸長」の極みだと考えています。
他校で教鞭をとられた神杉校長だから分かる城西の強みを教えてください。
神杉校長本校は、客観的に見て教員が生徒との関係を楽しんでいるのが見てとれます。
特に中学では、公立では実現困難であろうレベルの手厚い指導をしています。本校には「生活ノート」という生徒が毎日の生活の記録や思ったことを書くノートがあるのですが、教員は40名のクラスだったら40名一人ひとりの記録に目を通し、毎日返事を書いて生徒が今何を考えているのか、悩んでいるのかを把握し、見過ごさない。ですから、生徒も親御さんも安心してくださる。そうしたきめ細やかな指導は、今後も継続して行っていきたいですね。
さまざまな得意分野を持つ生徒と出会うことが多様な価値観を育む
「2科・4科」「適性検査大泉型」「適性検査型都立共通」「英語技能入試」など、数多くの中学入試形態を用意されている理由をお聞かせください。
神杉校長本校は、建学の精神として「天分の伸長」「個性の尊重」「自発活動の尊重」を掲げています。人間教育をすすめるうえで、さまざまな得意分野を持つ多様な生徒と出会うことが必要です。さまざまな得意分野を持つ者同士がお互いに刺激し合う環境は、多様な価値観と自己肯定感を育むきっかけになると考えています。
適性検査型入試「都立共通型」に加えて2022年度入試から「大泉型」を導入した目的についてお聞かせください。
神杉校長例年、適性検査型入試はご好評をいただいていました。「都立共通型」の受験生の併願校を調べたところ、豊島区という本校の立地上、都立大泉中学校を併願される受験生が多いことが分かりました。そのため、都立大泉中学校の受検対策をする受験生が最も得意とする立体図形や数の法則性に関するセンスを存分に発揮できる入試を設ける価値があると考え、今回「大泉型」を追加しました。
「大泉型」の受験者数、生徒の校内での活躍ぶりはいかがですか?
神杉校長50名を超える出願があり、大泉型で合格した受験生のうち4名が本校に入学しています。1名は入学金・施設費・授業料が免除となるスカラシップ生として入学しました。授業ではリーダーシップを発揮する生徒が多く、特に数学は通常授業内容を超えた領域の学習にも取り組み始めています。
生徒の成長をデータ分析で可視化!画期的な取り組みで指導効果を質的に向上
神杉校長が大切にされている教育方針をお聞かせください。
神杉校長本校は、座学だけでなく体験学習を大切にしています。高校では、よりアカデミックに、実社会のさまざまな課題や、プログラムとつなげることで、多くの成功体験を味わわせたいとの狙いがあります。
例えば、NPO法人very50が主催するプロジェクト型教育プログラム(協力FC東京)に参加した生徒がいます。地域貢献プログラムを他校の生徒たちとチームになって提案したのですが、FC東京の最優秀賞に彼がリーダーになったチームが選ばれました。
こうした先輩の背中を下級生に見せ、教員ではなく、先輩たちが後輩たちへレクチャーをしていく流れをつくっていきたい。「αゼミ」がその絶好の機会となっています。教科にとらわれず、ノンジャンルでさまざまな学びのきっかけづくりを行い、先輩が自主的に課題を提案し、後輩を巻き込んで学びを深めています。
今年度から始められた画期的な取り組みがあるとうかがいました。具体的にどういった内容なのでしょうか?
神杉校長入学前後、各種模試、イベント、プログラム、卒業直前の進路決定、進学した大学、その後10年間までをすべて紐づけて生徒の成長をデータ分析し、可視化する取り組みです。
本校の良さを説明する際に、説明会で言語化するのが非常に難しい。「普段の生徒の姿をご覧ください」としか言えない。これを可視化、数値化して、どういうプログラムにどういった教育効果があったのかを調査、データ分析することで、本校の良さの輪郭をはっきりさせて、内外に訴求したいと考えています。
また、教員の感覚に頼っていた部分が可視化され、教員間の情報共有が容易になることで指導の効果が質的に向上し、客観的データから個々に合わせた学習支援が可能になります。
本校の「天分の伸長」「個性の尊重」「自発活動の尊重」という建学の精神を振り返ると、この100年超、生徒第一主義で教員たちは頑張ってきました。この生徒第一主義を発展させるのが、データ分析だと考えています。
成功体験から自己肯定感を育み、世界のリーダーに育ってほしい
城西をどのように発展させていきたいとお考えですか?
神杉校長校訓に「報恩感謝」を掲げていますが、恩に報いるというのは、自己肯定感が定着していないとできません。ですから生徒には、体験学習などで成功体験を積み重ねて自己肯定感を育んでほしいと願っています。
また、本校がグローバル化を謳っている以上、多文化理解や他者理解、言語の習得は必須です。「報恩感謝」の範囲が広がっていったとき、生徒たちは世界で活躍できるリーダーに育ってくれると考えています。JFGLPは、世界で活躍するために不可欠な英語力や多文化理解力を身につけ、自ら夢を実現させる自立心を養うことを目的としています。JFGLPが、生徒たちのバックボーンになれば、うれしいですね。
編集後記
「報恩感謝」にもとづき、生徒だけでなく、先生方も感謝の念を持って指導されていることが伝わってくる取材でした。データ分析という画期的な取り組みを始められたのも、城西への神杉校長の「報恩感謝」に、ほかなりません。「今年度の高3生は合格実績にこだわります」と神杉校長がおっしゃる同校の今後に注目です。
イベント日程
イベント名 | 日時 |
---|---|
第1回 中学体験入学※要予約 | 2022年7月17日(日) 9:00~/13:30~ |
第2回 中学校説明会※要予約 | 2022年9月10日(土) 14:30~ |
しいの木祭 | 2022年9月23日(金・祝)・9月24日(土) 9:00~ |
連載コンテンツ
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