少人数制だからこそできる手厚いICT教育

少人数制だからこそできる手厚いICT教育

inter-edu’s eye

淑徳SC中等部・高等部(以下、淑徳SC)では、ICT教育の一環としてプログラミングの授業に力を注いでいます。今回は「ラズベリーパイ」という教育用コンピューターを使った、中学1年生のプログラミング授業風景をレポートし、生徒たちの成長を見守ってきた田中先生にもお話をうかがいました。

学校公式サイト ≫

プログラミング教育必修化を見据えたICT教育

人工知能やロボット、スマートフォンなどの技術革新を背景に、ITを巧みに使いこなす人材が強く求められている今日、これからの社会で活躍するためには、プログラミングは文系理系に関わらず、共通の知識として広く役立つ技術になるといわれています。文部科学省の新学習指導要領でも小学校は2020年、中学校は2021年、高校は2022年よりプログラミング教育必修化が実施されます。
こうした時代背景に対応するため、淑徳SCでは生徒一人ひとりに「ラズベリーパイ」という小型コンピューターを配布し、中学1年生から中学3年生にかけて、プログラミングの授業を行っています。「ラズベリーパイ」は小さくて安価ながら、ソフトウェアの追加やネットワークの接続などができ、基礎から応用まで多様なプログラミングを学ぶことができます。1年生では、プログラミングの基礎を学び、中学2年生から3年生にかけては応用に入って、 人型ロボット・Pepper(ペッパー)のプログラミングを実践します。

「ラズベリーパイ」を使用した授業に密着!

中学校1年生が2時間続けて行うプログラミングの授業を取材しました。指導を行うのは、外部から招いた先生で、IT技術に精通した技術者の2名体制です。今回で、第11回目となる授業のため、生徒たちは自分専用の「ラズベリーパイ」を慣れたようすで手際よくセットしていきます。クラスは少人数なので、手厚いサポートが受けられ、分からないことがあればすぐに質問ができる環境です。

アニメーションの作成

この日最初に行ったのは、アニメーションの作成です。ソフトは、アメリカのマサチューセッツ工科大学メディアラボが開発した、プログラミングを簡単に実践できる「scratch」。
「2つのキャラクターが会話するアプリを制作する」という課題と、キャラクターの基本的な動作などのシナリオは指定されていますが、細かい演出は生徒が各自好きなようにプログラミングをします。
シナリオ通りの動きをうまく作れない場合も、講師が丁寧に時間をかけて指導してくれるのは少人数ならでは。
ひと通りプログラムを組み終えると、生徒たちはお互いがどんなゲームを作ったのか、席を回って教え合い、和気あいあいと楽しそうに取り組んでいました。

お互いの作ったアニメーションで遊び、感想を言い合う生徒たち
お互いの作ったアニメーションで遊び、感想を言い合う生徒たち

回路を使用してLEDランプの点灯を目指す

今回の授業では、初めて回路を使用したプログラミングにも挑戦していました。生徒たちは先生の指導のもと、回路を組みたてて「ラズベリーパイ」と接続し、LEDランプが点灯するようプログラミングを行います。初めてということもあり、生徒たちは苦戦しながらも一つひとつの手順に従って、先生や生徒同士でも相談しながら作業を進めます。先生は各生徒の手元を覗きながら、工程が間違っていないか、分からないことがないかを丁寧に確認していました。すべての工程を終えてもLEDが点灯しない生徒もいましたが、一つのことにじっくりと向き合うスタイルを貫く淑徳SCの授業では、間違ったまま終わらず、できるまで生徒が挑戦する時間を確保して指導していました。

「ラズベリーパイ」と回路を繋ぐ位置を確認する生徒
「ラズベリーパイ」と回路を繋ぐ位置を確認する生徒

クラス担任の田中映里先生から見た生徒たちの成長

「プログラミングはできて当たり前の時代がくると思います」と語る田中映里先生
「プログラミングはできて当たり前の時代がくると思います」と語る田中映里先生

生徒たちがプログラミングを一から学ぶようすを近くで見守ってきた担任の田中映里先生にお話を伺いました。

インターエデュ(以下、エデュ):授業をとおして生徒たちが成長したと感じるのはどんなことですか。

田中先生:初めは慣れない機器に戸惑っていた生徒たちも、授業の回数を重ねるごとに「ラズベリーパイ」の扱い方を覚えていき、今ではすんなり設置を行えるようになりました。また、間違えたら手順を見直して、自分で考えながら修正をする力がついてきたと実感しています。

エデュ:授業ではどんなことを大切にしていますか?

田中先生:手順を正しく踏むことが、成果に繋がるという論理的な考え方ですね。プログラミングでは、ひとつ手順を間違えれば、アニメーションが正しく映されなかったり、LEDランプが点灯しなかったりと成果が出ません。過程があるから結論に至るということを知るためにはよい経験になっていると思います。

エデュ:淑徳SCらしい授業のポイントを教えてください。

田中先生:授業の中では、プログラミングがどのように世の中で活躍しているのかの紹介も多く行います。洋服のデザインや複雑な構造をした建築物など、用途を知ることで生徒がどんどん興味を持てる環境づくりに努めています。

編集者から見たポイント

必修化に向けて、生徒がプログラミングに興味を持ち、じっくりと学べる環境があると感じました。少人数制の授業なので生徒が理解するペースに合わせた手厚い教育が受けられるのも魅力だと思います。中学1年生の早い時期から基礎を固め、2年生以降は応用編に突入していく生徒たちの成長が楽しみです。

学校公式サイト ≫

その他の連載コンテンツ

第6回日本伝統文化を体験しながら学ぶ「日本学」

総合学習「日本学(Japanology)」で能楽の授業を体験し、日本文化の理解を深めた高校1年の生徒にお話をうかがいました。記事を読む≫

第5回人生を想像する力をつける“新キャリア教育”

今年から新キャリア教育プロジェクトが始動。今回は高校1年生対象の職場取材とWebマガジン作成を軸にしたプロジェクトをご紹介します。記事を読む≫

第4回オープンキャンパスで授業&部活動を実体験

淑徳SC中等部・高等部で開催された生徒がおもてなしをするオープンキャンパスのようすや参加者の感想などをレポートします。記事を読む≫

第3回大学と連携! 田植え体験から「食べる」を学ぶ

淑徳SC中等部・高等部が行う新潟食料農業大学を訪れての田植え体験を主とした宿泊研修をレポートします。記事を読む≫

第1回ユネスコスクール加盟校として発展する淑徳SCの教育

2019年度からユネスコスクール加盟校となった淑徳SC中等部・高等部の発展を続ける教育を紹介します。記事を読む≫