生徒を信じ、個々の可能性への「気づき」をもたらす
inter-edu’s eye
創立100周年を迎えようとしている淑徳巣鴨中学高等学校(以下、淑徳巣鴨)。
今春、校長に就任された夘木幸男先生は「気づきの教育が叡知の包みをひらく」と信じています。今回は夘木先生に、これからの淑徳巣鴨の教育について、お話をうかがいます。
伝統の教えのもとに学び続ける
長年受け継がれている校訓は「感恩奉仕」。「感恩」とは、自分が他からの多くの恩を受けて生かされていることに感謝すること。「奉仕」は、感恩によって生かされている自分を他のために役立てていくこと。そして、その奉仕は富むものから貧しいものへ手を差し伸べるのではなく、「Together with him」 ― 援助する側も援助される側も平等、対等のもと向上していかねばならないと説いています。そうした時代が変わっても必要な精神を根幹としながらも、100周年を機に夘木先生は、これからの社会で学び続けるため、生徒の「気づき」を促す教育を重視していくといいます。
自身のもつ可能性に気づかせる
「気づき」を促す教育とはどのようなものなのでしょうか。可能性を「包み」と表現する夘木先生。ご自身の教育感とともにお話をうかがいました。
―先生の考える気づきの教育とはどのようなものですか。
生徒は誰もが必ず得意なことをもっていて、大きな可能性を秘めています。言うなれば生徒は可能性のつまった「包み」をもっているようなもの。しかし、そのことに生徒たちは気がつかない。学校でのさまざまな経験を通して“個人のもっているものは何なのか”を気づかせます。そしてその「包み」を生徒自身でひらいていくのです。教育とはその包みをひらくまで、教師が生徒にさまざまなきっかけを示すということなのではないでしょうか。
―生徒たちは包みの存在にいつ気づくのでしょう。
タイミングは人それぞれです。何事も早いから良い、遅いから悪いというものではありません。勉強においても問題を10分で解ける生徒と20分で解く生徒がいた場合、私はどちらが優秀かの線引きはしません。コース分けも生徒の勉強スタイルで分けているといってもよいかもしれません。自分にあったペースで学んでこそ、熟考が可能となり、そしてその先に「気づき」があるのです。
私たちは生徒がどのタイミングでも自分の可能性に気づけるよう、日々の教育活動に取り組んでいます。
―具体的にはどのような教育なのでしょうか。
教師からの一方的な授業ではなく、相互的な探求型授業の拡充を図ります。教師のトリガークエッションから始まり、生徒たちが常に自分に、友達に、教師に問いかけ、そこから考え答えを見つけるような授業を目指しています。
生徒たちにとって分かりやすいのは、社会で活躍する先輩から話を聞くなどのキャリア教育やよい意味でカルチャーショックを受ける海外研修でしょう。社会や異文化を知るとともに、自己を省み、自身の可能性を発見するよい機会だと思いますね。
―生徒と接する際に大事にしていることはありますか。
「受容と投げかけ」です。生徒の話を先入観なしに、真っ白な状態で聞き、受け入れます。それは、学習面、生活面、進路面、すべてにおいてです。
まず子どもたちの声をそのまま受容する。決して「そうじゃない」と断定的な表現や否定、強制をせず、「先生はこう思うよ。こう考えるけどね」と応える。そういった受容により、受け止めてもらえたという安心感が生まれ、先生はあのようにいっていたけれど、どうなのだろうと自身で考え、やがて自分なりの答えを見出すと思うのです。
子どもたちの能力を私は信じていますから。教師は生徒を変えるのではなく、言葉でその包みに気づかせ、ひらいていく手助けをするのです。
そのために私たちは、常に研鑽していなくてはならない。教師は革新的に知識や経験を得ていく必要がありますが、あえて生徒たちの前ではそれを出さず「なぜなのだろうね」と投げかける。受容するだけでなく、教師の経験を越えさせるための準備や仕掛けの工夫をするのです。それをなくして、生徒たちの前には立てないと思います。
今年の生徒とうまくいったからといって、次の学年の子たちでうまくいくとは限らない。その子の声をそのまま受容し投げかけていく、そのたびに生徒と信頼関係を築くのが私の信念です。
受験生へのメッセージ「必ず可能性はある」
自分に自信がなかったり、勉強があまり好きではなかったりするお子さんも、この学校に来たら花ひらきます。今、お子さまたちが自分自身の将来の夢や希望など漠然とした状況にあったとしても、本校の気づきの教育がきっかけとなり、ブラッシュアップできると確信しています。
学校説明会でも保護者の方にお話をすることがありますが、「お子さまとちゃんと会話をしていますか?」と。「楽しかった?」「うん」といった簡単な会話ではなく、誰が何をしてどう楽しかったのか、そして何を感じたかを常に問うことが大切なのです。淑徳巣鴨ではそういう多くの問いかけの中で思考力・判断力・表現力の基礎を作り、自分の可能性を必ず見つけることができるでしょう。
編集者から見たポイント
校長の穏やかな口調と、相手を信じ、受容してくれる安心感。お話をしていると自分まで生徒になったような感覚になり、自身にも大きな可能性があるように思えてきます。生徒は信じてもらえているという実感があってこそ、同時に先生を信じ、その指導に感謝し、自身の可能性を伸ばしていくことができるのではないでしょうか。
これからのイベント
開催イベント | 開催日時 | 予約 |
---|---|---|
中学校 第1回学校説明会 | 6月30日(土) 14:00~15:30 |
必要 |
中学校 オープンスクール | 8月5日(日) 10:00~14:00 |
必要 |
中学校 第2回学校説明会 | 9月7日(金) 19:00~20:30 |
必要 |
高等学校 第1回学校説明会 | 7月7日(土) 14:00~15:30 |
不要 |
高等学校 第2回学校説明会 | 9月8日(土) 14:00~15:30 |
不要 |
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