全学年の力作がずらり! 感性の花が咲く女子美祭
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10月下旬、女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)の最大のイベント・女子美祭(文化祭)が開催されました。新型コロナウイルスの影響を受けて例年より規模は縮小しましたが、徹底した感染対策のもと、1日目は在校生と保護者、2日目は事前に予約した受験生とその保護者が来場し、イベントを堪能しました。今回は女子美祭1日目のようすとともに、開催に向けて奔走した生徒2名の思いをお伝えします。
クオリティの高さに驚き! 圧巻の作品展示
女子美祭ではエントランスや教室に延べ1000人以上の生徒の作品が展示され、中高6年間の美術教育をたどることができます。
中学生の作品はユニークな課題内容と自由な発想に驚き!
中学1年生は表現する楽しさと喜びを大切にしながら、美術の授業を週4時間行います。陶芸作品やエコバック、風景画、静物画などを自由な発想と感性で制作します。
中学2年生では1年生のときに育んだ感性をもとに、“美術に目覚める”をテーマに学習を進めます。テラコッタ粘土で人物を作ったり、木箱に彫刻を施したりと、多様な素材と多彩な表現に挑戦します。
中学3年生になると絵画とデザインの授業がスタートし、絵画の授業では水彩画や多色刷りの版画を制作。丁寧にものを観る力や描写力を養います。そして、デザインの授業ではデザインワークを体験して造形力を磨いたり、女子美伝統の課題である「お菓子の箱のパッケージデザイン」にも取り組みます。
圧倒され、思わず見入ってしまう高校生の作品
高校1年生は油彩画やドローイング作品に初めて挑戦し、幅広い絵画表現を楽しみます。デザインについても本格的な学習を開始し、構成や配色、レイアウトなどの基礎知識と技術の習得を目指します。さらに、工芸・立体の表現基礎も学びます。
高校2年生からは絵画制作の基礎力を高めながら水彩画・油彩画・木炭デッサンなどの技法や特質を深く学ぶ「絵画コース」、平面構成や鉛筆デザイン、デジタルデザインによる制作を通して基礎力と技術力の幅を広げる「デザインコース」、さらに工芸素材の性質や特性を学びながら道具の扱い方を習得しながら「ものづくり」の力を養う「工芸・立体コース」の3コースに分かれて、作品制作を行います。
高校3年生は3コースとも大学での美術教育に対応できる力を磨きながら、より完成度の高い作品の制作を目指します。
厳選な審査を勝ち抜いたクラス展示も必見
女子美祭では作品展示のほかに、各クラス・参加団体による教室展示も行われました。鏡友会(生徒会)の面接と審査に合格した団体のみが展示できる仕組みになっているため、クオリティが高く、大変見応えがありました。ここではたくさん取材したうちの一部をご紹介します。
女子美生が女子美祭にかける想いとは?
イレギュラーな状況で女子美祭の開催に尽力した鏡友会会長のS.Sさんと女子美祭実行委員長のT.Mさんにインタビューを行いました。
T.Mさん:例年、女子美祭の準備日は3日ありますが、今年は2日しかなく、さらに、コロナ対策として密にならないよう展示の仕方を工夫する必要があったため、非常に苦労しました。無事に開催できるのか不安もありましたが、クオリティを高めるために全力を尽くしました。
私は実行委員の仕事に加えて、中学3年生、高校1、3年生のときにクラス展示に携わったことで、企画力を磨くことができました。この力を大学や社会に出た時に生かしたいと思っています。
S.Sさん:私が所属する鏡友会はクラブや同好会、クラス展示、有志などから提出された企画を審査し、面接を行って、参加団体を決定する役割を担っています。また、参加団体の展示場所の決定、女子美祭のポスター選出の立ち会い、 パンフレットの作成も行います。女子美祭以外でも人前に立つ機会が多いため、日頃から行動や話し方などに気をつけています。
女子美は先生方や生徒が個性豊かで、“十人十色”という言葉が似合う、誰もが輝くことができる学校です。今年はコロナの影響で行事の規模が縮小するなど、不完全燃焼だと感じることも多くありましたが、私は女子美が大好きなので、“女子美の良さ”を後輩たちに継承できるよう、最後まで鏡友会の活動に全力を注ぎたいと思っています。
編集者から見たポイント
他校の文化祭とはひと味違い、美術館を訪れたような気分が味わえる女子美祭。ずらりと並ぶクオリティの高い作品たちはどれも素晴らしく、取材であることを忘れて見入ってしまいました。訪れた1日目は在校生と保護者のみが来場していましたが、在校生が絵を見ながら「先輩の絵、すごい!」と目を輝かせて話しているようすが印象的で、こうして他者の作品から刺激を受けることが自身の成長につながるのだろうと感じました。
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