「遵法自治」と「共生」に根付いた芝の人間教育
inter-edu’s eye
伝統ある進学校、芝中学校・芝高等学校(以下、芝)は仏教系の学校であり、「遵法自治(じゅんぽうじち)」という校訓が受け継がれています。この校訓を汲んだ芝の人間教育や行事について、教頭の佐藤元紀先生が語ってくださいました。
校訓と芝の校風
本校の歴史は、1887年に設立された浄土宗学東京支校が芝中学校となった1906年に始まります。そして、第3代校長・渡邊海旭(かいぎょく)先生が定められた校訓「遵法自治」によって、本校の礎は確固たるものとなりました。宇宙の真理にしたがって自らを治めるというこの校訓は、今日にまで続く芝の人間教育の基盤です。
また、浄土宗で用いられている「共生」(ともいき)という言葉も、本校の大事な柱です。「共生」とは、いまあるすべての命の連綿としたつながりを大切にする考え方です。自らを治めるばかりでなく、自らを生かしてくれている存在を大切にする心は、関係性を育み、社会性を身につけた青年となるために必須のものです。
これらの基盤が学習のみならず、校外学習、体験学習、学園祭、運動会、宗教行事といった学校生活のすべてに満ちており、男子校でありながらギスギスしておらず、生徒が優しい、あたたかい校風を生み出しているといえるでしょう。
遵法自治と共生が満ちた学校行事
学園祭
学園祭は高2を頂点とする実行委員会が、テーマ、企画、参加団体集めから当日までのすべてを仕切ります。当日、激しいにわか雨に見舞われると、実行委員は校内から飛び出して校庭のお客さまを速やかに校舎に誘導します。こちらが指示するのでなく、彼らがさっと動く姿に、私はいつも遵法自治の四文字を思います。
運動会
高3の実行委員会が、競技とルール、生徒の誘導順路も決めて、開会式から閉会式まで混乱のないように進行表を組んで運営します。高3生にとって最後の大きな行事であり、最終競技は高3の棒倒しで盛り上がります。ただし、これも天候によってやむなく途中で中止の判断をしなければならないことがあり、高3生にとっては何よりもつらいことですが、実行委員長の判断が下ると、下級生を帰し、片付けを行い、きっちりと運動会を締めくくります。そんな彼らの流す涙にも遵法自治が染みついています。
宗教行事
本校には「御忌参拝」「宗祖日」「大宗祖日」という宗教行事があります。
「御忌参拝」は、浄土宗宗祖である法然上人のご命日の法要で、全校生徒が増上寺の大殿(だいでん)に参拝します。「宗祖日」とは毎月の法然上人のご命日のことで、ご命日前後に増上寺の道場で、静坐と講話の修養を実践します。「大宗祖日」では、法然上人の祥月命日である1月25日に、本校講堂で法然上人ならびに本学園関係の方々の遺徳を偲び、感謝します。
こうした行事を重ね、お十念(※)を何度も唱えてゆくうちに、生徒にとって自己を見つめ、他のために努めて生きるための力を涵養する時間となります。
(※)「南無阿弥陀仏」というお念仏を10回唱えること
周りの存在を認めて感謝する青年に
入学してすぐに遵法自治が身につくはずはありません。しかし、高校生になると、自分を支えてくれる周囲をはっきり意識し、感謝の気持ちも自然と深まります。そして卒業時には、社会に向けて歩いてゆく人間としての十分な脚力を備えた青年になります。
私は、卒業生にもやはり「遵法自治」「共生」に基づく大人になってほしいと思います。社会人になってからも、ふとしたときに「これが遵法自治ということかもしれない」と発見する機会を重ねて、自分をさらに日々成長させてゆく。そして、強い心と優しい心を兼ね備えた大人として生きてほしいと願っています。
イベント日程
イベント名 | 日時 |
---|---|
東京私立中学・高等学校 池袋進学相談会 |
2020年10月25日(日) 10:00~16:00 |
学園祭 | 未定。決定次第学校公式サイトでご連絡します |
学校説明会 | 未定。決定次第学校公式サイトでご連絡します |
※状況によって変更がある場合もあります。あらかじめご了承ください。
連載コンテンツ
“自分ではない誰か”を想像する鎌倉校外学習
他者理解がテーマの鎌倉校外学習をピックアップ。プレゼンやチラシ制作も盛り込んだ内容について、学年の先生にうかがいました。記事を読む≫
生徒の笑顔弾ける芝の校外学習
生徒のために先生が必死に企画を練る「校外学習」。芝生に大好評のイベントの中から、多摩動物公園校外学習をピックアップします。記事を読む≫
「芝が大好き」といえる学校に 先生が語る中1生への思い
今年度294人の新入生を迎えた芝中高。彼らは今どのような学校生活を送っているのでしょうか。学年主任と副主任の先生にお話をうかがいました。記事を読む≫