富士見丘中学高等学校

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英語×探究×SDGs グローバルワークショップで世界を知る、世界を考える

inter-edu’s eye

富士見丘中学高等学校(以下、富士見丘)では、STEAM教育の一環として高校1年生全員を対象に、「グローバルワークショップ」と名付けた高大連携の取り組みを10年前より実施しています。今年度のワークショップも6月よりスタートしました。グローバルな視野で社会課題を解決する視点が必要とされている今、同校の取り組みは生徒にどのような成長をもたらすのでしょうか。

授業はすべて英語!グローバルワークショップ

グローバルワークショップ(以下、GWS)は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(以下KMD)とコラボレーションし、一つのテーマを1年間(全8回)に渡り、さまざまな視点から取り組んでいきます。

日本語での補足は入りますが、基本的に英語で進むワークショップ
日本語での補足は入りますが、基本的に英語で進むワークショップ
生徒たちをサポートする大学院生(留学生)とは英語でコミュニケーション
生徒たちをサポートする大学院生(留学生)とは英語でコミュニケーション

ワークショップのファシリテーターはKMDの大学院生たち。さまざまな国から来日している大学院生の授業は基本的に英語です。GWSは授業やファシリテーターとのコミュニケーションをすることで必然的に英会話の学びにもなっているのです。
またワークショップではあえてクラスをシャッフルし生徒のグループ分けをします。普段、一緒に活動していない他クラスの生徒とディスカッションし、チームワークスキルを向上させていくことも目的の一つです。
GWSでは創造的なアイデアを創出する方法として「デザイン思考」を体験するプログラムを採用しており、2024年度はシックスブリックス(教育用レゴ ®)を用いて実施しています。取材した第2回目のワークショップでは、自由な発想でバランスを図る創作物を制作し、アイテムの重量関係を調べる「バランススケールゲーム」が行われました。さらに、重りとなるアイテムを他チームと交換することで、一つの数式を完成させるというとても盛りだくさんな内容でした。

バランスを測る台を創作。デザインは自由
バランスを測る台を創作。デザインは自由

ドナ・チェン先生に聞く富士見丘の生徒たち

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科准教授で今年度のワークショップを指導するドナ・チェン先生に富士見丘の生徒についてうかがいました。

ドナ先生は香港出身。2021年に来日しGWSを担当するのは今年で3回目になる
ドナ先生は香港出身。2021年に来日しGWSを担当するのは今年で3回目になる

新クラス設立の背景やその特色について教えてください。

GWSの主テーマはSDGsですが、トレンドに合わせて毎年アプローチを変えて実施しています。今年は科学や数学にフォーカスしつつ、各グループでコミュニティ(地域)を創作し、最終的には3Dプリンターも使いながら大きなコミュニティを作ることで多様性のある社会を考えていくことを目指しています。女の子は比較的理数系が苦手という子も多いですが、シックスブリックスを使うことで楽しく学ぶことができるという気づきも得られるでしょう。また現在の富士見丘では理数系に力を入れていることもあり親和性の高いテーマだと思っています。

富士見丘生の印象を教えてください。

みんなとてもスマート! そして良いエナジーを持っていると思います。初めて担当したときは、私は外国人ですし、うまくいくか心配でしたが、開始5分でそんな心配がなくなるほど仲良しになりました。みなさんにサポートしてもらえてスムーズに進められています。

富士見丘の生徒が将来どのような女性になってほしいと思いますか。

自立した女性になってほしいと思います。そしてアジア人女性として、世界の中でも活躍していってほしいです。

協力しながら課題をクリアすることが楽しみに

ワークショップ終了後、グローバルコースのR.K.さんと、アドバンストコースのR.S.さんにお話をうかがいました。

ワークショップの感想をお聞かせください。

R.K.さん

R.K.さん

楽しく学んでいます。幼い頃からレゴ®で遊ぶことはありましたが、勉強で使うのは初めてで新鮮です。また他のクラスの人とチームになって作業することも楽しいです。

R.S.さん

R.S.さん

学校の先生ではなく慶應の大学院生の方から教えてもらえるということもあって、大学への興味も湧きました。課題をクリアするために、みんなと協力しながら考えないといけないので、学ぶことも多く毎回楽しみです。

英語での授業についてはどうですか。

R.K.さん

R.K.さん

英語は好きですがしゃべることは苦手で、仲間同士、英語で話す場面でも単語を並べるのがやっと。うまく伝えるのは難しいと思うことが多いです。でも、私たちのグループには帰国生の子もいるので、分からないところは聞いたりして教えてもらいながら対応しています。

