inter-edu’s eye
「他者理解」を教育理念にしている武蔵野中学校・高等学校が最大行事として力を入れているのが「体育祭」です。なぜ力を入れているのか、その目的とは?涙を見せるほど熱の入った生徒たちの様子や先生の話から最大行事である理由が見えてきました。今回は「体育祭」から武蔵野の教育に迫ります。
本気の熱い闘い!武蔵野の体育祭
学年を超えた交流の機会が多くあり、上級生が下級生の面倒を見るという文化が根付いている武蔵野。
体育祭は、その文化が最大に発揮される行事です。
チームは、中3と高3、中2と高2、中1と高1という武蔵野独自の編成。作戦を練ったり、熱心に練習したりすることで、1年生チームが勝つ競技もあるそうです。「先輩には負けたくない」という思いから、本番でも熱い闘いが繰り広げられます。
たとえば、名物種目の玉入れでは、先輩、後輩関係なくぶつかり合い、本気さのあまり泣いてしまう1年生も。しかし競技が終わると上級生が声をかけ、健闘を称えあう場面も見られました。
この日お話を聞いた先生は「体育祭が終われば生徒たちは達成感にあふれ、すがすがしい顔を見せますよ」と目を細めました。
本気でぶつかり合う生徒たち
涙を流すほど、本気で勝負に向かう生徒たち。
大きな声を出して励まし合い、勝ったときは全身で喜び合う姿がたくさん見られました。
応援合戦
体育祭はチーム別の応援合戦で幕をあけます。
オリジナルの振付けで互いの真剣勝負を誓います!
玉入れ
武蔵野体育祭の目玉種目、玉入れ!
1万個のカラーボールが舞い、晴れた空にとても映えます。
保護者の作ったうちわ
3年生チームのお母さまたちは、オリジナルうちわで応援!
平日にも関わらず保護者も多数来場していました。
大玉ころがし
自分の体よりも大きな玉を2人1組で転がします。
熱くなりすぎてケガをしないよう、先生もそばで誘導していました。
大綱引き
綱引きも独創性があります。
4方向から引き合い、長いときは3分間も続くという、根性も試される競技です。
人間輓馬
人が乗った板を引くこの競技では、体の軽い1年生が勝つこともあるそう。
生徒たちの作戦力が試されます。
「他者理解」を通じた社会教育
体育祭でも垣間見ることのできた、先輩が後輩の面倒を見る習慣は、武蔵野の伝統であり、教育理念にもある「他者理解」の精神につながります。学校生活の中で先生たちはどのように指導しているのでしょうか。
インターエデュ(以下、エデュ):「他者理解」の精神を生徒たちに伝えるために先生はどのように向き合っていますか。
先生:「他者理解」とは、相手の立場に立って考え、行動することであり、社会で大切な精神であると考えています。ですから、普段の学校生活の中から「他者理解」の精神を身につけるよう指導するのが我々教員の役目です。
生徒の行動を注意することがあっても、ただ駄目だと言うのではなく、相手の立場だったらどう思うか考えてもらうようにしています。本人は悪いことをするつもりでそうしたわけではないこともありますからね。
社会で起きた事件や事象なども取り上げながら、生徒たちが納得して身に付けるよう根気よく指導しています。
エデュ:先輩、後輩の関わる機会が多いのもそのような考えに基づいているからでしょうか。
先生:そうですね。学校生活で「社会」を学んでほしいと考えています。
社会に出れば、多くの世代の人と関わるわけですから、学校生活の早い段階で異年齢での関わりを増やしてさまざまな経験をしてもらいたいというのがねらいです。
エデュ:生徒にはどのような意識が芽生えますか。
先生:後輩は先輩の姿を見て尊敬したり、時には「負けたくない」と頑張ったり、何事も一生懸命になります。
さまざまな人と関われば時にはうまくいかないことも出てきますが、自分のしたことで周りがどう思うか気づくことで関係性を深めていくこともできます。こうした経験がまさに社会で役に立つことであると考えています。
エデュ:社会に出た卒業生からの反応はいかがでしょうか。
先生:在学中は、「他者理解」といってもあまりピンと来ていなかった生徒も社会に出てから「武蔵野で学んだ精神が役に立った」と言ってくれます。
学校生活の中で自然に身についている結果であると感じています。
編集者が見たポイント
生徒たちの真剣勝負を目の前にして先生にお話を聞いた今回の体育祭取材。
そこには今まさに聞いているお話どおり、心から喜び、悔しがる生徒たちの姿がありました。
武蔵野中学校・高等学校では、部活の体験イベントもあり生徒たちの様子を見ることもできます。ぜひ、一生懸命な生徒たちの姿を見に、足を運んでください。
内容 | 日にち | 時間 |
---|---|---|
第5回学校説明会 | 10月31日(土) | 13:00~14:00 |
第6回学校説明会 | 11月21日(土) | 13:00~14:00 |
個別相談会 | 12月12日(土) | 10:00~12:00 |
入試模擬体験 | 12月12日(土) | 10:00~13:00 |
みんなでやるから高いところに行ける(西久保校長のことば)
体育祭は「みんなでやるから高いところに行ける」という考え方を特に大切にしている行事です。「みんなでやるから」日ごろ自分だけではできないことが達成できる、いつもと違った自分や友人を発見できる、不可能が可能になる。そんな成功体験を経験してもらいたいと思います。
また、数少ない「勝負」にこだわる行事で、中学生と高校生が協力し合い、勝つためにさまざまな工夫をし努力をする。勝ったときの喜びや負けた悔しさなど心の底から湧きあがる感情や経験は将来必ず役に立つと思っています。