inter-edu’s eye

女子美術大学付属高等学校・中学校では、受験指導とは少し違う「キャリア教育」に力を入れています。アートを通して一人ひとりが夢を思い描き、その夢を実現するサポートです。今回は、夢を実現させた卒業生の今を紹介するとともに、女子美付属の魅力に迫ります。

【10年一貫教育後の進路】高い就職率と進路(進学/作家活動)

女子美付属 進路状況
女子美芸術学部 進路状況
女子美芸術学部 職種別進路状況

女子美大の就職者のうち、8割以上が、美術・デザインに関する専門知識と技術を生かせる職種(デザイナー職・クリエイティブ系総合職・クリエイティブ系一般職)に就いています。また美術教員・学芸員・財団法人職員などに就職する学生も多くいます。
また、創作・研究活動をよりいっそう深めるために、進学を希望する学生が多くいます。卒業後、さらに専門を深めたいと考える方には、女子美術大学大学院美術研究科(男女共学)があります。大学院では、博士前期課程を修了後、さらに博士後期課程に進み、研究を続けることもできます。

夢を現実に!アートを学んで叶えた先輩たちの声

島峰 藍さん (株)電通テック

努力することの意味を学んだ女子美付属時代

島峰 藍さん

女子美大時代、東京オリンピック招致のロゴデザイン募集に応募し、私のデザインしたロゴが採用されました。このような結果につながったのは、女子美付属時代に努力することの意味を学んだ結果であると思っています。
個性的な友人たちの中で切磋琢磨し、自分の作品の良さはどこにあるのかを模索していた女子美付属時代。さまざまな才能に囲まれつつ、「私も負けない」という気持ちで制作を続けました。そうした中、作品に対する先生の評価からしっかりと反省し、その問題点を明確な言葉に置き換えてから作品を改善することを繰り返しました。

島峰 藍さん

そのおかげで、時間はかかりましたが、次第に自分が作りたいものが作れるようになったと思います。学生時代に培ったデザインの基礎技術、もがいて反省して悔しい想いをしながら壁を乗り越えた日々が、グラフィックデザインの仕事に就いた今も役に立っています。今はまだスタートラインに立ったばかりですが、また同じようにチャレンジしながら努力していこうと思っています。

藤田 尚子さん 一級建築士事務所(有) クワハラオフィス

女子美が教えてくれた日常空間の持つ力

藤田 尚子さん

女子美の付属から大学まで、私は10年間、女子美という「日常空間」に身を置きました。ここは、学びの場だけではなく、「美術」という共通項のもと、より深いつながりが生まれる場所だったと思っています。創作するうえでの葛藤、苦しみ、そして完成の喜びを共有することができる。そうした感情の共有がより深いつながりを生み、かけがえのない学校生活にしてくれたと感じています。大学で環境デザインを学んだのも、こうした「日常空間」が人に大きな影響を与えると強く感じていたからだと思っています。

藤田 尚子さん

単に建築物をデザインするというだけでなく、その場や空間で人々の関係が生まれ、さらにそこから新しい何かが生まれる。そんな「日常空間」の力に魅せられたことが、今の仕事につながっていると思います。建築デザイナーという仕事は、いろいろな業務があり大変ですが、女子美付属時代に身についた「常に創造力を鍛える習性」のおかげで、やりがいを感じながら仕事をしています。

柴谷 麻以さん (株)電通 第2クリエーティブ局

友人の輪が広がり、絆が深まる女子美付属の魅力

柴谷 麻以さん

「チームワークで全力を出し切る」。私が女子美付属時代に徹底的に学んだことのひとつです。思い出深いのは、友人の誕生日を学校で全力を挙げてサプライズ演出する「祝い隊」です。友人を驚かせようと、奇をてらった演出を考えたことが今の仕事に役立っていると思います。
電通のアートディレクターという職業は、ポスターやCM、パッケージなどさまざまなツールのデザインを担当します。ユニークで斬新な発想力を必要としますし、多くのスタッフたちとの共同作業、チームワークが基本です。このような仕事が今できているのは、学生時代に培った自由な発想力のおかげであると実感しています。

柴谷 麻以さん

また、女子美の一番の魅力は、友人の輪が広がり、絆が深まることだと思います。授業も楽しく、特に歴史が好きでした。授業では教科書に載っていない秘話が出るので、必死にノートを取っていたことを覚えています。生徒だけでなく、生徒も個性的で素敵なところが魅力です。

木下 歩さん (株)タカラトミー グローバルドール・ガールズ事業本部 リカちゃんグループ

卒業制作から本物のリカちゃんハウスの制作へ

木下 歩さん

女子美の付属高の卒業制作でリカちゃんハウスを作成しました。当時は、数年後タカラトミーに入社して本物の制作に関わるとは思っていませんでしたので、不思議な縁を感じています。現在の「エキスパート」という肩書きは、一般的にはプロジェクト・マネジャーのような管理職ですが、私の場合、主にリカちゃん全体の構成を考えたり、商品の企画、予算、工場からあがってきたサンプルをチェックしたり、発売までのスケジュール管理をするなど多岐にわたります。

木下 歩さん

その業務の中でよく思い出すのが「女子美祭」です。限られた予算と時間の中、みんなで一生懸命にアイディアを出し、たくさんのものを作り上げた経験が、そのまま今の仕事につながっています。中・高の6年間で授かった最もプライスレスなギフトは「友情」です。中学からの親友は、今でも親友のまま。才能だけでなくこれほどまでに貴重なものを与えてくれた学校に感謝の気持ちでいっぱいです。

編集者が見たポイント

世界でも数少ない10年一貫の美術教育を実現する女子美では、社会のあらゆる領域で活躍できる生徒を育てるべく、一人ひとりに合ったキャリア教育を行っています。たくさんのお話をお聞きしましたが、卒業生のみなさんが困難に出会った時、一様に想いを馳せたのは「仲間と過ごした日々」だったのが印象的です。ライバルでありながら、お互いに切磋琢磨する仲間を見つけることのできる女子美付属は、社会での活躍を目標にしている生徒にとって、心の拠り所になっていくのかも知れません。

2015年 公開行事

日・時 プログラム
2016年1月9日(土) 中学10:00~
高校16:00~
ミニ学校説明会
2016年3月2日(水)~8日(火) 9:30~17:30
※会場未定。詳細は決定後、お知らせします。
高等学校卒業制作展