半年かけて探究力を磨く!日大櫻丘の探究学習
inter-edu’s eye
日本大学櫻丘高等学校(以下、日大櫻丘)では、今年度の高1より新たな探究学習が始まりました。その具体的な取り組みと生徒たちの様子、身につく力を、授業レポートと生徒&先生のインタビューを通して詳しくお伝えします。
自分の住む地域をテーマに繰り広げられる探究学習
日大櫻丘の探究学習では、自分が住んでいる地域をより良くする「理想の地域の実現案」をプレゼンテーションすることを目標に、4月から10月までの約半年間、『locus』という教材(マイナビ提供)を用いて学習していきます。
4~5月は、探究の土台となる「問いの立て方」「アイデアの出し方」「課題の解決方法」について学びます。6~7月には、企業のケース動画を視聴して実際の事例を学び、各企業の課題やその背景、課題解決のためのイノベーション案など、具体的な例を知ることで生徒たちのイメージをかき立てます。そして9~10月には、近い地域に住む生徒たちでグループを作り、地域の課題とその解決案をプレゼンテーションする準備を進めていきます。
高1探究学習の様子をチェック ≫各グループの個性あふれるプレゼンテーション
インターエデュが取材に訪れたのは、ちょうど全クラスでプレゼンテーションが行われる日でした。各クラスを回った取材班が、プレゼンテーションの様子をレポートします!
授業開始から10分程度、グループごとに最終打ち合わせを実施。その後、1グループずつ黒板の前に立ち、プレゼンテーションを行います。どのプレゼンテーションも生徒たち独自の目線から語られていて、とても興味深い内容ばかり。その内容を一部ピックアップしてご紹介します。
●東京都港区をテーマにしたグループ
人口が多い点を課題として挙げ、全員に行き届くサービスとして港区専用のVRを提案。住民一人ひとりが使えるヘルスケア機能を付けることで、孤独化の防止やQOL(クオリティオブライフ)の向上が期待できると生徒たちは語ります。そのためにはネット環境の整備が必要、といった実現のための準備にも触れ、現実的な解決案をまとめていました。
●東京都調布市をテーマにしたグループ
小学校のイベントの一つとして防災アプリを作るのはどうか、と提案したグループもありました。アプリの機能として、防災マップや知識クイズなどを提案。さらに、作る過程で小学生が防災について興味を持つことができるというメリットを提示し、説得力を持たせていました。
プレゼンテーションでは、全員で交代しながら説明するグループもあれば、発表担当、プレゼン資料作成担当などと分担しているグループもあり、自由度の高さを感じました。プレゼンテーションの最後には、「自分たちが今できることは何か」「学校での学びをどう活かせるか」など、自身としっかり結び付けて考えを述べている生徒たちが多かったのも印象的でした。各グループ終了後には、生徒たちがiPadでプレゼンテーションへの評価や感想を回答し、客観的なフィードバックも充実していました。
「櫻イノベーション」ではルーブリック評価も導入 ≫ゼロから考える楽しさ!~生徒インタビュー~
高1総合進学クラスに在籍するK.MくんとK.Rさんのお二人にお話をうかがい、生徒の目線からより詳しく探究学習について教えていただきました。
K.Mくんプロフィール
所属クラブ/委員会:アメリカンフットボール部/選挙管理委員会
日大櫻丘を受験した理由:大学付属である点、勉強と部活を両立できる点に魅力を感じたため
在校生だから分かる日大櫻丘の魅力:大学付属のため将来の選択肢が広い
将来の夢:安定した職業に就くこと
K.Rさんプロフィール
所属クラブ/委員会:写真部/学級委員会
日大櫻丘を受験した理由:日本大学付属である点、施設がとてもきれいな点に惹かれたため
在校生だから分かる日大櫻丘の魅力:設備がとても整っていて快適
将来の夢:教師
4~5月に学んだ「問いの立て方」「アイデアの出し方」「課題の解決方法」について、具体的にどのような方法で学習しましたか。