R.S.さん

R.S.さん

理解はできるのですが、自分から発信するということがまだ難しくて、サポートしてくださる留学生の方と話すときに、言葉に詰まってしまったりすることがあります。でも文法は間違っていても、自分で伝えられるように経験を積むことで上達できると思うので、もっと積極的に話していきたです。

GWSを通して身につけたいことを教えてください。

R.K.さん

R.K.さん

英語を使う場面はこれからもっと増えてくると思うので、単語を並べるだけであっても英語で話すことをもっと意識して取り組んでいきたいです。

R.S.さん

R.S.さん

私は英語力を伸ばしたいと思い富士見丘に入学しました。この学校には帰国生の子もいますし、英語に長けた人が多くいるので、英語を学ぶのにとてもいい環境だと思っています。なので、できる人に刺激を受けながら楽しく上達していきたいです。

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配布されたシックスブリックスを組み立てる生徒たち
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デザイン性も重視しながらバランスを取ることが難しい様子
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グループごとに趣向を凝らしたものができました
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重り用のアイテムを交換。ワークショップ終盤の一番重要な作業です
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バランスゲームのゴールは導き出した数式が正しいか。採点を待つ生徒たち

グローバルコンピテンシーを育むGWSの効果

副教頭の佐藤一成先生にもお話をうかがいました。

GWSの目的について教えてください。

本ワークショップはICTを活用し、Discussion based Learning、Playful Learning、Hands-on Workshopの手法を用いて、自らが考え、学び、発信する「21世紀型スキル」を育むことを目的にしています。ただ議論するだけでなく、デザインやICTを駆使し、創造的なアイデアを生み出してほしい、自分たちがSDGsに貢献できているという実感を持ってほしいと考えています。

生徒たちにどんなことを学んでほしいと思われますか。

2015年にスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定校となってから、生徒にはグローバルに活躍できる資質を磨いていってほしいと考えています。
そのためには創造的思考力、主体的に問題を設定し考えていく力、また違った立場の人たちとも協働して作り上げていく姿勢、そして英語を使ったコミュニケーションスキルが重要です。我々はこれをグローバルコンピテンシーと呼んでいますが、GWSはそれを育てるために最適な授業だと思っています。

ワークショップの様子を見ていた佐藤先生も生徒がつくるレゴに興味津々
ワークショップの様子を見ていた佐藤先生も生徒がつくるレゴに興味津々

KMDとはどのようにプログラムをつくっていますか。

メディアデザイン研究科の先生方とは、生徒が楽しさを感じながらグローバルな課題を考え、ディスカッションすること、そして自分たちが考えたことで世の中が動くということを実感できるような授業にしていきたいと話し合ってきました。また本校は近年STEAM教育に力を入れていることもあり、それを組んだプログラムを作っていただいています。

ワークショップでは、生徒さんたちがとても楽しそうだったのが印象的でした。

学校の先生が「グローバルな課題は大切だよ」と話すと、どうしても指導的な教え方になってしまう。しかし、研究室の学生さん、しかも外国の方の場合、とてもフランクにファシリテートしてくれるので、生徒たちは楽しく学ぶことができています。
またクラスをシャッフルしてチームを作っていますが、こういう機会でもないとグローバルコースとアドバンストコースが一緒にディスカッションすることはあまりないと思います。お互いに刺激を受けながら新しいコミュニケーションが生まれていると感じます。今年のテーマはグローバルな社会を考える良い素材です。自分たちが考えた地域が組み合わさりさらに大きな地域となる。まさに多様な社会を実感できるワークショップになると期待しています。

編集後記

GWSの最終回は、他学年の生徒や保護者も招き、1年かけて作り上げたプロジェクトの成果を発表します。生徒たちが作り上げたコミュニティはどんな社会を描き、それを形にするのか、そして各コミュニティが組み合わさることでどのような世界を創造するのかとても楽しみです。

イベント情報

2024年10月19日(土)
生徒による学校説明会・オープンスクール
・9:30~10:30 説明会④【生徒によるミニ説明会】
・9:30~11:00 部活動見学ツアー

2024年11月23日(祝・土)
第5回学校説明会・入試問題解説(国・算)
・10:00~11:00 説明会⑤
・11:10~11:40 入試問題傾向と対策(国・算)

2024年12月7日(土)
チャレンジ体験入試①
・10:00~11:00 説明会⑥
・10:00~12:00 チャレンジ体験入試(国・算)
※小学6年生限定。解答解説・受験勉強アドバイスつき

2024年12月25日(水)
冬休み学校見学会
・10:00〜/13:30〜 ミニ説明会・見学ツアー・個人相談など1時間程度