2020年度「中学入試問題の傾向と対策」
国語(一般入試)
出題の意図・ねらい
受験生諸君の基礎的な力を試そうとしています。ことばの問題では、基本的な語句の力を見ています。文章題では与えられた文章を正確にとらえ、設問の指示にしたがって答えられるかを見ます。例え難解な文章が出題されたとしても、最後まで粘り強く解答していく力をつけましょう。
問題の構成
レギュラークラスに入学する生徒を想定した問題です。問題形式は漢字の読みと書きの問題10点ずつ、2000字程度の読解問題2題(物語文と説明的文章)を40点ずつ出題します。対策としては複数年度の過去問を解き、問題傾向に慣れていくことです。漢字の問題は、日本漢字能力検定の5級程度の問題を出題するので、確実に点数をとれるように勉強しておきましょう。
受験生へのメッセージ
本校の過去問題を中心にたくさんの問題を解くことが合格へのカギとなります。しかし、問題を解くことばかりに気が行くと、焦りが募ってきます。1題を解いたら、本文を音読してみましょう。音読は一語一句を丁寧に読む練習になります。また、本文全体をとらえることもできます。根気のいる作業ですが、努力に勝るものはありません。続けていれば、自分の中に変化が現れてきます。体調にはくれぐれも気を付けてください。
国語(特待・アドバンスト入試)
出題の意図・ねらい
受験生諸君の総合的な力を試そうとしています。ことばの問題では、柔軟に文章を読めているかを問うために、基礎的な意味だけでなく、文中にあってその語句がどのような意味で使われているのかを問う問題を出題します。読解問題では、その文章を読んでどのように受験生が理解したかを問うために、自分の考えを記述する問題を出題します。
問題の構成
アドバンストクラスに入学する生徒を想定した難度の問題で、問題形式は漢字の書きの問題を10点分、3000字程度の読解問題2題(物語文と説明的文章)を45点分ずつ出題します。一般入試よりも難しい内容で偏差値50〜55程度の生徒が受験することを想定しています。内容も一般的な読解問題に加えて、グラフの読み取りや文章を読んで自分の考えを記述させる問題を出題するなど、2020年の大学新テストを意識した内容です。
受験生へのメッセージ
受験対策としては、複数年度の過去問を解いて聖学院の問題傾向に慣れること、普段から読んだ文章を200字程度でまとめること、物語文や説明的文章だけでなく新聞などのグラフが記載されている文章にも目を通していくことなどです。漢字の問題は、日本漢字能力検定の4級〜5級の問題を出題するので、確実に点数をとれるように勉強しておきましょう。
算数(一般入試)
出題の意図・ねらい
小学校で学ぶ算数の基本の確認をします。計算のルールを理解していることは、中学や高校で数学を学ぶ上で、必要不可欠なルールです。また、比の概念は今後の中学数学や高校数学でさらに発展して学ぶ内容です。小学校で学ぶ割合の問題などにもしっかりと対応できるようにしておく必要があります。
問題の構成
大問1:計算問題ならびに単位換算
計算のルールの確認、そして単位の関係を理解しているかを問います。分数の計算、小数の計算、計算の順序などの基本的な問題です。単位換算は、長さ、重さ、広さ、時間などの分野から出題します。
大問2:一行問題
小学校で学ぶ基本的な文章問題が並びます。よく出題されるのは、時間・距離・速さ、割合、平均、面積、体積、数え上げの問題などです。比の問題も含まれます。
大問3〜5
一行問題を膨らませた問題構成です。内容は年によって変わりますが、過去問で見られるような問題はほとんど毎年のように扱われています。基本的な内容が多いですが、文章を読んで内容を理解することが必要になります。図形の問題も必ず一問出題します。面積、体積、角度などの基本内容を確認しておきましょう。
受験生へのメッセージ
一度は見た事のあるような問題が多いはずです。あわてず確実に解く練習をしておきましょう。途中式を書かせる問題はありませんが、日ごろの練習では必ず途中式を書き、間違えたときはどこで間違えたのか、自分で探し出せるようになるとさらに力がつきます。計算はケアレスミスをしないこと、文章問題は最初から最後まできちんと読むこと。これが大事です。文章を最後まで読まずに勝手に問題を理解したつもりで解くと、思わぬ落とし穴に落ちてしまいます。図形の問題は自分で図を書けるようにしておくのも大事です。基本に忠実に。それが一番の近道です。
