駒場東邦中学校・高等学校
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駒場東大前駅から徒歩圏内に位置する男子進学校の駒場東邦中学校・高等学校(以下、駒東)では、生徒主導による文化祭に1年間をかけて万全の準備を進めています。来場予約がようやく不要になり、人気校である駒東の魅力を存分に発揮できた第67回文化祭の背景を、実行委員長の石倉くんと副実行委員長の髙城くんからお話しいただきます。
お二人が文化祭に参加したきっかけを教えてください。
石倉くん
部活動の先輩が実行委員長を務めていたので、参加資格を得られる高校生になった時点で声をかけられたのが参加のきっかけです。それからは、実行委員長がみんなを引っ張っていく姿を見て、率直に憧れの念を持っていました。自分自身が実行委員として1年を過ごす中で、先輩たちと同じように文化祭を作り上げてみたいと思い、僕自身も実行委員長に立候補しました。先輩からは、いろんな役割を担うメンバーとのコンタクトを怠らないようにアドバイスをいただき、それを守り続けてきました。
髙城くん
僕の場合は環境部門長からアンケートを依頼されたことが文化祭実行委員会(以下、文実)との接点になりました。文実にはたくさんの部門があり、総勢200名程度のメンバーが各々まとまって、夏休みでも毎日のように準備を続けてきました。自分たちが実現したい文化祭をイメージしながら、一生懸命にタイトなスケジュールをこなしてくれたみんなに賛辞を贈りたいと思います。
- ◆ イベント部門……ステージイベントの企画や司会進行、音響関連で他団体のステージ企画をサポートします。
- ◆ 参加団体部門……学年企画や部活動など、すべての参加団体を統括しながら手助けします。
- ◆ 広報部門……パンフレットや公式ホームページ、ポスターの制作と公式LINEの運営を担います。
- ◆ 研究部門……研究テーマを調査し、結果を発表します。2024年度のテーマは「幸福」と「ゲン担ぎ」でした。
- ◆ 総合演出部門……バルーンアートを中心に、さまざまな演出を通して文化祭を盛り上げます。
- ◆ 環境部門……文化祭のゴミ分別や校内清掃、ペットボトルのキャップを使ったアートの制作などを行います。
- ◆ 装飾部門……ステージバックや校舎入口のゲートなど、校内全体の装飾を担当します。
- ◆ 総務部門……会計やシフト管理のように表舞台には出てこない役割で文実を支えています。
- ◆ 幹部……企画書などを作りつつ、文実全体をまとめて文化祭を成功に導きます。
今年から始めた新たな試みはありますか。
石倉くん
何年もの間、食品販売を自粛してきたのですが、文実の研究部門が主導する調査型の食品販売を行いました。三色団子(八雲だんご)や金平糖(月待庵)はとっても人気だったと聞いています。さらに今回初めて、浅野高校とのクイズ対決やディベート、開成高校との計算対決や腕相撲などをステージ上で実施しました。各校で開催する文化祭のコラボ企画にも、僕たちがゲストとして参加することになっています。
髙城くん
昨年は食堂が混雑しすぎたという反省点がありました。そこで、来場された方に少しでも快適に過ごしてもらえるように入場制限を設けました。結果として、人流の誘導に文実メンバーの多くを投入することになったのは予想外でした。これは今年の反省点として挙げられます。また食券の販売機などが交通系ICカードなどの電子マネーに対応し、金銭の取り扱い方も大きく変わりました。
文化祭のテーマ「奏」に込められた意味を教えてください。
石倉くん
テーマは文実の幹部が投票で決定しました。各参加団体の個性や駒東生の魅力が、まるで音色のように折り重なって作られる文化祭になってほしいという願いを込めました。生徒主体の文化祭ですから参加団体の良識を信じて、自由に展示や公演をやってもらっています。そのせいもあってか、来校者はもちろんですが駒東生自体が楽しんでいる笑顔をたくさん見られて良かったと安心しています。
髙城くん
