「プレゼンテーション教育」で社会と向き合う! 進学校は探究もスゴイ
inter-edu’s eye
大宮開成中学校・高等学校(以下、大宮開成)は埼玉県内有数の進学校として知られていますが、教科のワクを超えて「豊かな教養と確かな発信力」を育てることにも力を入れています。そうした教育活動の代表的なものが中学1年生~高校2年生を対象とする「プレゼンテーション教育」です。社会の課題や自分が興味を持った学術的なテーマを探究するという内容で、こちらをきっかけにして希望進路が見つかる生徒も少なくありません。
「社会のイメージを掴む学び」世界規模の問題と向き合い教養が広がる
中学校のプレゼンテーション教育は、気候変動や海洋汚染をはじめとする現代社会が抱えるさまざまな課題から生徒がテーマを選択。グループを組み、そうした世界的な規模の問題の解決策を探ります。今回登場するのは、昨年度末のプレゼン大会「開成文化週間」で中学3年生の最優秀賞に選ばれたグループです。プレゼンテーション教育の魅力をご紹介いただきました。
インターエデュ(以下、エデュ):中学3年生のプレゼンテーション教育では何をテーマに活動しましたか。
M.Nさん:テーマは国連が特に重視する「SDGs(持続可能な開発目標)」の17の目標に関連するものから選ぶ仕組みなのですが、私たちは「食品ロス」に着目しました。現在、世界で生産される食品40億トンのうち、廃棄される食品はなんと13億トンにも上ります。この問題の解決方法を考えました。
M.Oさん:発表の場では、食品の生産者、消費者それぞれの問題点をはじめ、国内外で取り組まれている対策もデータに基づいて示しました。さらに一歩進んで、映像も使ったのが工夫したところです。廃棄された食品から家畜の飼料を製造する工場を見学し、「食品ロス」の現場を撮影したことも活かせました。職員の方から詳しいお話も聞くことができ、フィールドワークの大切さにも気づけましたね。
エデュ:活動の中で発見したことを教えてください。
N.Kくん:国内外で進められている対策の事例を調べていると「日本より他国のほうが進んでいる!」と気づくことも少なくなかったです。「日本は先進国」という漠然としたイメージがあったのですが、課題もあることに気づけました。また、「この野菜のこの部分も食べられるのか!」といった細かいことですが、意外な発見もありましたね。
K.Oくん:自分一人で発見したというより、メンバーで話し合って分かったことなのですが「一つの社会問題はほかの社会問題とつながっている」ということに気づけたのが大きな収穫でした。何か一つを解決すれば、そのことがきっと次につながっていくと考えるようになりました。
「発表が苦手…でも大丈夫!」長所が活かせるグループ活動
エデュ:プレゼンテーション教育に関して苦労することを教えてください。
M.Nさん:発表では大人数を相手にするので、専門的な内容を分かりやすく言い換えて伝えることが大変でした。国語力がかなり問われることもプレゼンテーション教育の特徴だと思います。
K.Oくん:例えば、開成文化週間のプレゼン大会では中学1年生から高校1年生の全員に向けて発表することになります。かなり細かい言葉の使い方まで気を使いますね。緊張もしますが、それだけ達成感も大きいです。
エデュ:プレゼンテーション教育の魅力を教えてください。
M.Oさん:プレゼンテーションはグループで作り上げるものなので、メンバーそれぞれが自分の得意なことを活かして協力できるところが他教科にはなかなかない魅力だと思います。「人前に立つのが苦手」という人も図表や資料作成、調査活動の中で活躍できることも受験生の方には知ってほしいと思います。
N.Kくん:社会問題と向き合う中で、教科のワクに縛られずいろいろな知識を得たり、考えを深めたりすることができることです。「食品ロス」については調べるうちに、社会科、家庭科をはじめさまざまな教科が関わる問題だと分かりましたね。
「堂々と発表できるようになった」「協調性が身に付いた」確かな成長を実感
エデュ:プレゼンテーション教育を通じて、どのように成長できましたか。