算数(特待・アドバンスト入試)
出題の意図・ねらい
中学・高校で学ぶ数学は、算数以上に自分で考え悩むことが大事になってきます。そのため、入試問題もあきらめずに問題に取り組むことができるか、悩み考えることができるかなどを問います。途中式を書く問題も出題し、自分の考えをきちんと相手に伝えることができるかどうかも見ます。これができるようになっていれば、中学・高校数学でつまずいたりしても、あきらめずに立ち向かい、乗り越えていくことができるでしょう。
問題の構成
大問1:計算問題や単位換算
複雑な計算問題を正確に着実に解けるかどうかを問います。また、ただ力ずくで計算するのではなく、工夫して正確な計算をする努力も必要です。ですので、途中式を書かせてどのように工夫したのかを見る問題を出題します。
大問2:一行問題
内容は問題集などでよく見かける問題ですが、複数のステップを踏んで答えを出すような問題を出題します。問題文を読み、何を聞かれているのか、何を求めなくてはいけないのかを、正しく把握することが必要です。
大問3〜5
問題内容を読み取り、その中から必要な条件を取り出して、解けるかどうかが試されます。問題文が長かったり、条件が複数あったりする問題も出題しますので、自分で問題内容を整理して、解いていくことが必要です。途中式を書かせる問題も出題します。また、図形の問題も含まれます。
受験生へのメッセージ
問題を解くだけでなく、その中で必要とされる知識や方法がどのようなものなのかも考えながら解いていきましょう。また、公式をただ暗記して数字を当てはめるのではなく、なぜその公式は使えるのかを考えたり、公式を忘れてしまっても解けるようにしておいたりすることも大事です。文章を読んで、自分なりに書き直して整理することも日ごろから練習しておきましょう。必要とされていない問題でも、途中式を書く練習をしておきましょう。間違えたときも、途中式を見直してどこで間違えたかを自分で探し出すことができるようになると、数学の力は確実についていきます。
理科(一般入試)
出題の意図・ねらい
小学校で学んだ内容をしっかり理解しているかを確認します。これまで通り、物理、化学、生物、地学の4分野から構成される大問4問の形式で、問題集の基本レベルの内容が中心です。本校では、実験を授業に多く取り入れています。基本事項が理解できていないと、実験の意図もわからなくなってしまいます。そのために、まずは知識を確実なものにし、そこから簡単な計算などもできるようにしてほしいと考えています。
問題の構成
大問数は4題、小間は大問ごとに10題前後出題します。(大問の順番は必ずしも以下の通りではありません)
【大問1】物理分野
てこ、電流のはたらきに関する出題です。
【大問2】化学分野
気体、水溶液、状態変化に関する出題です。
【大問3】生物分野
種子、生物と季節に関する出題です。
【大問4】地学分野
天体、岩石に関する出題です。
受験生へのメッセージ
各大問には、基本的な知識や法則を問う問題が多く、発展的で難易度の高い問題の割合は多くありません。まずは基本的な問題でミスのないように、ていねいに解答することが大切です。過去問などを参考に、問題集でよく演習をしておいてほしいと思います。
理科(特待・アドバンスト入試)
出題の意図・ねらい
小学校で学習する、物理、化学、生物の3分野から出題します。これまで通り、基本的な知識を重視しますが、それに加えて思考力や読解力を要する問題も出題します。本校では、実験などを通じて結果を表やグラフにまとめ、そこから何がわかるかを読み取っていき、さらに知的好奇心を膨らませていく授業を展開しています。そのため入試では、単なる知識だけでなく、表やグラフの読み取り、計算問題、記述問題も出題します。
問題の構成
大問数は3題、小問は大問ごとに8題前後出題します。(大間の順番は必ずしも以下の通りではありません)
【大問1】物理分野
電池と電球、光、ふりこに関する出題です。
【大問2】化学分野
水溶液、酸とアルカリ、ものの燃焼に関する出題です。
【大問3】生物分野
環境変化、水産物、植物に関する出題です。
受験生へのメッセージ
まずは各分野の基本的な知識や法則をしっかりと理解し、答えられるようにし、基本問題を落とさないようにしてください。問題文をきちんと読解し、現象をしっかり分析できることも必要です。その上で、表やグラフにまとめたり、計算問題、記述問題に答えられるように訓練を積んでほしいと思います。
