攻玉社中学校・高等学校

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帰国生受け入れ体制に大きな変化 33年目を迎えた攻玉社の国際学級

inter-edu’s eye

東大・京大をはじめとして、医学部医学科や早慶上理にも数多くの合格者を輩出する進学校として著名な攻玉社中学校・高等学校(以下、攻玉社)。33年前に開設された国際学級は、米・英・中・台・星(シンガポール)などあらゆる海外からの帰国生を受け入れてきた歴史をもっています。その国際学級が、攻玉社創立160周年を迎えて大きく変わりました。帰国生を持つ家庭でなくとも知っておきたい教育界のトレンドの大きな変化として、国際学級の特色や強みを詳しくご紹介します。

攻玉社の国際学級「4つのポイント」

  • 3年間独立1クラス

    日本の環境に少しずつ適応するために、中学の3年間は帰国生だけの40名でクラスを編成します。

  • レベル別分割授業

    英・国・数は2クラスに分割し、それぞれ20名程度の少人数指導を実施します。

  • 再入学制度

    一定期間在籍した後、海外に戻った場合でも、試験無しで同じ学年に戻ることができます。
    (※期限があります。)

  • 大学受験への対応

    長年にわたって、東大を含む最難関校への進学実績を積み重ねてきました。

世界各国から多様な文化を経験した生徒が集まる国際学級

英語科教諭の石原耕太郎先生から、国際学級の特徴をうかがいました。

お話をうかがった英語科教諭の石原先生

1クラス40名編成の国際学級はどのような特徴を持っているのでしょうか。

石原先生

石原先生

帰国生入試で合格した生徒は国際学級に入ります。アメリカや、アジア圏など様々な国からの帰国生が一緒に楽しく過ごせる文化が出来上がっています。また、海外生活が長くなるほど、日本語の読み書きが得意ではない生徒が増えて当然です。クラス替えが無い中学3年間の中で信頼関係を築き、クラスメイトとのコミュニケーションからも深く言語を習得していきます。
英語の授業は受験方式や習熟度に応じて、α(アルファ)クラスとβ(ベータ)クラスに分かれます。数学と国語は定期試験でクラスを分割し、日本式の授業に慣れていない生徒に対してきめ細やかな指導フォローを可能としています。定期考査ごとにメンバーを入れ替えるので、習熟度の偏りが生じない工夫をしています。

常駐するネイティブ教員による授業コマ数が大幅に増加

日本人中心の一般学級との交流や行事などへの参加状況はいかがですか。

石原先生

石原先生

教員がお膳立てせずとも自由に交流している姿が見られますが、なかでも部活動と学校行事を通したコミュニケーションが目立ちます。50年以上の歴史を持つ英語暗誦大会では、各クラスの代表者が凝ったスピーチを行いますが、一般学級に所属する生徒のコーチとして帰国生が活躍しています。帰国生自身もモデルスピーチを披露します。
高校からは国際学級に所属する生徒も一般生徒と混ざるようになります。本校では30年以上そうした環境が当たり前となっており、どんなタイプの生徒もお互いを認め合いながら適切な距離感を持って楽しく過ごしています。

ハイレベルな要望に応えるための カリキュラム改革

英語aクラスで始まった取り出し授業の変化についてもお話をうかがいました。

授業コマ数が変わったそうですが、その理由や背景を教えて下さい。

石原先生

石原先生

従来はネイティブ教員の授業が週1で、日本人教員の授業が週5というペースでしたが、教養を学びつつ言語教育を実践するには限界を感じるようになりました。そこで週3回のネイティブ教員主導によるCBI(Content-Based-Instruciton)を採用しました。その内容は、情報リテラシーや文学・哲学研究、現代的トピックと多岐にわたります。英語による言語表現だけでなく、プレゼンテーションやディベート、PCによる表現を駆使しながら思考とひらめきを楽しむことを目的とした授業です。
日本人教員の授業は週3とし、高度な文法運用能力や読解力、豊かな表現を身に付けていきます。昨年はαコースから東大への進学者がいましたが、やはり高い英語力は受験でも武器として活かせたと聞いています。

