inter-edu’s eye
2016年4月から、本格的にICTを導入する日本大学高等学校・中学校。そこには、生徒たちの学ぶ意欲に応えたいという先生方の熱い思いがありました。今回は、ICTの導入で変わる学校生活について、取材しました。
ICTの先駆け的存在に!
ICT導入を主導する田中先生
文部科学省は、2020年までに、ICTを利用した学校教育などの環境を整えることを目標にしています。東京都では、ICTを導入する学校が増えましたが、実は神奈川県ではまだまだ。こうした中、日本大学高等学校・中学校は、神奈川県での先駆者となって、ICTを導入するのです。
「日大付属校の中でも、ICTを導入している学校は、ほとんどありません。本校は、付属校の中でも筆頭校とされる学校なので、他の学校のモデルになりたいという思いで、導入を決めました。」と話すのは、ICT導入を主導する田中先生。導入後は、他の日大付属校をリードしていくことも視野に入れていると語ります。
田中先生のお話からも、神奈川県で先駆的な授業が受けられる期待が高まります。
キーワードで解き明かす!生まれ変わる学校生活
では、どのようにICTが導入されるのでしょうか。4つのキーワードから見てみましょう。
● キーワード1 全教科対象
ICTの導入が始まるのは、2016年の新中学1年生、新高校1年生から。ひとりに1台、タブレット端末が配布されます。英語、数学、国語の主要教科に重点を置きながらも、全教科でタブレット端末を使った授業が行われます。
● キーワード2 ICTはツール
タブレットや電子黒板は、新たにこれらを使うための時間を設けるのではなく、あくまでも「ツール」として取り入れていきます。国語の長文や、数学の図形などを板書する時間が短縮できるため、生徒の「考える時間」が増え、理解を深めることができるようになります。
● キーワード3 部活や委員会でも
ICTの活用は、部活動や委員会・生徒会活動と、授業以外でも検討されています。たとえば、運動部のミーティングで電子黒板を使って、録画した練習試合をもとに戦略を立てることなども可能。より活発な意見交換ができるようになります。
● キーワード4 自宅でも活用
タブレットは自宅へも持ち帰れます。英語のスピーキングの動画なども復習できるようになるので、家庭学習も充実します。学校での勉強の様子を、保護者の皆さまも見ることができるようになるので、安心ですね。
生徒を活発に!目指すビジョンとは?
ICTの導入により、どんな効果が期待できるのでしょうか? 導入を進める3人の先生に、そのビジョンについてインタビューしました。
グループワークで自分自身を知る
左から佐藤先生、櫻井先生
インターエデュ(以下、エデュ):ICTの導入で、授業はどのように変わっていくのでしょうか?
佐藤先生:電子黒板を使うと、解答に至るまでの過程も映し出せるようになります。元気よく手を挙げて発言してくれる生徒ばかりではないので、そういう生徒がどんなことを考えているのかも、共有できるようになりますね。
櫻井先生:周りの生徒にとって「あ、こういう考え方もあるんだ」という気づきになると思います。いろんな考え方を知ることで、自分の得意分野にも気づけると思います。どの生徒も得意分野をそれぞれ持っているはずですから。
佐藤先生:生徒同士で教え合うこともできるようになりますね。たとえば、社会で歴史上の一場面を演じて動画に撮り合う、なんてことをすれば、教科書で覚えるよりも身につくようになると思います。その方が盛り上がりますしね。
可能性は無限大
エデュ:タブレットは持ち帰りもできるそうですが、ご家庭での学習も促進されそうですね。
櫻井先生:そうですね。授業の復習はもちろん、ほかにも、長期休暇中のフォローもできるようになると思います。たとえば、宿題でわからないところを生徒が質問したり、質問が多い問題だったら、解説を生徒全員に送ることもできるようになりますね。
佐藤先生:可能性は無限大ですね。
田中先生:学びが教科書だけでは収まらなくなりますよね。興味あることを追求できるので、望めば望んだ分だけ幅が広がります。教員も、勉強したいという生徒はとことんサポートします!
櫻井先生:もともと本校の生徒は明るいですし、楽しい授業をしようと工夫する先生も多いので、ICTで活性化することによって、学校生活がさらに楽しくなると思いますよ。
編集者が見たポイント
第2回の取材の際も、野澤校長が「勉強も楽しくやらなければ、頭に入りません。ワクワクするような環境を作っていきます。」と話されていましたが、今回の取材でも、3人の先生から、生徒たちの「学びたい」という思いに全力で応えようとしている姿勢が伝わってきました。
もともとサポート体制に評判のよい日本大学高等学校・中学校は、ICTの導入によって、ますます注目が集まりそうです。