inter-edu’s eye
芝中学校・芝高等学校(以下、芝中高)の校外学習は、学びや人格形成といった要素に加えて“楽しむ要素”が盛り込まれていることが特徴で、毎回、生徒にとびきりの思い出を残してくれます。2017年秋には、中学1年生が動物園へ行き、中学2年生は河原で化石採集をしました。理科がテーマの校外学習について、引率した2人の先生からお話をうかがいます。
動物を観察してクイズに挑戦!
中学1年次は生物の授業の一環として、1学期には磯で節足動物を、2学期には多摩動物公園で脊椎動物を観察します。生物を担当する柊先生に、現地での校外学習についてうかがいました。
柊先生:生徒は現地に集合した後に、グループ行動で園内を見学し、事前に配布されていた冊子に動物の分類や学名を記入していきます。冊子には、インドゾウとアフリカゾウの見分け方など動物についてのクイズが載っているため、実物を見たり、園内の解説文を読んだりして解答を探り、冊子を完成させることが当日の課題です。そして後日、生徒は校外学習で学んだことを基に、各自好きなテーマを決めてレポートを作成します。
体験による学習は、楽しいことを織り交ぜると、もっと深い課題を追求したくなるものです。「楽しい」だけで終わらせないために、課題を設定した校外学習をすることで、生徒は「楽しさを含めた学び」を実感します。受験勉強をしてきた中学1年生には、知識量はあっても見たり触れたりした経験が乏しい生徒が多い。そこで、校外学習で実物に触れて、頭の中の知識が本当だと確かめる。そのとき生まれる学習効果はとても大きいんですよ。
本校には、学校が好きな生徒がたくさんいます。芝中高は校外学習が多く、中学1年次はその回数も多いので、学校を好きになる理由は校外学習も大きく関わっているのかなと思います。
サメの歯の化石を探せ!
化学と地学を履修する中学2年次は、化石採集を行います。場所は化石がよく見つかるという埼玉県秩父市大野原町の河原。当日のようすについて、物理・化学を担当する三枝先生にうかがいました。
三枝先生:生徒は二人一組になり、まずは河原で石を50個採集。そして資料を見て、一つひとつが何の石か鑑定しながら化石を探します。化石の中でも、サメの歯の化石を見つけることが難しいと言われており、みんなでそれを探そうと頑張りましたね。3時間ほど作業した後は、生徒持参の野菜を入れた教師お手製の豚汁をみんなで食べました。
校外学習の目的は、生徒に疑問を持たせることだと思います。化学や物理など、分野はあっても実は全てつながっているのが理科という教科。このため、芝中高では“全部含めての理科”を教えていこうという考えがあります。そして、理科の学びで実物に触れる利点は、生徒が好奇心を持ち、実生活へのつながりを知ることです。例えば、石灰岩を触り、粉っぽいところが何かに似ていると考え、それがチョークの材料であることを知る。
このように、つながりを持った知識は生徒の頭にしっかり記憶されるんです。生徒には、各地の校外学習で実物に触れて、好奇心につながるたくさんの疑問を持ってもらいたいですね。
好きなことを追求できる最高の環境
受験生へのメッセージとして、先生方に芝中高の魅力をうかがいました。
柊先生:のめり込むほど好きなものがある子にとって、居場所がある学校だと思います。進学校であることを一因に、どんな分野であれ、知識を持った人間に誰もが一目置くからです。自由を尊重しようとする姿勢が学校にあるところも魅力ですね。
三枝先生:校外学習は生徒に合わせて一から企画するので、自由度が高く、他校ではまず行われていないような内容のものがあります。また、教師のチームワークがよく、校外学習でも何でも教師が楽しんでいて、そんな大人の背中を見て生徒が育っている学校だと思います。