学びの幅が広がる! ICT教育先進校の実績とこれから
inter-edu’s eye
神奈川の先駆け的存在としてICT教育を推し進めてきた日本大学高等学校・中学校(以下、日大中高)。さまざまな取り組みが評価され、今年2月には学校情報化優良校として認定されています。今回は、日大中高におけるICT教育の進化と今後の意気込みを、教頭の中園健二先生、ICT推進担当の田中忠司先生にうかがいました。
全教科でICT教育に向き合った4年間の軌跡
日大中高のICT教育は、情報科教職員と各教科主任で構成されたICT推進部を中心に進められています。2016年度、中高1年生の主要教科へのタブレット端末導入からスタートし、初年度は毎月のように活用研修会を実施。職位や役職に関わらず先生全員がICT機器やアプリの操作方法を学び、授業での活用はもちろん、学校からのお知らせをオンラインで配信したり、体験学習・校外学習のプレゼンテーションを実施したりと、学校生活全体での活用を目指しました。
2年目は、教室設備の充実とともに、先生のICT教育に関する知識・経験を増やしていきました。「たとえば、毎学期全教科で研究授業を実施し、教員が所属教科に関わらずICTを使ったさまざまな授業を見学することで、幅広いICTの活用方法を学び合いました」(中園先生)。
3年目には全学年でタブレット端末の導入が完了。授業で活用する“学習ツール”から、授業外での活用を含めた“学校生活のパートナー”まで、その役割を広げていきます。
そして、今年3月からの臨時休校ですぐにオンライン授業へ切り替えることができたのは、生徒と教員全員がタブレット端末を所持していたからこそ。これまで積み重ねてきた経験が、この春のオンライン授業に活きているのです。
オンライン授業&ホームルーム! 休校期間中の取り組み
休校期間中には、オンラインホームルームとオンライン授業を実施。オンラインホームルームとは、毎朝生徒たちに体調や今の思いを記入したシートをアプリで提出してもらい、先生からコメントを付けて返却するものです。「生徒たちのようすを毎日知ることができ、中には『この本を読みました。おすすめです!』と紹介してくれたり、新たなことにチャレンジしているようすを報告してくれる生徒もいました。楽しくコミュニケーションを取れましたね」と現場の先生。先生方も手ごたえを感じていたようです。
また、オンライン授業に当たっては、先生方が工夫を凝らして動画を制作。たとえば中2の英語の授業では、動画1本を5~7分以内にまとめ、教科書本文を解説したといいます。「指導内容に差が出ないよう、全クラス同じ動画を配信しました。対面授業よりも短時間で解説することで、要点を抑えながらテンポよく学習できるよう意識しました」(田中先生)。
生徒と保護者からの声をご紹介!
生徒:課題の質問をすると先生がすぐに返信してくださり、理解できるまでとことん付き合ってもらえるので、自分のペースで学習できました。オンラインホームルームでは担任の先生やクラスメートたちとコミュニケーションが取れるので、孤独を感じることなく過ごせました!
保護者:毎朝、指定の時間に検温結果などを提出することで、規則正しい生活を保てていたようです。本人も毎回のオンラインホームルームを楽しみにしていました。
生徒の主体的な学びにもICTを活用
ICTを使った授業では、生徒たちの授業の準備・提出時間が大幅に短縮され、時間に余裕が生まれます。そこで日大中高では、その時間を利用して、生徒たち自身がICTを活用するための取り組みを始めています。
「タブレット端末は、活動記録や資料を保存したり、まとめたりすることが容易にできます。そのため、学習定着率のアップや、論理的思考力や判断力、表現力の習得が可能なのです。
特に、普段の授業だけでは身につきにくい『プレゼンテーション能力』の習得にうまく活用したいと考えています。大学入試改革でも記述力や表現力が問われるため、日ごろから上記の力を鍛えることで、その対策にもなると考えています。今後は、ICTを使うこと自体が目的にならないよう、ICTを活用した教育内容をより一層充実させていきます」(中園先生)
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