国内でイギリス名門校並みのサマースクール! グローバル教育に強い巣鴨
inter-edu’s eye
巣鴨中学校・巣鴨高等学校(以下、巣鴨)は毎年夏、グローバル教育プログラム「巣鴨サマースクール」を開催しています。イギリス政府や大企業などで活躍している人材を講師として招き、オールイングリッシュの共同生活の中でオリジナルの授業を展開してきました。今回、インターエデュではこれまで3年間かけて取材した内容を基に、国際教育の最先端を行く同プログラムの魅力をお伝えします。
「巣鴨サマースクール」とは
「巣鴨サマースクール」は長野県内にある大自然に囲まれた巣鴨学園蓼科学校で実施しています。5泊6日の日程で授業時数は毎日50分×5コマ。さらにバーベキューなどのレクリエーションももちろんオールイングリッシュで体験します。
生徒50人に対し講師は7~8人が参加。オックスフォード大学やケンブリッジ大学を卒業し、政府の要職や企業のリーダー的立場を務める人材ばかりです。豊富な教養と経験を基にして、社会問題から芸術までの幅広いテーマをめぐり、グローバル社会を率いる人材のものの見方、考え方に触れる授業を手がけます。
こうした実施形態は、イギリスの名門イートン校から引き継いだものです。実は、巣鴨は首都圏の男子校で唯一、イートン校のサマースクールに参加できる学校。これまで主に高校1・2年生が短期留学先として選んできましたが、優れたプログラムを中学生も含めたさらに多くの生徒が体験できるようにと巣鴨サマースクールが始まりました。
イートン校のサマースクールでダイレクターを何回も務めたオリー先生が巣鴨でもプログラム全体を指揮しているため、国内の他の学校ではまずそろわないハイレベルな講師陣を集めることができました。
グローバルリーダーから学ぶディベート・英語の演劇で変わる生徒!
授業テーマは英語劇や歴史・文化をはじめ、ポップミュージックの変遷など多岐にわたります。巣鴨サマースクールの実施ごとに決めるため、最新の社会問題を扱い、生徒が英語で議論しながら理解を深める場面もありました。
2019年の夏のある授業のテーマは「イギリスのEU離脱」。最初に、イギリス政府に勤務し、教員経験も豊かなノア先生がほかの講師との1対1の討論を披露しました。徐々にやり取りのペースを上げていきますが、難なく聞き取る生徒たち。まさにお手本と言える応酬が終わると、いよいよ生徒たち同士のディベートが始まります。
生徒たちは賛成派・反対派に分かれて、英語で自分の意見をまとめて、人に伝える難しさに直面しながらも、相手の声に耳を傾け議論しました。ノア先生もヒントをカードで出して、応援します。
講師たちの目標は「巣鴨サマースクール」でしかできない体験で、生徒の殻を破るきっかけをつくること。その熱意に心を打たれ、英語力や主体性が高まるだけでなく、普段の生活に大きな影響を受ける生徒もいます。
2019年に2回目の参加をした当時高校1年生の生徒は英語劇のレッスンについてこう語ってくれました。「初めて『巣鴨サマースクール』に参加したのは中学2年生のとき。そのころは友達同士で笑うことがうまくできなかったのですが、英語で演じることに挑戦する中で感情表現ができるようになりました」。担当のエミリー先生に感謝し、講師たちと再会したいあまり、再度の参加を決めたことも教えてくれました。
エミリー先生は世界規模で事業展開する広告代理店で活躍しながら、女優・セミプロ歌手としてヨーロッパ各地で公演するという経歴の持ち主。レッスンでは、生徒にストーリーを作らせて、感情の動きを深く考えさせるプログラムのほか、生徒全員が参加するミュージカルの練習を指導します。共同生活を送りながら、全員で一つの英語劇を作り上げようとする中で、生徒たちはどんどん表情が和らぎ、一体感を得ていきます。
全講師共通の「モチベーションカーブ」の授業にかける思いとは
授業には講師それぞれの得意分野が活かされますが、全員が必ず扱う授業テーマがあります。それは「モチベーションカーブ」。講師が自分の人生を振り返り、どん底から絶頂までの気持ちの上げ下げを曲線で示し、これまでの成功と失敗を生徒に語るというものです。
プログラム全体を指揮するオリー先生の授業では日本との関わりについても触れられました。イートン校在学時に聖歌隊の一員となり、ワールドツアーで日本を訪れて現在の天皇陛下の前で歌声を披露したことや、日本の中央省庁でのインターン経験を紹介しました。自分で道を切り開いてきたからこその内容で生徒の胸を打ちます。
「モチベーションカーブ」の授業は「失敗にめげない能力」を育てるきっかけをつくることが狙い。巣鴨サマースクール全体にとっても重要な目標だとオリー先生は言います。インターエデュはオリー先生にインタビューして、巣鴨サマースクールにかける思いを聞きました。
エデュ:巣鴨サマースクールの究極のメッセージは
オリー先生:自分で自分の人生を前に進める力の「種」を授けることが目的です。イギリスと日本の教育は、失敗の捉え方が大きく違います。イギリスでは失敗が悪いことだとされないため、生徒が先生に正直に意見をぶつけることができます。何も分からない状況だとしても、手を伸ばすことが必要です。そのことを分かってほしいと思います。
エデュ:どのような気持ちで巣鴨サマースクールに望んでいますか
オリー先生:たった1週間しかないので、たくさんのことは教えられません。「マインドセットを変えること」を一番大切にしています。ちょっとでもいいから物事を見る角度を変えるような、ほかで得られない経験をしてほしいと願っています。
「英語をもっと勉強したい」「留学したい」グローバル教育進む巣鴨
最後に参加生徒の感想を紹介します。
・「どの先生もユニークで面白い授業ばかりでした。イートン校への短期留学もしてみたくなりました」
・「演劇やプレゼンテーション、英語で議論し続ける授業などとても勉強になりました。外国の人としっかり英語で話すということを経験できました」
・「受験のためだけでなく、コミュニケーションの手段としても英語を勉強したくなりました。巣鴨には勉強のための合宿もあるのですが、全然違う体験でした」
巣鴨といえば、「昔ながらの伝統校」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、ご紹介したように一歩先を行くグローバル教育のプログラムを実践してきました。普段の授業でもアクティブ・ラーニング、ICT活用にも力を入れています。ぜひ、現在の巣鴨の姿にご注目ください。
編集者から見たポイント
巣鴨サマースクールには、現在オックスフォード大学で学ぶOBがスタッフとして参加しています。つまり、イギリス名門校のプログラムを学びながら、海外進学した先輩の背中を見ることもできるのです。後に続く生徒が出ることが期待できます。
イベント日程
イベント名 | 日時 |
---|---|
WEB説明会(中学) | 2020年7月11日(土) 10:00~10:30 |
WEB説明会(高校) | 2020年7月11日(土) 11:00~11:30 |
WEB説明会(中学) | 2020年7月25日(土) 10:00~10:30 |
WEB説明会(高校) | 2020年7月25日(土) 11:00~11:30 |
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