タイラー・ハウエル先生による少人数でCBIの授業を実施

高校からのフォローアップ講座を開催する予定だとお聞きしました。

石原先生

石原先生

一般生徒と混ざった後は、日本式授業にソフトランディングする形になります。そのために中3から準備を始め、日本の大学受験に備えます。高校進学直後は、英語の教科書が物足りなく感じることでしょう。そんな生徒の要望に応えるため、希望者向けのフォローアップ講座を設けました。さらに、中学3年間の学びに接続する意味合いを持って、総合的な学習の時間を土台にした「知的好奇心」を刺激するハイレベルな授業を計画しています。

αクラスに所属する中学1年生の声

英語科教諭の石原耕太郎先生から、国際学級の特徴をうかがいました。

中学1年生のお二人からも学校生活全般についてお話しいただきました

攻玉社に入学した理由を教えてください。

Y.Y.くん

Y.Y.くん(英語βクラス)

幼稚園からインターナショナルスクールに通ってきました。特別講習で通った塾の友だちが攻玉社を受けたと聞いた頃から学校の様子が気になって、気がついたら志望校になっていました。

A.T.くん

A.T.くん(英語αクラス)

アメリカで7年間を過ごし、日本の学校生活が不安だったのですが、帰国生の受け入れで歴史がある攻玉社を知りました。なかでも国際学級は生徒の状況を考えてクラス分けしてくれるので安心して入学できました。

少人数制授業のメリットは生徒個別への親身な指導にあります

中学生になってからの学校生活はいかがですか。

Y.Y.くん

Y.Y.くん

まだ入学したばかりですが、αクラスでは数学と現代文の特別演習に取り組みました。入学直後のオリエンテーションでは初めから周囲とコミュニケーションを取ることができて満足しています。 これからは定期考査で満点を取り、学年一位の成績を取ってみたいです。陸上部では大会に出場できるように練習を繰り返します。

A.T.くん

A.T.くん

国語の文法がよく分からないので先生への質問が多いのですが、使い方をじっくり教えてもらっています。数学は世界共通なので、言葉の壁を感じることなく取り組めるところが楽しいです。生活面でも先生方からアドバイスをもらえるので心配していることはありません。
学校生活にも早く慣れて、苦手な科目を無くしていきたいと思っています。英語を使ってきたことをスキルとして活かせるように、ディベート活動などいろんな事にチャレンジしていきます。

募集要項の変更で身近になる国際学級

試験科目によって変わる入学後のクラス編成や親子面接など、特徴的ゆえに知っておくべき国際学級の募集要項が大きく変わりました。その中でも重要なポイントをうかがいました。

グローバルな共用を磨く国際学級への出願資格の変更点を教えて下さい

石原先生

石原先生

昨年度入試より海外在住1年以上、帰国後3年以内、かつ2つの受験パターンから合計40名の募集定員に変更しています。
英語αクラスは英語1科目入試で入学した生徒の英語授業、英語βクラスは国算入試で入学した生徒の英語授業です。ただし、年度が変わるタイミングで希望があれば資格試験などで基準を満たすことを条件としてαクラスに移籍することも可能になっています。

国際学級の和気あいあいとした明るい雰囲気が印象的でした

帰国生家庭へのメッセージをお願いいたします。

石原先生

石原先生

3年間ずっと帰国生だけで構成される国際学級が設立から33年目を迎えました。私たち教員にとっても帰国生は当たり前の存在であり、クラスの区別なく「玉社生(生徒の名称)」として受け入れる体制が整っています。日本で過ごすうちに生じた悩みや不安があったとしても、本校の長い歴史の中で得られたノウハウによって学校生活をバックアップしていきます。
さらに、今年は英語αクラスカリキュラム改革の元年となり、授業内容や出願資格も変更となりました。一般学級の英会話クラスも教科書進度と連動する計画が進められており、逆に一般学校の英語学習も国際学級の影響を受けてレベルアップが図られています。来年からの国際学級にぜひご期待ください。

編集後記

分割授業や少人数クラス制を導入して、きめ細かいフォローによる難関大学への進学を実現する国際学級が持つ歴史そのものに驚かされた一方、社会に合わせて変化する大胆さも感じられた取材となりました。「帰国生入試といえば攻玉社」と呼ばれる日が近づいています。

イベント情報一覧

第3回学校説明会

2024年8月25日(日)

クラブ体験オープンスクール

2024年10月05日(土)

広報主催オープンスクール

2024年10月12日(土)

輝玉祭

2024年9月22日(日)・23日(月・祝)

第1回土曜説明会

2024年11月16日(土)