inter-edu’s eye
2016年に連載形式でご紹介した、女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)の運動会。さいたまスーパーアリーナで行われる女子美の一大イベント“美とスポーツの祭典”では、まさに“超高校級”の応援合戦が繰り広げられます。アート要素を取り入れながらも、普段の学校生活では見られないような、組ごとの威信をかけた真剣勝負の数々が繰り広げられる運動会に、インターエデュ編集部が今年も足を運びました。
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女子美の伝統種目・高校応援合戦
選手宣誓で使われたフレーズに“健康で文化的な運動会”というものがあります。健康ならまだしも、文化的とはどんな運動会になるの? と不思議に思いませんか。でも、女子美の応援合戦を目にすれば、このフレーズに誰もが納得するはずです。
青色・松組、赤色・菊組、緑色・梅組、白色・桜組、黄色・竹組の5組対抗で行われる高校生による応援合戦は、企画・演出・衣装を全て生徒が手掛けます。各組が考えたテーマに基づいた演出を施し、テンポの良いダンスや衣装で盛り上げます。衣装は布を巻き付けてワンピ―スに見せるような簡素なものではなく、生徒自身がデザインを練り、生地を選び、型紙から制作する本格的なもので、揃える帽子やアクセサリーなど小物も手づくりします。
衣装の早替えも見どころの一つで、舞台に立つ生徒たちの様子がガラッと変わるたび、客席から歓声が上がりました。これを全部生徒自身がつくっているの!? どんな仕組みになっているの!? と見入ってしまう衣装や演出と息の合った踊りで、保護者だけでなく、女子美生になることにあこがれる受験生たちの目も存分に楽しませてくれました。
また、来年以降に応援合戦に挑戦する下級生たちにとっては力強いエールとなったことでしょう。
各組がテーマに基づいたストーリーを演じる高校応援合戦。登場した衣装の数や精巧さを絶賛する拍手のシャワーを浴びた生徒たちは、大舞台で表現する喜びを噛みしめたことでしょう。
高校応援合戦を動画でご紹介!
女子美らしさが散りばめられた競技
女子美の運動会プログラムには、クラスリレーや障害物競走など他校でも一般的な競技はもちろん、女子美らしさが色濃くにじむ“魅せる”競技が豊富にあります。
中学2年生の「パズルリレー」は、バラバラになった絵を1枚の絵に完成させる速さを競います。パズルの原画は中学3年生が描いているため、作品の発表も兼ねた趣向を凝らした競技です。
入学して間もない中学1年生も参加する中学応援合戦は、高校生と同じように自ら制作した衣装を身にまとい、練習の成果を発揮して元気いっぱいにダンスを披露します。
また、高校3年生による「着付けリレー」は、生徒が担任の先生に衣装を着せるリレーをする競技で、次々と想像がつかないほどに変わりゆく先生の姿が、観客の感動と笑いを誘いました。
編集者から見たポイント
今年の運動会には、生徒の保護者や受験生を含め、1,753名が会場に詰めかけました。生徒が主体になって、仲間と協力しながら勝利を追い求める本来の運動会の在り方に、表現する喜びの体験も加味された女子美の運動会。特に応援合戦では、衣装をつくるデザイン力と技術力、ストーリー性のある演目をつくり上げる企画力と演出力など、芸術を手段として“表現する技能”に長けた女子美生の力をこれでもかと見せつけてくれました。