正解のない問題にチャレンジするサイエンス入試
inter-edu’s eye
自然に囲まれた広大なキャンパスの敷地面積が、他校と一線を画する大きな特長となっている共立女子第二中学校高等学校(以下、共立女子第二)では、その環境を活かした実体験中心の理科教育に重点を置いた学びが実践されています。この共立女子第二で2019年度からスタートした「サイエンス入試」について、先生・生徒へのインタビュー取材を通して詳しくご紹介します。
楽しく体験して“好き”を見つける理科教育
従来の2科・4科型入試ではなく、理科に特化したサイエンス入試が新たに導入された理由や、そこに込められた思いについて、理科教諭の友廣雅翔先生からお話をうかがいました。
共立女子第二では、どのような理科教育が実践されているのでしょうか。
友廣先生:本校の理科教育は、学校環境を最大限に活用したユニークな体験を通して、さまざまな物事について考察することで生徒自身の可能性を広げていく学び方を大きな強みとしてきました。入学してすぐに始める授業内容が「散歩」です。キャンパス内で四季折々の動植物を目の前にしながら野外観察を行えば、どれだけ恵まれた自然環境に通学しているのかを実感することができます。
さらに、ファーム(学校菜園)で土をいじり、堆肥の温かさを感じたり、自分で苗植えから収穫まで体験した野菜を食べることまでやっています。冬には天文教室で澄み渡った夜空から星座を探し出したり、夏には蛍の飛び交うビオトープも作っている段階なんですよ。
新たにサイエンス入試を導入した背景について教えてください。
友廣先生:文系志望の生徒が多いので、理系に興味を持つ生徒を増やしたいという目的があります。しかし、まずは本校を受験する際に希望を持って頑張ってもらうための入試としても位置づけられています。
入試のテーマは毎年変わりますが、小学校で学ぶ範疇で考えられる内容を出しています。観察や実験を通して考察した結果をレポートにまとめ、試験官の前でプレゼンテーションをするのですが、主要4教科では実力を発揮しきれない才能を持った受験生にとっては大きなチャンスとして人気が出ているようです。
プレゼンテーションが大きなポイントになりそうですね。
友廣先生:従来のペーパーテストによる筆記試験では、受験生の適性を単なる得点で評価するしかありませんでしたが、サイエンス入試では受験生の考察過程を見ることができますし、最後には自分自身の言葉で説明する必要があります。この入試は、新時代のスタンダードになるだろうと確信していますね。
もちろん、模範解答は用意しますが、正解にたどり着くことだけを求めるわけではありません。偶然正解となったわけでなく、どうやって答えを導いたのかを言語化して他人に伝えることが評価のポイントになります。
普段はどのような授業をされていますか。
友廣先生:私は物理担当なので、銅のコイルを巻いてスピーカーを作らせました。生物では、意外にも解剖実験が人気だそうですよ。本校はもともと大学だった校舎を利用しているので、高度な設備が用意された4つの実験室があり、中学の3年間で約100の実験授業を行います。教科書を見て実験の結果だけを覚えるのではなく、とにかく手を動かして日頃の疑問を解消してほしいと思います。実験授業を通して、きっと自分の興味・関心を惹くことが見つかるはずですよ。
得意分野を活かした中学受験
サイエンス入試にチャレンジして見事に合格を勝ち取った中学1年生の余吾さんから、中学受験への取り組みや入学後の過ごし方についてお話をうかがいました。
中学受験を始めたきっかけや入試への備えについて教えてください。
余吾さん:女子校に憧れがあって、小4の頃から共立女子第二の白亜祭(文化祭)や公開行事に参加してきました。サイエンスチャレンジ(模擬入試)では、入試本番と同じ体験ができたのですが、とっても緊張しました。写真がたくさん載っている参考書を読んで、いろんな実験イメージを思い描いて受験本番に備えました。サイエンス入試はカエルの二重染色透明標本(骨格標本)を観察する問題が出されましたが、試験後に先生から標本をお土産に渡されたのが思い出になっています。
学校ではどのように過ごしていますか。
余吾さん:ファームでジャガイモや人参などの夏野菜を収穫しました。自宅に持ち帰った野菜でカレーを作って食べたらとても美味しかったです。理科の実験授業では、校長の晴山誠也先生が指導してくれるのに驚きました。それと、初めての定期考査を受けましたが、得意な理科と国語の点数が良かったので安心しました。最近は校内でお気に入りの場所を見つけることもできました。美術室では天窓から差し込む自然光と開放感が最高なんですよ。
中学受験にチャレンジする未来の後輩に向けたメッセージをお願いします。
余吾さん:大変なことがたくさん起きている時期ですが、共立女子第二は得意教科でいろんな入試にチャレンジできるので、周囲のアドバイスを聞きながら自分の頑張りを信じれば、必ず結果はついてくると信じてください。最後までやり切れるように応援しています。
得意分野を活かした中学受験
最後に、友廣先生からは勉強に向き合う姿勢の大切さについてお話をうかがいました。
毎年テーマが変わるサイエンス入試の攻略法について教えてください。
友廣先生:この入試に攻略法はありません! ただし、学ぶ意味を考えながら勉強に向き合ってきた受験生の努力が報われるような内容になっています。限られた情報の範囲内で「これだけの疑問について答えられた」という自信につながるような問題ですね。理系に強い受験生に限らず、観察力を養ってきた文系の受験生にもチャレンジしてほしいと思います。勉強自体は辛いことではなく、知らなかった知識を得る喜びを感じられるように過ごしていけば、いつの間にか合格に近づいているはずですよ。
編集者から見たポイント
理科の1教科のみ、しかもプレゼンテーションがあるユニークな入試として生まれたサイエンス入試。共立女子第二の教育姿勢や強みが色濃く打ち出された新たな取り組みには、受験層だけでなく教育関係者からの注目が集まっています。これからの入試の試金石となったサイエンス入試はもちろんのこと、物事に正解のない時代を乗り切るために「自立・自活」を掲げる共立女子第二の教育内容をもっと知ってもらいたいと思います。
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イベント名 | 日時 |
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中学校ナイト説明会 | 2020年10月23日(金) 18:00~19:10 |
中学校説明会 | 2020年11月5日(木) 10:30~12:00 |
中学校説明会/入試問題研究会 | 2020年11月28日(土) 10:30~12:00 |
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