社会(一般入試)
出題の意図・ねらい
小学校で学習する社会科の3分野、地理・歴史・政治を全て出題します。これまで通り、基本的な内容を問う設問で、選択式の問題を6割以上出題します。小学校の教科書の内容だけでは不十分ですが、あまり詳しすぎない程度の参考書、まとめ本によって、系統的な知識をつけておくことによって対処できる内容を出題します。問題レベルなど、これまでの過去問題を参照して頂きたいと思います。
問題の構成
大問3題から構成し、地理分野、歴史分野、政治分野、各1題ずつです。原則として小問は地理・歴史分野は各20題、政治分野は10題。計50題の出題となり、配点は各2点です。それぞれの大問では、分野を融合する問題が出題される可能性があります。
大問1番は地理分野の問題です。今年度の出題テーマは、「各都道府県の特徴」と「日本の自然」です。
大問2番は歴史分野の問題です。対象とする時代は、古代の推古天皇の政治以降としており、原始時代は出題いたしません。なるべく出題する時代を偏らせず、広いタームでの出題を目指しています。参考までに今年度の出題テーマは、「明治維新150年」に関するものと、「歴史雑題」(私・ぼくのつぶやきシリーズ)についてです。
大問3番は政治分野の問題です。今年度の出題テーマは、「憲法」と「基本的人権」です。選択式の問題では、これまで通り、記号による解答ではなく、選択肢はありますが、それを解答欄に書き写す、という形の選択問題を主とします。漢字などは正確に書けるように、用語を書く練習をしておくのはもちろんのこと、問題をひと通り終えたら、きちんと見直しをする習慣をつけて欲しいと思います。
受験生へのメッセージ
これまでの出題から大幅に難易度を変更する予定はありません。基礎的な力をしっかりと身につけて欲しいと思います。また模擬テストなどを受けた際には、同じ問題が出されたたら解答できるように復習する習慣、問題を解き終えた後に必ず見直しをする習慣、この二つを身につけて欲しいと思います。実際の受験の際には、この点が不十分な受験生が見受けられます。
社会(特待・アドバンスト入試)
出題の意図・ねらい
小学校で学習する社会科の3分野、地理・歴史・政治を全て出題します。但し、1題の問を分野ごとに区切らずに、分野を融合した出題も行うことがあります。4割以上を基本的な内容の出題とし、残りを記述問題及び難易度の高い用語などを問う出題を予定しています。昨年度同様、1行程度の記述問題を1回の入試の中で必ず出題します。問題レベルとしては、中学受験用のあまり詳しすぎない程度の参考書、まとめ本に収録されている内容からは逸脱しないように心がけています。
問題の構成
大問3題から構成し、主として地理分野、歴史分野、政治分野から各1題ずつです。小問は配点を1問1〜2点、1行程度の記述問題は1問2〜3点とし、大問1題の配点は、地理・歴史を中心とした分野を各20点、政治を中心とした分野を10点とします。出題数はおよそ前者が14問程度、後者が7〜8問の予定です。先にも述べたとおり、分野を融合した出題も予定しています。
大問1番は、地理分野を中心とした問題です。特定の地域やテーマに沿って作問します。
大問2番は歴史分野の問題です。対象とする時代は、原始時代から平成時代まで全時代を出題対象とします。時代をある程度絞った問題が出ることもあります。一方、一つのテーマについて時代をまたがった問題が出されることもあります。
大問3番は、政治分野を中心とした問題です。正誤判定など正確な知識を問う問題を出題します。また、「グラフや表などの資料の読み取り」形式の問題が出されることもあります。問題については、一般入試の問題と同様に、記号をつけずになるべく解答欄に用語を書き写す形の問題を出題します。記述式の問題同様、きちんと解答を書くことができなければ、得点になりません。時事的な問題も出題することがありますので、日頃から新聞などには接しておいて欲しいと思います。
受験生へのメッセージ
一行程度の記述問題は、練習をしましょう。地理分野では「用語の説明」、歴史分野では「できごとの原因・経過・結果」、政治分野では「制度やしくみ」などが問われることが多いです。実際に模範解答を自分で作ってみる練習をしてみると良いでしょう。また、どのような問題でも演習をするときには、ノートなどに書いてみることをおすすめします。頭の中では分かっているつもりでも、いざ答案を書いてみると書けないということがよくあるからです。