K.Mくんたとえば「ゲーム機」と「運動」を組み合わせて「フィットネスゲーム」を生み出すなど、2つのものを組み合わせてより良い商品を作る、という考え方の訓練をしました。
K.Rさん現在あるさまざまなサービスを融合し、自分で新たなサプライチェーンのサービスを考えました。
6~7月に視聴した企業のケース動画で、印象的だった事例とその理由を教えてください。
K.Mくん「子育てがしやすい社会にする」という課題についての事例が印象に残っています。保護者と保育業界の2つの角度から考え、若い人や保護者の意見を取り入れながら子育てのアプリを作る皆さんの姿勢に感動しました。
K.Rさん仕事量が多く人手が足りない保育者をサポートするために、アプリを作成した事例が印象的でした。ただ単に保育者の数を増やすのではなく、現在働いている保育者の仕事量を減らして園児との時間を増やしたい、という新しい視点に驚きました。
「理想の地域の実現案」で、お二人の所属グループで考えた「課題」と「解決案」を教えてください。
K.Mくん「交通事故が多い」という課題を解決するために、ドライバーの集中力を高める方法を考えました。具体的には、ゴールド免許を持つ人に、飲食店や買い物で使えるポイントを付与するなどの特典を付けるという提案を行いました。
K.Rさん「犯罪率が高い」「高齢者が多い」という課題に対して、犯罪率が高い場所をマップで表示するアプリや、高齢者用のタクシー配車アプリを考えました。
探究授業の感想をお聞かせください。
K.Mくんグループワークを計画的に進めるのが難しかったです。僕たちのグループではみんなで役割分担をし、各自が別のタスクに専念することで効率化を図りました。
K.Rさん地域の課題解決という大きなテーマにやりがいを感じました。解決案のアイデアにはかなり悩みましたが、ゼロから自分たちで考えた今回の経験は今後にも活かせると思いました。
プレゼンテーションで感じた生徒たちの成長~先生インタビュー~
最後に、高1総合進学クラス担任の大貫明弘先生と山内康司先生に、生徒たちの様子と今回の感想をうかがいました。
探究学習に取り組む生徒たちの様子はいかがでしたか。
大貫先生最初の問いの設定から苦戦していたようですが、グループ内で会話を繰り広げて共通点を見出し、最終的には皆うまくまとめていたと思います。
山内先生単なる調べ学習で終わらないためには、やはり問いと解決案の設定が大切になります。今回は生徒たちにとって初めての取り組みでしたが、これからも探究学習は形を変えながら続いていくので、3年間を通して身につけてほしいですね。
プレゼンテーションの率直な感想をお聞かせください。
大貫先生発表時間を最低5分と設定していましたが、意外にも7〜10分かけてたっぷりと話せるグループが多く驚きました。限られた準備期間の中で、よく調べたなと感心しました。
山内先生資料探しやプレゼン資料作りは、iPadを駆使して効率的にこなせていたと思います。プレゼン資料はどのグループもとても上手で、さすが現代っ子だなと思いました。
日大櫻丘での探究学習を通して、生徒たちに身につけてほしい力は何ですか。
大貫先生資料を読み取るときなどには、各教科で学んだことを総動員する必要があります。今まで学んできたことをどう活かすか考える力を、さらに深めていってほしいです。
山内先生クラスメイトと話をする機会が多い授業なので、自分の考えを発信したり、人の話をよく聞く力が大切です。皆との共同学習としての学びも深めてほしいですね。
編集後記
日大櫻丘の探究学習について、校長の大木治久先生は「本校の探究学習は独自色が大変強いのが特徴です。ここでしか学べない探究力を、ぜひ身につけてほしいですね」と語ります。10月以降の半年間は、探究テーマを英字新聞にまとめることを目標に探究学習を進めていくとのこと。今後も日大櫻丘が展開する探究学習から目が離せません。
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