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10月14・15日、秀明大学学校教師学部附属 秀明八千代中学校・高等学校(以下、秀明八千代)で第32回文化発表会・光風祭が開催されました。前回の連載では、光風祭に向けて、「PGTプログラム」の学習発表の準備に奔走する生徒のようすを取材しました。
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今回は、来場者で賑わう光風祭を訪れ、生徒の努力の成果をレポートします。
いよいよ本番! 努力の成果をみんなで発表
手作り味噌から学ぶ文化
中学1年は、和食から日本の文化を知ることをテーマに、6月から作り始めた味噌(米・麦・豆・玄米などの麹を使用)を樽ごと展示。
併せて、「だしの原料について」「鰹節の作り方」「だしの取り方の研究」など、和食についてまとめた資料を展示しました。
味噌作りについて、生徒は「大豆をつぶす作業に苦労しました」「作り始めのころは、カビを生やさないよう気をつけました」と語っていました。
また、古来より伝統の知恵として、ことさら意識することなく微生物の発酵を利用して日本人が作り続けてきた味噌の研究から、科学的な視野を広げることができたようです。
生徒に大人気!イギリス英語研修
中学2年はイギリス英語研修での体験談や、日本とイギリスとの違いについて調べ、ポスターにまとめた資料を展示します。研修時の生徒のようすは、壁一面に貼られた写真や、現地での体験をDVDで紹介するコーナーで詳しく知ることができました。
イギリス英語研修は、声をかけた中高生が口を揃えて「楽しかった!」と即答するほどの人気プログラムです。
研修前は全然英語を話せなかったという生徒が、「2週間も現地にいると耳が慣れて、聞き取れる単語を頼りに、会話の内容を自分なりに解釈できるようになりました。帰国後はネイティブの先生と会話ができるようになったり、英検のリスニングが得意になりました」と実体験を語ってくれました。
職場体験をポスターで報告
中学3年の学習発表は、「職業研究プロジェクト」で行った職場体験について紹介しています。実習先は、商業施設・JA・消防署・介護老人福祉施設の4か所で、現場で経験したことや、事後学習の調査内容をまとめたポスターを展示します。前回の取材時には準備に追われていた生徒たちですが、放課後にみんなで協力しながら作業して、無事本番に間に合ったそうです。
ポスター制作について、JAの職場体験をした生徒は、「発表する内容はみんなで話し合って決めました。分からないことをインターネットで調べたり、職場体験のときに取ったメモを見返したり、いろいろな知識を持ち寄って作りました」と教えてくれました。一方、商業施設で実習をした生徒は、「一生懸命働く大人を間近で見て、働くことの大変さを実感しました」と感想を語りました。
工夫を重ねてきた企画・展示の数々
光風祭では、クラブ活動や高校クラス別による発表も行われます。各教室では、日々の活動の成果を紹介する作品が展示されました。
光風祭に保護者会で参加していた役員のお母さんは、「光風祭は、学校で生徒が過ごす実際のようすが垣間見える文化祭だと思います」と語ります。会場にいた生徒は、「部員はみんな仲がよい」「先生や先輩との距離が近く、何でも話せるし、相談しやすい環境」など、クラブ活動を通して実感した学校の魅力をたくさん教えてくれました。
職場体験から考える私たちの未来
中学3年の担任を務める山内先生に、職場体験の目的や成果などについてうかがいました。
教科横断型の学び
これからの時代は、1つの科目にこだわらない教科横断型の教育が主流になり、PGTプログラムはその流れを先取りした学びです。中学1年が研究した「だし」で言えば、家庭科・理科・地理の授業などの異なる切り口で指導することができるように、1つのテーマについて各教科の先生が協力して授業をすることで生徒は自分が学んだことがいろいろな教科に関わっていることを知ります。職場体験に関しては、国語の授業でお礼状の書き方を学び、実習でお世話になった方へ送る手紙の文章を考えました。
職場体験での収穫
中学3年では当然ですが、本格的に1日を通して働いた経験がありません。商業施設で働いた生徒は、商品の補充や陳列を2、3時間続けて行いました。こうして延々と同じ作業をすることで、働くためには粘り強さが必要であることを知ります。そして、作業をするうえで周囲への確認事項が多々あり、自分1人では仕事が完結しないことを実感します。
たとえ将来、販売の仕事に就かなかったとしても、社会に出たら必要になる粘り強さや挨拶の仕方、スタッフ同士の連携といった要素を、2日間の体験で学べたのではないかと思います。
学びはどんな職業にも必要なもので、意欲を持って学ばないと、願った未来を切り開くことはできません。「大変そうだけど、自分には必要だからやってみよう」という意欲を、職場体験で生徒が感じ取ることができたら嬉しいですね。そして最終的には、自分で自分を成長させられるようになってほしいです。
山内先生の教育指導
本校では、“生徒に目をかけ、声をかけ手をかける教育”をモットーとしています。生徒一人ひとりに何が足りないのかを互いに向き合って相談しながら、足りないものを補うために小さな目標を立ててはクリアしていくことで、成功体験を重ね、生徒が達成感を得られるようにします。ああしろこうしろと指図するのではなく、教師から言われたことを“自分のためになることなんだ”と生徒自身が気づくような指導を心掛けています。
編集者から見たポイント
山内先生からは、「中学1年で日本を知り(和食の科学)、中学2年で世界を知り(イギリス英語研修)、中学3年で社会との関わりについて考える(職場体験)。この3ステップで、本校が目標とする“広く社会に貢献する人物”の育成を目指します」とお言葉をいただきました。「PGTプログラム」の学習発表を通して、秀明八千代の目指す学びを深く知ることができた光風祭は終わってしまいましたが、学校説明会では生徒によるプレゼンテーションや体験授業を受けることができます。残り少ない貴重な機会に、秀明八千代の魅力をもっと知ってみてください!