ものづくり思考力入試
出題の意図・ねらい
2科4科の試験では測ることの難しい、思考力・表現力・主体的に学ぼうとする力を評価する。
①考えていることを形で表現し、文章にまとめる力。
②自己について客観的に考えることができる力。
③資料を読み取り、そこから問題点を見つけ出し、解決方法を考えられる力。
④他者の作品や発表から学ぼうとし、自らの考えを改善する姿勢。
問題の構成
①自己について問われる内容。LEGOで作品をつくり、その説明を作文に書く
②社会課題をグラフや文章から読み取り、そこから課題を発見・整理し、解決方法を考える内容。解決方法をLEGOで作品をつくり、その説明を作文に書く
③②の取り組んだ内容について、客観的に振り返る作文を書く
③②の作品を他者(4~5人のグループ)へ説明し合い、その後自分の気づいたことや改善したいことをシートへ記述する(採点対象)
受験生へのメッセージ
対策は、1日10分ぐらいLEGOを使って作品を作り、その作品は何を表しているのか言語化、文章化し相手に伝えることを行ってみてください。また、ニュースなどにも目を向け、世界で起きていることにも関心をもって過ごし、そのことについてお家の方と話をする機会を持ちましょう。
M型思考力入試
出題の意図・ねらい
M型思考力入試では、写真やグラフ・表など様々な材料を利用し、いろいろなテーマについて考えてもらいます。対照的なものや似ているものを比較することで、違いを見つけたり、共通することを見つけたり、あるいは表やグラフから問題点を見つけ出したり、その中で問われる内容に関しての解決策を考えてもらいます。問われているのは知識の量ではなく、思考の過程です。与えられた条件の下でどれだけのことを考え、新しい何かを見つけ出すことができるかどうか。「正しい答え」を書こうとするのではなく、まずは条件を読み取れること、そこから考えられることを書き出してみましょう。それを通して、今までとは異なる視点が見つかることがあります。これは、聖学院に入ってからも大事な視点です。自分とは異なる意見、異なる視点を通して、さらに成長していける人になってほしい。そういう願いが込められたテストです。
受験生へのメッセージ
日頃から、「なぜ?」「どうして?」という疑問を持ち、自ら調べるようにしてみましょう。すぐに答えが出なくても、考え続けることが大事です。普段の何気ない生活の中にも様々なヒントが隠れています。ニュースを読んだり見たりしておくのも良いでしょう。そして、そのことを家族の方々と話題にしてみてください。
難関思考力入試
出題の意図・ねらい
ものづくり思考力入試で重視している創造的思考力と、M型思考力入試で重視している批判的思考力、そして双方で重視している協働的思考力の3つを問う入試として、2018年度入試より導入いたしました。
ブロック技術を問うのではなく、何故その形?その色?といった創作意図を説明する力を問います。情報抽出、創作表現、言語表現といった総合的な思考力を問う入試です。
また、公立中高一貫校の入試問題には「作文問題」が多いですが、その力がいかせるのが難関思考力入試です。男子は女子に比べて、頭の中の考えを文章にすることを苦手にしている人が多くいます。ところがブロックを使って表現してから文章を書くと、スムーズに言葉が出てきます。公立中高一貫校対策をしている男子受験生にとっては実力の発揮しやすい有利な入試となります。
問題の構成
設問の流れは以下の通りです。
①グラフや文章、写真、そして音声情報から情報抽出する問題
②情報を比較分類し、課題を整理する問題
③ブロックを使って課題解決策を作成する問題(ブロック作品)
④そのブロック作品を文章で説明する問題(作文)
⑤④を異なる視点で客観的に考える問題(作文)
⑥③の作品を他者(5~6人のグループ)へ説明し、その後自分の発見したこと、改善したいことを各自記述する
⑦面接で作品について簡単に説明していただき、面接官の質問に答える
受験生へのメッセージ
国算理社4科の試験対策が思うように準備できていない人、公立中高一貫校の受験を考えている人、是非受験してみてください。私たちは皆さんの発想や好奇心、チャレンジ精神などを大切にしたいと思い、思考力入試を行っています。日常の中で様々なことに興味を持ち、自分の好きなことを、時間を忘れるくらい取り組み、新しいことにチャレンジしてみてください。皆さんの積極的なチャレンジをとても楽しみにしています。