持ち前の表現力で挑戦できる「女子美自己表現入試」に注目!
inter-edu’s eye
美術教育を基幹としながら知性や感性を育む女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)では、基本的な2科/4科入試に加え、自らの表現力を活かせる「女子美自己表現入試」を実施しています。今回はこちらの入試方式を中心に、2023年度中学入試の出題内容やポイントを総務部主任・入試委員長の小島礼備先生にうかがいました。
一人ひとりの表現力が武器になる「女子美自己表現入試」
自己表現入試を導入した経緯や2022年度入試の振り返りを小島先生にうかがいながら、特色ある出題内容に迫ります。
自己表現入試とは、どのような入試方式なのでしょうか。
小島先生学科試験では測ることができない“表現力”や“伝える力”に注目した入試です。本校では、自分の作品に込めた思いやテーマを発表するなど、学校生活のさまざまな場面で自己表現をします。その過程で生徒たちは自己理解や他者理解を深め、たくましく成長していくのです。そのような自己表現の重要性に着目し、2018年度からこの入試方式を設けました。具体的な出題内容としては、その年のテーマを事前に予告し、入試当日にはそのテーマに沿った課題内容を提示。受験生は課題に対する自分の考えを60分間で記述します。
2022年度に行われた自己表現入試の分析結果や手応えを教えてください。
小島先生2022年度の自己表現入試は、3日間ある入試日程のうち2日目(第2回入試)に実施しました。志願者224名のうち、第1回入試の合格者を除いた143名の受験生が自己表現入試を受験し、10名の合格者を出しました。自己表現入試は「科目の枠を超えた入試」であることから、第1回入試に挑戦した受験生のほとんどが受験。本校中学入試の長年の傾向である「第一志望率の高さ」ゆえ、受験者は年々増加傾向にあります。さらに募集人数が毎年10名程度と少ないため、ほかの入試方式に比べると倍率の高い入試といえるでしょう。
2023年度中学入試日程
第1回 | 第2回 | 第3回 | |
---|---|---|---|
入試種別 | 2科・4科選択入試 | 女子美自己表現入試 | 2科入試 |
募集人数 | 110名 | 10名程度 | 15名程度 |
試験科目 | 2科(国語・算数) 4科(国語・算数・社会・理科) いずれかを選択 |
記述 | 2科(国語・算数) |
試験日 | 2023年2月1日(水)午前 | 2023年2月2日(木)午後 | 2023年2月3日(金)午前 |
2023年度の自己表現入試に向けてアドバイスをお願いします。
小島先生自己表現入試で問われる力は、「思考力」「判断力」「表現力」「課題解決力」など多岐に渡ります。日頃の生活の中で感じたり考えたりしたことや、さまざまな教科で学んだことを活かし、小学生なりに自分の考えを文章にしてみてください。文字数の多い少ないではなく、発想力や想像力、文章の構成、伝える工夫などを重視します。そのため、普段の受験勉強でも、さまざまな学習の中で答えの根拠を意識することが対策となります。
過去の自己表現入試で入学した生徒の、現在の様子を教えてください。
小島先生ほかの入試方式で合格した多くの生徒たちとともに、明るくのびのびと過ごしながら、授業や行事で自己の持ち味を発揮しています。私たちの期待通りユニークな生徒たちがたくさんいるので、いまから卒業後が楽しみですね。
卒業生の活躍を過去記事でチェック ≫2科/4科入試の対策では基礎力の徹底が肝心!
女子美の中学入試では、自己表現入試のほか2科/4科入試も行っています。小島先生より、例年の出題傾向や受験生へのアドバイスをいただきました。
2科/4科入試について詳しく教えてください。
小島先生第1回入試に関しては、国語・算数の2科と、理科・社会を加えた4科での受験を選択することができます。第3回入試は2科入試のみとなります。国語では小説1作品と知識問題の2問で読解力や表現力を問い、算数では基本的な計算力、読解力、観察力などの総合的な力を見ます。理科と社会は合計100点の採点となり、60分のうち自由に時間配分をして挑んでいただきます。
2科/4科入試に向けて、アドバイスはありますか。
小島先生例年、出題傾向や難易度の大きな変更はありませんので、本校の過去問で演習してもらえたらと思います。また、本校を第一志望とする受験生が多いことから、各入試回の問題は難易度が変わらないよう、並行して作成していますのでご安心ください。総じて難問奇問よりも標準的な問題をミスなく解ける力が求められますので、基礎力の底上げに力を入れて学習してください。
美術のテクニックは不問!「絵が好き」という気持ちを大切に
「美術大学付属である以上、絵の技術も必要?」といった疑問から、入試日程による違いの有無など、入試関連の疑問を解消します。
中学入試の対策として、絵の勉強は必要でしょうか。
小島先生小さい頃から画塾で描き方のテクニックを学ぶことよりも、感性を伸ばしていくことが大切だと考えているので、本校の中学受験では美術試験を行っていません。そのため、絵の勉強をしていなくても全く問題ありません。
絵が特別に上手でなくとも、学習にはついていけますか。
小島先生「絵を描くことが好き」「ものを作ることが好き」という気持ちがあれば大丈夫です。本校では、平面、立体、染め、CGなどさまざまなジャンルに触れる機会を用意し、生徒一人ひとりの良いところを伸ばす指導を心がけています。卒業生の約9割が美術系に進学しているという事実こそ、生徒たちが「好き」という気持ちを失わずに学び続けたことを表しています。
複数回受験した場合の優遇はありますか。
小島先生合否に関しての優遇措置はありません。ただし、いずれかの日程で面接を一度行った場合は、それ以降の面接は免除になります。報告書の提出についても、一度ご提出いただければ再提出は必要ありません。また、第1回入試と第3回入試の両方に出願する場合は、第3回入試の検定料が免除になります。
最後に、小島先生から受験生の皆さんへメッセージをお願いします。
小島先生受験勉強は、学力向上につながるのはもちろん、その過程で「思い」を積み重ねることこそが大きな糧になります。志望校への熱い思いを胸に受験勉強を乗り切った経験は、将来困難にぶつかったときに乗り越える力となるのです。そういう意味でも、中学受験は皆さんを成長させてくれる良い機会となるでしょう。 そして女子美では、絵を描くことや勉学を通して自分と向き合い、たくさんの無駄や失敗の中から良いものを生み出す経験を積んでください。それもまた、社会に出てからの糧となるはずです。受験生の皆さん、どうかめげずに頑張ってくださいね。
編集後記
2018年の導入から現在まで、「女子美自己表現入試」合格者のうち辞退者が一人もいないというから驚きです。この結果は、「絵を描くことが好き」「女子美に入りたい」という気持ちで多くの受験生たちがこの入試に挑戦している証であるといえます。女子美もまた、今まで以上に多彩な個性を持つ生徒たちの入学を期待しています。3日間にわたり行われる入試はすべて併願が可能ですので、ぜひ「女子美自己表現入試」にも挑戦してみてください。
学校公式サイト ≫イベント日程
イベント名 | 日時 |
---|---|
ミニ学校説明会 | 2023年1月7日(土) 中学の部14:00~、高校の部16:00~ |
高等学校卒業制作展(於 東京都美術館) | 2023年3月1日(水)~5日(日) 9:30~17:30 |
入試報告会 | 2023年3月25日(土) 中学の部①10:00~②12:00~、高校の部14:00~ |
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