M.Nさん:人前で話すのが元々は苦手だったのですが、堂々と発表の場に立てるようになりました。グループでの活動だからかもしれませんが、以前の自分と比べてみると「こんなこともできるようになったんだ」と我ながら意外に思います。
M.Oさん:中学1年生から今までを振り返ると、グループで活動することで協調性が身に付いたと思います。プレゼンテーションの準備をしていると、メンバー同士意見が分かれてしまうこともあります。ですが、そんなときも「全員が納得できるようにするにはどうすればいいか」を考えて動けるようになりました。
N.Kくん:僕はワード、パワーポイント、エクセルが当たり前に使えるようになりました。プレゼンテーション教育の中で友達と教え合った成果です。
K.Oくん:たくさんのデータがあっても、プレゼンテーションの時間は限られているので、伝えるべきことを要約する力、表現力が身に付いたと思います。
「社会と自分を知り、進路選択のヒントに」指導に込めた思い
生徒が自ら課題を見つけ、調査・研究を行うプレゼンテーション教育。高校1年生から内容が変わり、自由なテーマを決め、個人で活動する学術研究となります。今回登場した生徒は「脳科学と絵本の関係」「植物に対する価値観の歴史的変化」など、自分の興味があることをしっかりと見つけられたそうです。主体的に探究を進める力が育つプレゼンテーション教育の魅力について、高校1年生学年主任の片田成貴先生にもご紹介いただきました。
エデュ:プレゼンテーション教育で伸びる力を教えてください。
片田先生:社会問題と向き合う中で、一つの教科に縛られず幅広い教養が身に付きます。また、発信力に加え、人の話を「聞く力」も大きく育ちます。プレゼンテーションを聞くときは、評価シートに沿って優れている点、改善すべき点を一人ひとり考えるからです。
エデュ:プレゼンテーション教育を行う意義を教えてください。
片田先生:大宮開成は各教科の学習にかなり力を入れています。ですから、プレゼンテーション教育は、生徒が自分のやりたいことに向き合う貴重な機会になるのです。社会と自分自身の興味について大きな気づきを得て、進路選択のヒントにしてもらいたいと願っています。
大宮開成ならきっと「強み」が見つかる! 受験生へのメッセージ
最後に受験生へのメッセージを頂きました。
M.Nさん:社会人になってから、仕事の中で何かを発表することは必ずあると思います。その時に活かせる力が身に付く大宮開成はいい学校だと思います。
M.Oさん:大宮開成にはプレゼンテーション教育をはじめ、勉強以外のことにも非常に意欲的な生徒が集まっています。ですが、それは中学受験という難関を超えてきたからこそかもしれません。「勉強が大変なだけ、面白い学校生活が待っている」と思って頑張ってください。
N.Kくん:中学生の段階からプレゼンテーションにここまで力を入れて指導する学校は貴重だと思います。身に付けたことは今の研究活動にもとても役立っています。大宮開成は素晴らしい学校です。入学して後悔したことは一つもありません。
K.Oくん:誰でも自分の長所を活かして活躍できるのがプレゼンテーション教育のいいところです。勉強のリフレッシュにもなりますので、楽しみにしてください。
片田先生:プレゼンテーション教育は教員にとっては、生徒一人ひとりの長所と短所を見つける機会でもあります。皆さんの強みを見つけて、伸ばしていくことをお約束します。
編集者から見たポイント
今回ご登場いただいた皆さんは来年は文理選択をすることとなりますが、研究活動の中で「自分が何に興味があるか」が分かったことが大きなヒントになるようです。プレゼンテーション教育は進路実現にもいい影響を与えるのではないでしょうか。
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イベント名 | 日時 |
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学校説明会 | 2020年12月5日(土) 10:00~ |
小学4・5年生対象学校説明会 | 2021年3月15日(土) 10:00~ |
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