個人的には学年企画の完成度がとても高かったと思っています。例えば、中学生のレベルを超えた「ジャングルクルーズ」は映像にこだわったプロジェクションマッピングを利用したアトラクションで、参加団体部門の採点による「参加団体部門賞 金賞」と「有志団体賞中三以上の部」、来場者の投票数で決まる「大衆賞東邦杯 金賞」のトリプル受賞を達成しました。駒東生の個性が発揮された好例ではないでしょうか。
従来であれば当日の雰囲気を楽しむ余裕があったのですが、今回は仕事に集中していたので終わった後の実感すらありませんでした。生徒から感謝の言葉を受け取った時点でようやく「終わった」「やって良かった」と再認識して胸が熱くなりました。
展示部門にも賞があるそうですね。
石倉くん
展示部門の金賞は、鉄道研究部と物理部、コマ島からの脱出!(クイズと迷路の催事)が受賞しました。来場者の多くが小学生なので、明確なテーマとクオリティの高さが受賞のポイントにつながりました。参加団体部門による採点はとても細密な規定に基づいており、不公平な評価にならないように厳正な審査を行っているのも文実のこだわりです。
生徒主導で作り上げる文化祭の魅力を教えてください。
石倉くん
生徒主導とは言っても簡単なことではなく、顧問をされている先生方との連携が欠かせません。各部門とのコミュニケーション不足が原因の連携トラブルを経験し、組織運営の面で大きな学びになりました。
髙城くん
食品販売が復活したのは大きな進展ですが、もう少し規模を大きくしたかったという思いがあります。また、XなどのSNS活用で文化祭を試験的にアピールすることができました。企画書を先生方に提出しましたが、目的や意義をきちんと伝えられなかったので実現に至らなかった企画もあります。
文化祭を成功させた秘訣は何だったのでしょうか。
石倉くん
1年間かけて作り上げる文化祭は、仲間と一緒に協力しながら問題点をじっくり解消していくことが大切です。いつか本番当日をやり遂げることをイメージしながら、毎日を地道に過ごしてきました。今の達成感はそうした苦労があったらこそのご褒美のようなものです。
髙城くん
人生の中で、高2の文実メンバーとして文化祭を迎えるのは人生で一回きりです。後悔しないように何でもチャレンジして、僕自身が「楽しむ」ことに集中してきました。何よりも、幹部が楽しんでいる姿を見せていないと他のメンバーも楽しめないはずです。やり甲斐を感じてもらえる手本となるように心がけてきました。
中夜祭や後夜祭はどのような盛り上がりを見せましたか。
髙城くん
中夜祭ではダンスコンテストが開催され、僕も出演者のひとりとしてステージに立ちました。駒東生だけでなく他校からの来場者も一緒になって盛り上がる中で、いつもは味わえないスリルや緊張感を体験できた貴重な機会でした。後夜祭のバンド演奏にはOBがたくさん集まったので、場を収めるのに苦労しました。
駒東生として誇りにしていることはありますか。
石倉くん
他校のことは詳しくありませんが、駒東生は同級生と横方向のつながりが強く、いろんな地域から集まっているので視野を広げてくれます。第一志望で受験した生徒の割合が多いので、駒東生であること自体を誇りに感じているのが日々の駒東生の雰囲気から伝わってきます。
髙城くん
みんなの学力が高くて、いろんな進路を実現させた卒業生がたくさんいることが自慢です。同級生との絆も大人になってからの仕事や生活に活きてくるかもしれません。真面目な進学校というよりは、程良く自由な校風の学校なので、自分でやりたいことを持っていたり目標を立てられたりする人に向いているのではないでしょうか。
駒東生になる憧れを持っている受験生へのアドバイスをお願いします。
石倉くん
中学生になった時のことをイメージするのは難しいかもしれないけれど、受験勉強を頑張って駒東に入学できればきっと楽しい学校生活が待っています。今はとにかく前を向いて勉強を続けてみてください。
髙城くん
何事も目標を持っていないと継続するのは難しいので、まずは入学したら何をしたいのか、先に考えることをおすすめします。そうすれば、駒東との相性がはっきりするでしょう。迷ったら個別説明会などの機会に先生たちに相談してみたら良いですよ。